2017-07-12 08:00 追加
全日本女子 中田久美監督に聞く(後編)「初年度は課題をひとつずつクリアするところから」
中田監督インタビュー
全日本代表 女子
中田久美全日本女子監督インタビュー後編は、個々の選手たちについての印象や、外国人コーチの起用に至る経緯、今後の目標などについて、お話を伺った。
選手たちの努力と成長
――では、セッター以外の選手についても伺います。久光製薬スプリングス以外の選手とは初めて一緒にやっていくということで、お互いをよく知るようにしていきたいとのことでしたが、個々の選手について、初めてわかった意外な面というのはありましたでしょうか? 印象に残った選手がいましたら、教えてください。
中田:やっぱり鍋谷(友理枝)は上手いなと見ていて思います。安定していて、計算できる選手ですね。本人は100%でやる子なのですが、(コンディションに関わらず)常に7割以上の力を出せるんです。三振かホームランかっていうのも大事ですが、常に7割とか8割くらいで動けるというのは強みです。サーブもいいし、勝負強いところもあるし、それでいて、人を生かすということも知ってるし、自分の生きる道を知ってるので、あの安定感というのは思っていた以上にいいなと感じました。
――同じポジションでいうと古賀(紗理那)選手はどうですか?
中田:古賀は最初は速いトスを打つということに抵抗ではないけど、戸惑っていて、「サーブレシーブを高く上げないで」と言われた時に、どういうことなのかと感じていたようです。そこで、「体をこういうふうに使ってみたら?」とか、「このタイミングで入っていってみたら?」などと声をかけるとすぐにできるんです。所属チームがそういうバレーではなくてもすぐに吸収できる力があります。
――NECレッドロケッツの山田監督にインタビューした時、「うちの選手はアピールが苦手」と心配されていましたが、古賀選手や島村(春世)選手は全日本で積極的にアピールしていますか?
中田:島村は積極的にやっていますね。みんなに声を掛けてくれたり、率先して声出しをしたりとか。そういうのも彼女が世界と戦ってきて、いろんなことを感じて「このままじゃいけないんだ」と考えたり、体験したことによる成長だと思います。それはとても貴重なことで、どんどん突き抜けていったらいいと思います。
――ほかには、今、この選手に注目してるというのはありますか?
中田:岩坂(名奈)の意地ですね(笑) 肩の脱臼などがあり、満身創痍の中でキャプテンとして頑張っています。伝達の仕方とか自分で工夫して、あとは動きのスピードというところでウェイト(トレーニング)を一生懸命頑張っているようだし、チームもまとめなきゃならないし、私に怒られるし(笑)、もうてんやわんやだと思いますけど。
――ほんわかした優しいイメージがありますが、芯がしっかりした選手なんだなとご本人からもお話を伺って感じました。
中田:彼女はとてもチームをよく見ています。その前の岩坂を知っているからなおさらよく頑張ってるなと感じます。プレー面ではやはりブロックがいいですね。188くらいの身長がある選手、松本(亜弥華)もそうですけど、彼女たちがタイミングにはまった時の高さは大事にしながら、さらに磨きをかけていきたいと思っています。
――本人はブロックだけでなく、攻撃面でもチームに貢献したいと話していましたが…?
中田:今年の3人のセッターはある程度の高さがあるので、トスが打ちやすいという話はしていました。小さいセッターとはボールが上がる位置が違うので、視界が広くなるみたいです。
――ご本人は「久美さんと出会ったことで私のバレー観が変わった」とお話しされていました。
中田:いやいや、私はたいしたことはしてなくて、一緒にごはん食べてるくらいですけどね(笑) でも、そういうことを一人でも言ってくれる選手がいると、「監督になってよかったな」と感じますね。
――岩坂選手は同期の新鍋(理沙)選手にも助けられているそうですが、副キャプテンというのは特に設けない方針なのでしょうか?
中田:特に副キャプテンという指名の仕方はしていませんが、もちろん、新鍋にはちゃんと話をしています。私の見えないところで新鍋もいろいろと岩坂のことを助けてくれてると思うし、彼女たちより年上のお姉さん選手たちも結構協力しながらやってると感じています。
――新鍋選手も久々の全日本ですが、監督の目から見てどうですか?
中田:世界クラブ選手権で股関節をいためたので、今は7~8割くらいの感じで動いていますが、「そんな中でもできることはあるでしょ!」と発破をかけてやっていますけどね(笑)
――世界クラブ選手権は出場した選手たちにとってはつらい大会になってしまったかと思いますが、ご覧になられてどう感じましたか?
中田:私は1試合しか見てないのですが、確かにつらい大会だったかもしれませんが、収穫もあったはずです。
――岩坂選手は「見に来てくれた方々に申し訳ないことをした」とおっしゃっていました。
中田:2年くらい前なら、そんなことを言える選手ではなかったですよ。そういうことを言えるとか感じられるということがやはり彼女の成長したところだと思います。
同じカテゴリの最近の記事
- 石川祐希所属ペルージャはレギュラーシーズン2位でプレーオフへ「充実したシーズンだった」 イタリア1部 [Others,全日本代表 男子] / 2025.03.05
- PFU 池谷優佳が今季限りでの現役引退を発表 SV女子 [SV女子] / 2025.03.04
- 運動推進企業「リィ」とアスリートパートナー契約を締結した「サントリーサンバーズ大阪」の小野寺太志選手が「運動を通じて健康やスポーツの楽しさや素晴らしさを広めていきたい」。SV復帰は「今月中にも」 [SV男子] / 2025.03.03
- 1日にプレーオフ進出を決めたVT三重が25勝目。東西の2位・埼玉、F鹿児島も勝ち星を重ねる V男子 [V男子] / 2025.03.03
- ヴィアティン三重、セットを奪取するも勝利には届かず。仙台・栁下夏苗が要所で相手の流れを断ち切る V女子 [V女子] / 2025.03.03
コメント
Sorry, the comment form is closed at this time.