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バレーボールマガジン>インタビュー>越境バレーボーラー古賀太一郎(ザヴィエルチェ・ポーランド)後編「五輪を意識し始めたのは最近。清水邦広さんの復帰は、もっと報道されるべき」

インタビュー

2019-05-16 08:00 追加

越境バレーボーラー古賀太一郎(ザヴィエルチェ・ポーランド)後編「五輪を意識し始めたのは最近。清水邦広さんの復帰は、もっと報道されるべき」

Others / 全日本代表 男子

――中垣内監督からは、どんなことを期待されていますか?
古賀:今まで世界選手権とかを踏まえて、今後こうやってほしいという要望と、来年どこのチームでやるかといった話でしたね。

――そういえば、清水邦広選手が1年ぶりに復帰しましたね(取材時は1度目の復帰)。
古賀:あれは、どんどんもっとサクセスストーリーとして伝えていってほしいですね。僕らもシェアしていかないといけない。清水さんの復帰は、メディアのみなさんにもっと取り上げてほしいです。あの怪我は衝撃でしたし。それを乗り越えて復帰されるのが本当にすごい。尊敬していますし、もっと知られてほしいです。

――オリンピックに向けて、今どういうことをしていきたいですか? さっき言われたように、一つ一つの試合をこなしていく?
古賀:自分としてできるのは、高いレベルの環境において、1日1日スキルアップすることと。去年の世界選手権の反省ですけど、メンタルの面で重しになれるような存在になるために、チームに還元できたらなと思いますね。1日1日の積み重ねでしかない。

――ポーランドリーグは、予想通りかなり激しいファンの応援がありますね。アウェイでのやりづらさはありますか?
古賀:チームに、普段しゃべる選手がいっぱいいればいいんですけど、今のチームは言葉少ない選手が多いので、難しい場面だともっと少なくなっちゃう。その分自分がもっと声をかけよう!とはするんですけど、相手サポーターの声にかき消されちゃったり、その分大きな声を出そうとしてエネルギーも使いますよね。ガス欠じゃないですけど、はーってなるときが試合の中であると、相手にとってすきになったりする。アウェイはすごく疲れますね。やりづらさはないけど、疲れます。気を抜くことができない。

――逆にホームでは?
古賀:ホームではすごく楽です。あのサポーターがうわーっと体育館を囲んでくれるので。

ザヴィエルチェのファンたち

――日本人ファンの方に、ザヴィエルツェのサポーターさんの皆さんが話しかけてくれて、「コガ」っていう単語と、「スパシーバ」じゃないけど、なんか多分褒める言葉を繰り返し言ってくれたそうなんですよね。
古賀:(笑)。ありがたいですよね。やはりホームとアウェイはすごく違いますね。

――そこは日本と違う?
古賀:といっても、久しく日本でやってないので、今どうかはわからないんですけど。

――今年から新リーグでホーム・アウェイを増やしたんですよ。それで、ホームゲームのときは対戦チームの電子音楽を鳴らさせないみたいなチームも結構増えて。
古賀:そうなんですね。日本人の性格上こっちみたいな応援は絶対できないと思います。でもサッカーとかはやってるか。もしかしたら、バレーボールに対する熱の問題かもしれないですけど。今のバレーボールの熱で、こっちの喉が枯れて、次の日に声が出ないくらいの応援というのはないかもしれませんね。

――こちらでは、相手のサーブのときにめちゃくちゃブーイングしますよね。
古賀:日本独自の、電子音楽を使っての応援が確立されてたじゃないですか。あれはあれで一つの文化だと思うんですよね。そういう見方でしみついている。立って応援するというのがない。今転換期でいろんな違和感は、選手しかりファン然り、どうやって応援したらいいのか迷っているところなのかな?

サッカーとかは日本でもすごく激しい応援なんですよね。浦和とかは聞きますよね。レッズサポはすごいって。

――やはり日本のバレーは女性ファンが多いですよね。だから同じものを求めるとつらいというか、女の人にあんな野太い声は出なくて金切り声になっちゃいますからね。
古賀:確かにそういうところはあるかも知れません。こちらでは、完全ホームアウェイですね。それでしか試合をしないですね。

そういえば、娘が40度の熱を出して。こっちではインフルエンザの検査をしないんです。タミフルを処方してくれない。食欲があるので、自力で熱を下げるしかない。水分取らせて。海外で3年もいたら、いろんな術が身につきましたよ。すぐ薬とかすぐ病院とかじゃなくて。子供のことも含めて。

――お医者さんにかかるのも日本語じゃないんですもんね。
古賀:そうですね。でもチームはすごく親身になってサポートしてくれて、マネージャーとかすぐかけつけてくれます。そこはプロフェッショナルチームである所以。スタッフもしっかりしてます。監督・アシスタントコーチ・トレーナー・その他のスタッフ全員がプロフェッショナルです。

フランスのときは監督だけ。トレーナーは常駐じゃない。ポーランドは日本みたいにしっかり役割分担ができています。

――昔デンマークリーグに山口誠さんが行ったときに、取材に行ったんですよ。「え、これ大学の関東一部のほうが、いろいろレベル高いんじゃない?」って衝撃でした。
古賀:そういうところはありますね。だからどこに価値を置くかですよね。バレーボールのスキルを上げたいなら、やはりしかるべきレベルのところに行くべきだし、「海外を経験したい、見たい」ということなら、いくらでも行けるところはある。海外に行ったからといってバレーが上手になるかと言えば、そうでもない。もちろん海外に行くことで選択肢が増えるのはプラスなことですけど、自分の価値をどこに置くか。そこに行く価値があるかというのはしっかり判断するべきですね。

自分はやはりスタートは「バレーボールがしたい」でした。今は変わりましたが。

――前にお兄さんにインタビューしたときに、「やっぱり弟さんにだけは絶対負けないぞ!みたいなところはありますか?」って聞いたら笑って「いやいや、そんなのは別にないですよ」って言ってらして、あら?そうなんだと。
古賀:(笑)。でも5歳違うと、そんなにライバル意識はね。2歳差とかだとライバル意識もあるんでしょうけど。

――お兄さんがNECにいた若い頃に取材させてもらった記者が、「弟もリベロをしてるんで、弟のことも取り上げてやってください」と言われたらしいんです。お兄さんとバレーの話はするんですか?
古賀:兄弟4人いるのでそのラインではしょっちゅう話はします。でもバレーボールの話はしないですね。家族同士中がいいので、子供の写真を送ったりとか。日常の話です。バレーの話は柳田とか石川とかですね。

――アドバイスを求めてとかは?
古賀:いや、しないですね。言われてみるとなんでかなと思いますが。

――2019年度の目標を。
古賀:苦手なんですよ、目標を立てるの。ここまで日々の積み重ねでしかきてないので、大きな1ヶ月先とか2ヶ月先の目標を立てる習慣がないんです。怪我をしないのは大事ですね。今シーズンの目標が、怪我をしないでプレーし続けるというのが目標で、これまでそれは達成できました。
今年のチームの目標はプレーオフ進出なんです。プレーオフに行くと何が起こるかわからない。個人としては、怪我をしないように毎日のケアだったり。全日本としては、まずその一員になるのが大一優先。選ばれたら、去年も出たり出なかったりなので、チームの重しになるためには出続けないといけない。メンタルの面で重しになること。

オリンピックは12人だからリベロは1人じゃないですか。だからディグもレセプションも大事ですよね。その両方を頑張る。それが目標です。

ザヴィエルチェは今季プレーオフに進み、4位という成績でシーズンを終えた。古賀は2019年度の全日本代表に選出された。リーグの終了が遅かったため、全日本代表の始動会見には間に合わなかったが、その経験を糧に、今年度もさらに龍神日本の守護神として活躍してくれるだろう。

写真・文:中西美雁

古賀太一郎(こが たいちろう)
国籍 日本
生年月日 1989年10月4日(29歳)
出身地 長崎県佐世保市
身長 170cm
体重 70kg
血液型 A型
ポジション リベロ

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