全日本バレー、Vリーグ、大学バレー、高校バレーの最新情報をお届けするバレーボールWebマガジン|バレーボールマガジン


バレーボールマガジン>インタビュー>越境バレーボーラー ブドヴァ(モンテネグロ)今村駿 後編「嫁ともよく話すんです、海外に行くのは恥をかきに行くようなもんだと」

インタビュー

2019-04-02 19:48 追加

越境バレーボーラー ブドヴァ(モンテネグロ)今村駿 後編「嫁ともよく話すんです、海外に行くのは恥をかきに行くようなもんだと」

Others

――今、海外移籍について相談を受けている日本人選手はいますか?

今村:いっぱいいますよ。僕が海外に出たことによって(海外で)プレーしたい人ってたくさんいると聞きます。東レを一度やめてスウェーデンリーグでプレーした梅野聡は同じ関東大学リーグだったから面識もありました。といっても連絡先は知らなかったけど、誰かに聞いて連絡とってくれたりとか、人伝いに僕のところに相談にきます。今、タイリーグでやってる元つくばユナイテッドの柳川大知君からも、相談されたりしました。他にもいろいろ聞いてくる人も結構いるんです。海外でやりたい願望はあるけど、どうやって行ったらいいか、手段が分からないようです。行くためにはどうしないといけないかとか。自分個人は何を準備しないといけないのとか。行きたいから行けますというんじゃないので、その前にやることがいっぱいあるんです。

――そんな苦労の中、今村選手は不安に押しつぶされてないという印象を受けますが…。

今村:いや、すっごい不安ですよ、ホントに。明日どうなるかわからないので、ね。でも海外に出たい人はいっぱいいるんだな、と思います。知り合いになったエージェントの人から例えば、いい日本人のアタッカーの選手いない? セッターの選手いない? リベロの選手いない? そういう話も聞きます。

――最後に言い足りないことがあればお願いします。

今村:僕は、3シーズン日本のバレーボールを離れて、日本人プレーヤ―と一緒に過ごしていません。正直現場にいる者じゃないから、「ああだから」「こうだから」と言うことはないです。言うことはないですが、人間には,どの環境であれ、環境に慣れる能力がそもそも備わってると思っています。今いる環境に、日本人の選手は皆慣れちゃってると思いますが、その環境はすごく特別な空間です。かと言って今僕がやってるここの環境はどうあれ、その環境に適応するしかないのです。その中で自分ができる最大限の力を日々出して、その積み重ねが次に繋がるのを信じるしかないのです。嫁ともよく話すんですが、海外に行くのは恥をかきに行くようなもんだ、と。例えばカフェとかで5歳位の子どもが遊んでるじゃないですか。その子たちの方がよっぽど店員とコミュニケーションを取れるんですよ。こっちなんかメニューを見て挿絵とかがなかったら、「何だこのメニューは?」から始まるわけなんですよ。それが当たり前ですもん。そういう生活が来ることは分かっていました。何でもかんでも完璧にこなせるわけじゃないんですが、結局バレーボールがあって、チームメイトがいて、対戦する相手とコートとネットがあったら、バレーボールの試合は成立するわけなんです。新しい環境に行ったら新しい発見もあるので、それが新鮮で自分のエネルギーになります。もちろん恥をかくことの方が多いですけど…。僕のチームメイト達はどうしたら日本でプレーできるのか凄く聞いてきます。それだけ日本のリーグは海外の選手からしても魅力的な場所であるのは確かです。でもそれ以上に子供たちがバレーボール選手になりたいと思える場所に作り上げていくことが大切だと思います。僕も日本のリーグと違った角度からバレーボールの面白さを発信して行けたらと思います。

現在プレーオフ中のモンテネグロリーグ、ブドヴァは準決勝でvolley starを下し決勝進出が決定。取材に訪れた2月17日(日)は、昨シーズン優勝チームJedinstvo Francaを相手に今村選手が第3セット、サーブで崩し続け連続得点を挙げ、チームの勝利に大きく貢献しました。監督から期待されていないと言っていたブロックを決め、仲間から抱きかかえられチームの中心となり喜び合う姿も。インタビューにもあった爆発力が顕著に見られたモンテネグロ・リーグ、伸びしろの大きい若い選手たちが今村選手のセットアップでバレーを楽しんでいる姿が試合中至る所に表れていました。

取材・文:宮崎治美

今村 駿 (いまむら しゅん)1987年7月20日生まれ(31歳)千葉県印西市出身
181cm/70kg ポジションはセッター 日本では堺ブレイザーズに所属

>> インタビューのページ一覧へ戻る

同じカテゴリの最近の記事

コメント

Sorry, the comment form is closed at this time.

トラックバック