2015-12-08 18:22 追加
GMに聞く NECレッドロケッツ中村貴司さん
GMに聞く インタビュー
SV女子
昨シーズン、10年ぶりの優勝を果たしたNEC。山田晃豊監督が「チーム力」の向上を目標として戦ってきた結果の優勝であったが、もう一人、就任以来、チーム改革に積極的に取り組んできたのがNECブルーロケッツ出身の中村貴司GMである。今回は、選手や現場スタッフとしての経験も生かしつつ、コート外でのチーム運営に積極的に取り組んでいる中村GMにお話を伺った。
選手たちの人間的な成長に期待
―中村さんがGMに就任された経緯を教えてください。
2009年にチームディレクターを務めていたNECブルーロケッツが休部となり、その後、2年間は社業に専念していました。2011年、前任の林孝彦氏(現JVA事務局長)がVリーグ機構の事務局長に就任する際にお話をいただきました。
―同じ会社ですが、女子チームとの関わりは初めてだったのでしょうか?
はい。全く初めてでした。就任当時、チーム成績は初の最下位で、入れ替え戦を経験するような状況でした(入れ替え戦には勝利し、プレミアリーグに残留)。まず、1年間は様子を見ながら試行錯誤しつつ、改革すべきものを見極めようと考えました。
―その結果、どんなことを改革していこうと考えましたか?
私は社業に専念した2年間でいろいろ勉強できたし、スポーツチームの立場というものを客観的に見ることができ、レッドロケッツも今の時代に合ったスポーツチームとして成長しなければならないと思いました。そのため、バレーボールを通じて社会に貢献したり、支援活動を行うことは、選手たちの人間的成長にもつながるので、積極的に取り組みたいと考えたんです。企業チームという環境でプレーができることに感謝の気持ちを持ち、さまざまな立場の人たちと肌で触れ合い、周囲の考えを肌で感じたり、それらの体験を通じて自分の考えを持つことがプレーにも生かされるはずだと。
―具体的な活動としては、どのようなことに積極的に取り組んできたのでしょうか?
まず、会社の支援あっての活動ですから、バレー部の活動に関心を持ってもらい、応援が得られるように、職場への挨拶や活動報告をきちんと行うこと。自分の配属部署に戻った時には「バレー部、しっかりしてるね」と言ってもらえるようにしたいと。そして、もちろん、ファンあってのチームですから、NECスポーツ後援会会員限定のファン感謝祭を行うことや社内のイベントへ積極的に参加するようにしています。また、ホームゲームの後にアフターマッチを行うなど、試合を応援に来てくれるファンに対してイベントを行っています。このほか、後援会会員に対して会員限定のウェブサイトとメルマガを発信したり、優先チケット販売を行ったりしています。もちろん、ファンクラブの在り方は他のチームさんとは異なりますが、我々独自のファンサービスを行うことで、ファンの皆さんもより一層応援してくれますし、選手にとっても大きな励みにもなりますから。
ホームタウンとのつながり
―レッドロケッツは2005年に本拠地をそれまでの横浜市から現在の川崎市中原区の玉川事業場に移転しましたが、川崎市と連携した活動にはどのようなものがありますか?
移転した年に川崎市ホームタウン推進パートナー(現在はかわさきスポーツパートナー)に認定していただき、それ以来、連携した活動を行っています。年に1度、選手たちも一緒に多摩川の清掃活動をしたり、ボールのふれあい事業として、川崎市の小学校で体育の授業をしたりしています。小学校への選手派遣は年に5回程度あります。選手が2、3人ずつ小学校に行き、体育の時間にバレーボールを教えるのですが、教えることの難しさを学んだり、子どもたちの夢や楽しさを共有したりと有意義な活動になっています。
―川崎市だけではなく、神奈川県全体での取り組みもあるのでしょうか?
県の協会や教育委員会と連携し、小中学生や高校生向けのバレーボール教室を行っています。これらのバレーボールを教える活動はチーム全体で行うものもありますが、2~3人ずつの選手が自分たちで公共の電車やバスを使って移動して、現場の方たちとも直接打ち合わせをします。そうすることにより、選手全員がチームバスで移動して行うバレー教室よりも社会性が養われます。勇退後、社業に専念する選手も多くいますが、その時に社会人としてのマナーが身についていないと困ります。これらの経験をすることは人間力を鍛えることにも役立つのではないでしょうか。
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