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インタビュー

2018-02-17 08:00 追加

トヨタ車体 皇后杯優勝インタビュー(後編) 多治見麻子監督「荒木絵里香という存在は大きい。あるべき姿のお手本です」

V1リーグ 女子

──ずっとトヨタ車体を支えてきてくれたのが竹田(沙希)選手ですね。

多治見監督:サキ(竹田)はいろんな悩みがあったと思います。昨シーズンはずっとコートに入れなかったですし。でもベンチ外にはしなかった。キャプテンとしてサキが声を出してくれるのとくれないのでは違うので。苦しいシーズンだったと思います。それで本人も引退を考えたようですが、「スパイクまで打って終わるべきでしょう」という話をしました。「このままで終わったら中途半端だから、やっぱりサキはちゃんとスパイクまで打ってサキらしさを見せて、やりきって終わったほうがいい」と。ずっと腰の状態がよくなかったのですが、夏に体を作り直して、やっと出られる状態までいけて、皇后杯で頑張ってくれたので本当によかった。やっぱり一生懸命頑張っていた選手は報われるべきだから。

決勝の5セット目(10-11)、エリカが(Bクイックの)セットがあわなかったとき(サキがカバーして)相手コートに返した1本は本当に大きかった。他のメンバーにも言いましたが、普段の練習から声を出して、膝を曲げて、基本に正しく一生懸命、一本一本丁寧にやる。それがあの1本に活きたんだと。まじめにやっている選手はああいう場面でああいうことができるんです。体にしみついている、体が反応できるまでやっているからこそできた。すごいことです。戦術も大事ですが、そういう所も本当に大事ですね。

──ネリマン選手の加入もチームにいろんないい影響がありますか。

多治見監督:ネリ(ネリマン)はバレー選手として勝負に対する熱い思いがすごい。熱くなれる人が少なかったので、エリカ(荒木)もそうですが、熱く引っ張ってくれるのがありがたいです。中途半端なプレーはしない。ボールを最後まで追いかける。レシーブも大事な所で拾ってくれるし頑張ってくれる。日本で初めてのシーズンでいろんな思いがあるかもしれないですが、しっかりとコートで表現してくれるので、プロだなと思います。人間性もすばらしい。コミュニケーションも取ってくれるし、周りを頑張らせる声掛けもしてくれる。自分がスパイカーとしてすごいと思うのではなく、打つところまでつないできてくれることを大事に思ってもくれるので、そういう気持ちもありがたいです。

──皇后杯ではキャプテンの髙橋(沙織)選手も頑張りました。

多治見監督:サク(髙橋)は今シーズン初めてキャプテンになりました。お願いしたときには「え!?」って顔をしていましたが(笑)昨シーズンは自分のプレーでいっぱいいっぱいでしたが、キャプテンになって、今シーズンは周りをどうしなきゃいけないということを気にしてくれるようになってきて、それはいいことだなと。周りが見えることによって自分のプレーがうまくなるということがあるので。

でも、本人にも言っているのですが、「周りのことを見すぎて自分のプレーがおろそかになるならやる必要はないよ。サキ(竹田)とはタイプが違うから、サク(髙橋)らしいキャプテンになればいい。サクが一番いいのはプレーで見せることだから」と。3メートル10跳べるし、走ってもチームで一番、運動能力、身体能力が高いので、それをプレーで見せればいい。「サクがいいときはチームも勝つ、それが一番必要だから」と伝えたら、サクもわかってくれて、昨シーズンなら、調子のいい日があれば2日目は……といった感じがありましたが、今シーズンは安定のレベルが上がってきました。キャプテンになって変わったと思います。役割を与えれば本当に人は変わるんだなと。

──セッターの比金(桃子)選手も活躍しました。

多治見監督:モモ(比金)は身長が低いのがわかっていて足りないものもわかった上で、何をやらなければならないかを考えて一番練習している。セッターとしての練習やトレーニングで足りないところを補ったりしているし、本当に黙々コツコツやっている。それが皇后杯の優勝にもつながったと思います。チームを動かすのはセッターでもあるので、ネリ(ネリマン)だけでなく周りをいかしてネリに決めさせるなど、モモのトス回しがよかったからでもあります。ただ比金も責任感が大きくて自分で抱えすぎちゃうので、そこはあまり抱えすぎないように。セッターの安定はチームの安定なので。

──そしてもう一人、けがで戦列を離れていた平松(美有紀)選手も皇后杯決勝で復活。

多治見監督:平松は昨シーズンずっとコンディションがよくなく、出れなくてやっと戻ってきた感じでしたが、皇后杯の決勝前の公式練習のときにいいスパイクを打っていたので、平松を使おうとパッと思ったんです。高さがあってブロックがよいので。ワンタッチなど頑張ってくれました。

もう一人の渡邊(彩)もチーム(仙台ベルフィーユ)がなくなって、バレーボールをやれる場所があってプレミアでやれて嬉しいと全力でやってくれていて、気持ちのある選手です。荒木も含めてミドルブロッカーそれぞれタイプが違って層も厚くなってきました。今シーズンはけが人も治って選手層が厚くなってきたので、やっと最近「誰を使おうか」「ベンチ入り誰にしようか」という悩みが出てきました(笑)やっと競争が始まったので、そうやって競っていけば、もっともっとチームが強くなると思います。今までは人がいないから出られた、頑張らなくても出られた、でもこれからは自分でつかみ取らなければポジション取れない。チーム内の競争が始まったのはプラスです。

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