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バレーボールマガジン>インタビュー>越境バレーボーラー ブドヴァ(モンテネグロ)今村駿 前編「日本は全てが完璧過ぎる!」

インタビュー

2019-03-21 18:00 追加

越境バレーボーラー ブドヴァ(モンテネグロ)今村駿 前編「日本は全てが完璧過ぎる!」

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――今のチームの選手の国籍は?

今村:モンテネグロ、セルビア、ボスニア、マケドニア、コロンビアの選手たちです。

――チーム内の言葉は何語ですか?

今村:英語なんですけど、旧ユーゴスラビアの人たちはセルビア語で話せばボスニアの人にも通じるし、モンテネグロ語を話せばマケドニアの人にも通じるし、言葉のハードルというものはないです。

――監督(セルビア人)が指示を出すときは英語ですか?

今村:最初に要点をセルビア語でバーッと喋って、その後に僕とか、他のセッターとは英語でやりとりしています。

――3か国でプレ―してみて、日本はここが全然違うんだなと分かったことは何かありますか?

今村:日本は全てが完璧過ぎます。リーグの日程を含め、練習環境、もう何も困ることはないんです。自分で行動しなくても、チームがウエアまでも準備してくれます。ミズノさんやアシックスさんがシューズも提供してくれて、それを履く。試合地に移動するにもマネジャーさんが、航空券やら新幹線のチケット、ホテルまでも手配して、選手は試合に必要なものだけ準備して移動すれば“それでよし”、みたいな。

――こちらは違うんですか?

今村:こっちは全部自分で用意しないといけないんです。Tシャツとかユニフォームはともかく、自分が履くシューズやらサポーターやらは自分で準備しないといけません。僕が行った3か国(スウェーデン、イスラエル、モンテネグロ)はそうでした。他のトップレベルの国になれば、すべてが支給されると思うんですけど、僕が行った国はそういうところではないので…。日本だったら、リーグやってるところはコートにしてもきしむところや、床がはがれてるところなんてないだろうし、大方の試合タラフレックスのコートで試合できますよね。試合の時だけカラーテープを張ってとか、チャレンジシステムがあったりとか、ラインズマンの人がちゃんと4人いますよね。

――ラインズマンの人数が揃わないこともあるんですか?

今村:ありますよ! むしろ2人いたらいいかな、みたいな。

――その中で試合をしていて、判定に対して思うこともありますか?

今村:でも、それは言ってもしようがない、2人しかいないし、と思ってしまいます。主張はするけど、変わるわけじゃないので…。イスラエルの場合だったら、それを主張したとしても、その審判も結構自分に自信を持っているから、イエローカードを平気で出すし、(選手が)暴言吐いたり、自分が気に食わなかったら、レッドカードも出ます。(試合会場の環境も)日本だったら、リーグをやっているところはコートにしてもきしむところはないだろうし、床がはがれてるとこなんてないだろうし、全てが整ってると思いますけどね。多分、今僕が(日本へ)行ったら、すっごく興奮すると思います。こんな環境で試合ができるんだ! みたいな。日本でプレーしていたけど、いざ3年離れてみて、それは特別な空間っていうか、それほど環境整備されてるんだ、日本は! こちらはないのが当たり前ですからね。

――何がないのでしょう。

今村:日本だったらないものを探す方が難しい。使用するところもみんなきれいに使うけど、こっちは土足やら下足やらの区別はないし…。日本のバレーボール環境は恵まれていると思うけど、かといって今のこの環境が恵まれてないから何もできないかって言ったら、そんなことないよ、と。ボールがあって、チームメイトがいて、相手がいたら試合は問題なくできるし、その中で自分が最大限のパフォーマンスを発揮すれば、評価されるし…。ないものに関して、なんでこれがないんだって比べちゃったら無理だけど、この国にはこの国のやり方があって、日本には日本のやり方がある。日本の普通がこちらの普通ではないし、こちらの普通が日本の普通ではないと思うんですよね。そういうのをすべて理解しないと生活するにも苦労すると思います。

この国はこれが当たり前。例えば体育館が軋んでいたり、床がはがれたり…。この国は基本的にそういうのが普通で、空調もやっぱりしっかりしていない。ここも雪が降る地域なんで、もっと北の方とか山間に行ったら雪が降って外はマイナス。日本の場合だったら、暖房付けないと試合になりませんよね。でもここだったら、それが普通だから暖房施設がない中で試合します。例えばこんな寒い環境だったらできませんって言うと、じゃあしないでくださいとなる。この国にはこの国のやり方がある。そういうのを受け入れてやらないといけません。凄いと思います、日本のリーグ、日本の環境は。

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