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コラム

2019-02-08 18:42 追加

“無の境地”西田が東レを粉砕 プレーオフ入りかけた天王山 V1リーグ男子

ジェイテクトが東レを撃破

SV男子


 
 バレーボール男子V1リーグのジェイテクトスティングスは2月3日、大阪の堺市金岡公園体育館で東レアローズを3-0(25-19、25-21、25-21)に勝利した。
 ジェイテクトは前日2日に堺ブレイザーズに完敗したが、この日は打って変わって、日本代表の西田有志やブルガリア代表のブラエトフ・ヴァレンティンが持ち前の攻撃力を発揮。また、キャプテンの浅野博亮が攻守に渡って活躍するなどチームの歯車が噛み合い、東レを圧倒した。

 西田は試合後、活躍できた理由を問われると「無」と答えた。今シーズン、思うようなプレーがなかなかできず、1月30日に19歳になったばかりの若武者は、無の境地に至ったことで、本来の調子を取り戻した。

 プレーオフのファイナル6入りをかけた重要な一戦だった。この週の大阪大会の試合前の時点で、5位東レ、6位ジェイテクト、7位堺と、順位ポイントが僅差でひしめき合っていた。しかし、前日2日の堺戦は0−3の完敗。ただの負け以上に、雰囲気の悪さが伝わる後味の悪い負け方だった。一部の選手たちがイラついて選手の輪に入ってこない、選手間の声の掛け合いも少ない。客席から見ていてもコート内の雰囲気は最悪だった。そんな状態だから、コート内に落ちてくるボールをお見合いも多かった。その試合後に行われた東レの完勝ぶりを見れば、この日のファイナル6入りをかけた天王山で、ジェイテクトは負けるように思えた。

 ところが、日をまたぐとジェイテクトは一変していた。東レ相手に、空中分解していたはずのチームの輪が見事に噛み合う。ブラトエフ、西田の強烈なジャンプサーブ、浅野、久保山尚、秦臻のジャンプフローターサーブで、東レの守備を崩していくと、ブロックで仕留めたり、切り返しから西田やブラトエフが着実にスパイクを決めていった。コート内でも浅野、金丸晃大、興梠亮が中心となって積極的にコミュニケーションを図るなど、前日に見られたようなお見合いからの失点も無くなり、攻守ともに連携の良さを見せた。

 チームの若き主砲・西田が躍動した。力強いスパイクで東レの高いブロックを何度も弾き飛ばし、ブロックでは東レのキープレイヤーであるミャンマー代表のアウン・トゥをブロックするなど、一人で21点(スパイク17点、ブロック3点、サーブ1点)と大暴れ。ジェイテクトのファイナル6入りを一歩押し進めた。

 西田は前日堺戦で何かおかしかった。得点こそ決まっているものの、スパイクはどこか力なく、打っても堺の守備に拾われることもたびたび。自慢の豪腕サーブも本来のキレなく、あっさり返されていた。試合後会見では、西田は苛立ちを押さえ込むかのように、低いトーンで話した。
「このリーグが始まってから自分が思った通りのプレーが一回もできてない。そこに対してずっとストレスが溜まっていて我慢しきれない自分がいます。自分のふがいないプレーだとか、いらつきというのはあった。昔デビューした頃のガムシャラさというのが3セット目しかでてなかったんで、それでスパイクも決まるようになりましたし、やはりああいうスタイルが自分のモチベーションになると思う」

 日本代表という看板を背負ったことに対するプレッシャーもあった。「勝手に感じていた」という重圧をはねのけるかのように、東レ戦では大活躍を見せた。試合後、西田はプレーの変貌ぶりを問われ、「無、無っす。何も考えなかったんで。(スパイクとか?)はい。逆にすっきりした状態で、それがああいう形で良かったかな」とスッキリした表情で、チームバスに乗り込んでいった。

 大ブレイクから1年。Vリーグにプロ野球のような“2年目のジンクス”という格言が存在するかはわからないが、西田は苦しみながらもガムシャラさで打破したようだ。

ファッションブランドに出演

 西田は自身のツイッター上で、ファッションブランド「a.v.v」に出演したことを明かし、2日の会見でその出演について聞かれた。出演の経緯について「ブランドが、各スポーツ分野の選手一人一人を取り上げている服です。元バドミントン(北京五輪、ロンドン五輪の日本代表)の池田信太郎さんがプロデュースした服で、その服でスポーツ選手の価値を上げたいということで、出演させてもらった」と答え、普段のファッションについて聞かれると「最近ちょっと(色気)ついちゃいました」と笑って、浅野から「格好良くなっちゃって〜」と突っ込まれていた。ジャンルについて聞かれると「いろんなジャンルを着こなしているつもりです」と答え、隣に座る金丸から「ロリータ(ファッション)って」と茶々を入れられていた。

文・写真:大塚淳史

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