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バレーボールマガジン>インタビュー>優勝記念特集 高松卓矢「やることは変わらない」

インタビュー

2016-07-03 09:58 追加

優勝記念特集 高松卓矢「やることは変わらない」

V1リーグ 男子

OLYMPUS DIGITAL CAMERA――オフの間は何をされていたのでしょうか。

終わったあと1週間、うちはもうガンガン練習してるんで。当たり前じゃないですか。多分ですけど、うちプレミアチームの中で一番練習してますよ。それこそ故障者が出るレベルを、いま普通にやってます。僕もちょっと腰が痛くて先週ちょっとできなかった時あった。いま普通にやってますけど、1週間連休が終わって、どうせ黒鷲まではそれなりのテンションで、徐々に合わせて黒鷲前に追い込むのかなと思ってたら、そんなことない。黒鷲どころか1週間の休み終わったあといきなりですよ? ガンガントレーニングやらされて「こんなにやるの?!」みたいな。トレーニングはやりたいんだろうなと思ってたんですけど「こんなにハードなのする?! は?!」みたいな。言ったらリーグ中よりハードなトレーニングですよ。

――そうなんですか?(笑)

はい。「こんなにやるの!!へぇ……」みたいな。アンディッシュも先週帰ったんですけど、「私が帰る前に君たちに教えることを教えていきたい」と言って「そっそうだね……(汗)」みたいな。「ちょっとこの時期にしたらハードすぎない?」と思うレベルですよ。僕が思ったのは、そういう風な常に前向きな姿勢というかチャレンジャー精神じゃないですけど、いつでもどんな時でも教えたいとか新たなことにチャレンジしたいと思う、それがやっぱり今年の強さに繋がってると思うし、いい指導者だなと思う要因ですね。

事実もう新しい取り組み始めてますからね。優勝して1週間後から。こういうスパイクをお前らに打たせたいとか、だからこういう風なことをして……。

――優勝した1週間後から?!

そうですそうです。「あっ、もう始めたの? もういきなり来年のこと考えてるの?」みたいな。いまちょっと上手くはまって、いい感じでスパイク打てたりブロックできたりとか、それがすでに始まってますから。だからこの調子で行くんだったら、しっかりまた来年もいい成績残せるようになるんじゃないかなと思います。

だからすごいでいですよ。リーグ終わって1週間ですけど。1週間のオフの間は実家へ帰って、友人の結婚式に出席してまた戻ってきて練習ですよ。そんな感じです。1週間おやすみなんてあってないようなものです。先週の土日が連休でしたけど、そこまで日曜日のみ休みでしたから。月曜日トレーニングして午後練習して、火曜日午前オフの午後練習して、水曜日2部練習して1部練習して2部練習して休み。ハード。もう少し2連休増やしてもいいよなと。と思ったんですけどアンディッシュは練習すると言って。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA――一般的にヨーロッパは練習が少ないってイメージでしたが。

おかしい! それはおかしい! それならうちの練習はもっと楽なはず。うちの練習は多分どこよりもハード。時間的にはそんなに長くないですけど、午前中9:30から初めて12:00に終わって、午後15:30から始めて2時間半で18:00で終わり。うん。キツイ。

――(笑)

いやぁ〜きついっすよ。ほんとうに。みんなクタクタです。5時間しか練習してないですけど、5時間こんなにキツイ?みたいな。相当ハードですよ。たぶん今までのアンディッシュの練習じゃなかったら、5時間てそんなにきつくないんですよ。なんでそんなにキツイかというと、中身が濃いんです。彼の練習は。すごい充実してるし一人一人がやる仕事が徹底的に決められていて、監督が練習の内容を考えてやってるんです。それを体育館に来てお前はこう、お前はこう、一人一人に言ってあとはそれをみんな実践する。

まぁその練習の内容が濃い濃い。一人一人がジャンプに飛ぶ回数が多いし、効率いいし無駄がない。だから少ない練習時間で、あれだけいいクオリティの練習ができている。でまた腹たつのが、クオリティ高いからヤル気になる。ただ単純に長い時間やらされてキツイだけの練習だったら、みんな不満タラタラで集中力もなくチンタラやってるだけなんですけど。ただやればいい根性バレーじゃない。

彼の場合は練習時間は2時間半って決まってるけど、その中ですごいクオリティが高くて密度の高い練習だから、選手自身も次もあれやらなきゃいかん、これやらなきゃいかんって、練習の質がすごい高いから楽しくできるんですよ。キツイけど楽しいんです。だからみんな集中してできるし、もしもダメな時集中してなかったりした時は、監督が「今日の練習はダメだ。みんな集中してない。もっと集中して練習に取り組むべきだ」と。「この日にこういう練習すると、この時間帯練習すると、前もって分かっているはずなんだから、それに向けての準備は君たちがやるべき仕事で、俺はこれだけの仕事を君たちにやらせるけど、そこに行き着くまでは君たちが集中するための時間なんだから、そこは君たちの自由。練習で集中できないような時間の使い方をするな」ってダメな時はビシビシいうし。

「今日はいい1日だった。みんな集中して非常にクオリティ高い練習だ」といい時は良いという。そこは良いと思いますよね。悪いプレイしたら「お前何やってんだ」というし良いプレイしたら「おまえそんなプレイできるじゃないかすごいな」みたいに言ってくれるから。飴と鞭の割合がいい、いいプレイしたら褒めてくれるから、みんなも「あぁ次はこういういいプレイしないといけない」という風にポジティブな発想になりますよね。

どんな時でも指導者って怒るんです。いるじゃないですかどんな状況でも。「何やってんだこんな時に!」とか怒られるだけじゃ、絶対みんな選手は成長しないと思うんですけど。しかも監督からこう言われて怒られるからこれはしちゃダメだってネガティブな発想になるんですけど、アンディッシュみたいにミスしても自分のコンセプトに沿ったミスならいいんですよ。「今のはミスしたけどいいスパイクだった、そういうスパイクをもっとやっていけばいい」って言ってくれるんです。そしたらこういうミスはやってもいいんだと。ミスをしていいってわけじゃないですよ?このミスだったらまだ正解というか、正解に近いミスだからこれはトライするべきだと。それが3mスパイクアウトだったら次は2m、最終的にはコートに入りましただったらいいプロセスなわけじゃないですか。これが怒られてばっかりだとつぎミスした時に「おまえ何やってんだ!」って怒られたらまた同じミスをするか恐れてフェイントとかしてしまう。だからあいつの怒り方とか褒め方とかすごい良い指導者と思います。

――来季の目標は?

やることは変わらないです。前年優勝してようがしてまいが、前年の成績が今年にプラスになるわけではないので、例えば前年度優勝したチームがプラス10ポイントもらえるなら、そりゃ有利ですよねってなるけどそんなわけないじゃないですか(笑)。優勝してようが負けてようが、別にスタートラインみんな一緒ですから。だったらほんとうにやる事は変わらないですよ。対戦相手が豊田合成。去年こういうことをやってきたからこうさせないようにいようとか、それはあくまで他のチームがやることで、僕らがやることはあくまでも自分たちのコンセプトに沿ったプレイをやる。3年前にアンディッシュがきてから変わってない訳だから、3年前と一緒ですよね。コンセプトに沿った自分たちのバレーをしっかり展開できるような練習とか考え方であったりとか、オフシーズンの体の作り方だったりとか、それをしっかり考えてやっていって、リーグが開幕したらまたその時の状況とかもあるだろうし、もしかしたら誰かが怪我してるかもしれないし、それはそれで状況に応じて適材適所でまた働いてくれる人もいるし。

自分だって来年レギュラー確定している訳じゃないですしね。むしろ山田くんがいま来てるから、しゅうぞうに負けないようにやっていかないといけない。自分がしなきゃいけないこと出来ることは出来るで分かってるし、出来ないことをどうやって伸ばすか。出来ることをどうやって更に伸ばすか、出来ることを更に伸ばすには何をしなくちゃいけないか、そういうのをしっかり考えて、あとはチーム一丸となって頑張るだけですかね。

そっから先優勝目指しますとか絶対言わないです。自分たちが1試合1試合やるべきことをしっかりやってそれを練習であったりとか。オフシーズンの過ごし方を最終的に行き着く場所が、リーグのスタートに繋がると思うしそこに行くまでにしっかり準備をして、開幕後はそっからスタートして頑張ります。

写真:黒羽白
聞き手:中西美雁
編集補助:横幕祐美

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