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インタビュー

2018-02-16 12:00 追加

トヨタ車体 皇后杯優勝インタビュー(前編) 多治見麻子監督「大事な1戦を勝てた。勝ち方を知ったのは大きい」

V1リーグ 女子

──監督としては2シーズン目、チーム作りなど手ごたえはいかがですか。

多治見監督:今シーズンは選手一人ひとりのことやチームのことがいろいろ見えてきています。昨シーズンはほんとにいっぱいいっぱいでした(笑)この選手がどういうタイプなのかもやりながら把握している状態だったので。でも1年一緒に過ごしてみてわかるようになってきたので、選手の良さを出してあげたいという思いがあります。頑張っている選手はみんな(試合に)出して育ててあげたいのですが、それでも勝負がつきものなので勝たないと前に進めない。難しいです……。昨シーズンは大幅にメンバーが変わってプレミアリーグに初めて出る選手ばかりでしたが、今シーズンは、私も2年目なので、そういった選手たちが1シーズン経験しての2年目ということで、やるべきこともわかっているしとてもスムーズです。そこにネリ(ネリマン)がきて、チームのベースができてきていると思います。周りのスタッフにも助けられて監督としても成長できているかなと。

──監督として、たいへんだなと思うことはありますか。

多治見監督:みんな頑張っているから一人でも多く(試合に)出してあげたい。一人でも多く全日本に行ってほしい、オリンピックに行ってほしいという思いがあるので、みんなを使ってあげたいのですが、先発で出られるのは6人で限られているので……。みんな自分の役割をわかってくれているし、いつでも出られる準備をしてくれている。核になる選手、ベースが見えてきたので、全体を見回してもっといろんな選手起用ができるようになっていきたいと思います。

──気持ちで頑張るチームが、“戦術の車体”にもなってきたとおっしゃっていたのが印象的でした。多治見監督になって変わってきた部分でしょうか。

多治見監督:選手たちは、“いい子たちで素直”、アップから一生懸命やる。誰にも負けたくないという気持ちもある。最後は気持ちだと思うのですが、私が就任した頃はまだ相手がどうしてくるのか、相手の嫌なことは何か、自分たちがどう攻めればいいのか、戦術やバレーがわかっていないとどう戦っていいかわからない感じでした。自分が選手のときにもそうだったのですが、このときにはこうすればいい、勝負所ではこう打てばいい、頑張るところがわかれば、相手との駆け引きもすごく楽しくなる。

自分が監督になってスタッフと相談しながら伝えていく中で、今シーズンはミーティングでも選手から戦術の話や相手がどうしてくるといった話がすごく出てくるようになりました。サーブのターゲットやブロックのつき方、こう狙ったらこうなるからこうしたほうがいいといった話をどんどんしている。みんなコーチになれるくらい(笑)戦い方がわかってきた。それは1年前にはありえなかったこと。もちろんそうやりたくても技術がまだ伴わないということはありますが、それは精度を上げていけばいい。気持ちの面プラス相手に対してどうすればいいのかがわかってきたことはよいことです。

──サーブターゲット(戦術)などもそうですが、確かにやりたいことが見えます。それでもうまくいったと思えばすぐ対策され、またやっての繰り返し。たいへんですね。

多治見監督:そうです、すぐ対策されます。なので、やらなければならないのはデータや最初にやりたいことがあっても、それは試合の状況によって変わってくるので、試合の中での駆け引きへの対応を早くしたい。ちょっとダメだなと思ったらすぐ切り替えられるようなメンタルと対応力。試合が終わるまで対応できないのではなく、セットの中ですぐに対応できるようになればもっといいですよね。

──監督として一番大事にしているのはどんなことですか。

多治見監督:せっかくバレーボールをやっているのだから、引退した後に「やってよかった」と思えるようにしてあげたいです。そのために勝ったり優勝したり日本一というようないい経験をさせてあげたいと思っていますが、何よりも終わるときに「やりきった」と思えるようにしてあげたいと。

──それは監督自身がそうだったからですよね。

多治見監督:そうです。私は長くやりましたが、長い短い関係なく、精一杯やれればいいと。苦しいことも多いですが、思い切りやって、やったって思えたら、また次にいけると思うんです。監督を引き受けたときに、バレーを一生懸命にやれる環境を作ってあげようと思いました。今ようやくそういう環境が作れてきているかなと思います。現役は限られた時間しかないですから、悔いのないバレー人生にしてあげたいと思います。今しかできないことだから後悔してほしくないんです。

(後編に続く)

写真:堀江丈

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