2021-03-16 20:22 追加
試合中もマスク着用を続ける東レアローズ富松崇彰の思い
SV男子
この試合のあとは、またマスクを着けないで試合をすることになったが、富松はやはり装着してのプレーを続けている。
改めて富松にマスクを着用しての試合のプレーについて聞いてみたところ、「僕らは練習では常につけてやってます。感染症対策というか飛沫をできるだけとばさないように。最低限の対策はとってるっていう感じでやってると思います。
何人かはあのFC東京戦のあとも着けることがあります。あの試合をきっかけに、外さなくても試合できるじゃないかって。僕なんかは外して試合する方が違和感ある感じに…(笑)。練習で着けてやってるのに、試合でなくすのはなんか違うって思うんですよね。
パフォーマンスの低下とかは今のところはもう全く感じないです。着けてやってるメンバーも全くしんどそうな感じは見受けられないですね。他の選手に強制しようとは思わないですけど、今こんな状況の中で、少しでもリスクを減らす努力を、僕自身はしていきたいと思っています」と、マスクを着用してのプレーに彼なりの必然性を感じ、着用してのプレーにも自信をもっているようだった。確かに、富松が出場して劣勢をひっくり返したことは何度もあるし、マスク着用によって彼のパフォーマンスが落ちたようには感じられない。
「少しでも感染リスクを減らし、練習、試合を成立させたい」。その思いが、富松を動かしている。
再び大分の久保医師に、聞いてみた。
「今回の件では、マスク着用でも試合をすることに許可していただいた東レアローズとFC東京の両チーム関係者ならびに他の全ての関係者に会場ドクターとして感謝しています。新型コロナウイルス感染が流行しているのにスポーツをしている場合かという意見があることは承知していますが、スポーツに人生をかけている選手たちを応援する気持ちと、スポーツには人々に勇気を与える力があると感じていますので、私はスポーツ界にこれからも医師として協力していきたいと思っています。」
各競技間でも感染者が出た場合にどうするか、異なった基準が設けられているが、柔軟な判断で全員マスク着用での試合を成立させたことは、選手、関係者、観客それぞれにメリットがあったように思われる。コロナ禍におけるバレーボールのプレーについて、一つのあり方を示した試合であり、1選手であったといえよう。
3月13、14日の三島大会でも、マスクを着用してコートに立ち、活躍する富松の姿が見られた。V.LEAGUEでは、新型コロナウイルスに関しては陽性者だけでなく、濃厚接触者も2週間の隔離が義務付けられる。マスクを着用していれば、自チーム、対戦相手に陽性者が出ても、試合を行うことができる。接触感染はないといわれる今、この仕組自体に問題を投げかけているのかもしれない。
取材・文:中西美雁
写真:東レアローズ提供 坂本清
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