2022-01-10 11:28 追加
2セットダウンから日本航空(山梨)が鎮西(熊本)に大逆転勝利。月岡裕二監督は選手と監督の両方で高校日本一に 春高男子決勝
春高男子最終結果
高校バレー 男子
春の高校バレー(第74回全日本バレーボール高等学校選手権大会)は9日、東京体育館(東京都)で決勝戦が行われた(無観客)。
男子は今年度インターハイの覇者で、4年ぶりの春高優勝を狙う伝統校・鎮西(熊本)と、出場20回目で初の決勝進出となった日本航空(山梨)が対戦。両者ともブロック&ディフェンスから小さなエース・舛本颯真(鎮西2年/182cm)、前嶋悠仁(日本航空3年/180cm)らの攻撃につなげるスタイルで、粘りのバレーを展開。第1・第2セットを鎮西が25-20、25-23で連取し、第3セットも一進一退の展開となる。鎮西が23-22とし、あと2点で優勝というところまで行くが、ここで日本航空はミドルブロッカー・渡邉健(2年)のクイックなど3連続得点で逆転し、25-23でセットを取り返す。
続く第4セット、波に乗った日本航空は司令塔・樋口響(3年)が多彩な攻撃を展開して、25-19で奪取し、遂にフルセットに持ち込む。第5セットは日本航空がリードし、先に8点を奪ってコートチェンジ。鎮西も舛本の攻撃や3枚ブロック、平田悠真のサービスエースなどで追いすがるが、日本航空は前嶋や対角の小林柊司(3年)らがスパイクを決め、15-11でこのセットも奪い、粘りのバレーで悲願の日本一を勝ち取った。
6月に校内でコロナクラスターが発生した影響でインターハイ予選辞退を余儀なくされ、「切り替えてやるしかない」と春高に懸けてきた日本航空。前嶋主将は「エース同士の打ち合いになったら打ち負けない気持ちで戦った」と話した。対角の小林も「前嶋のマークが増えると逆に自分へのマークが薄くなったので、それをどう打ちこなすかを考えた」という。3歳違いの小林の兄は同校バレー部の元主将で、ずっと応援してくれていたという。前嶋、小林、樋口、ミドルブロッカーの利川慈苑(3年)は大学でもバレーを続けると試合後の記者会見で語った。
1986年の春高で藤沢商(現・藤沢翔陵/神奈川)の主将とエースを務め、選手として春高日本一の経験がある月岡裕二監督は、就任24年目で遂に監督としても同じ春高の舞台で日本一に輝いた。「昔のことはあまり覚えていない」と謙遜しつつも、「当時の経験は指導者となった今もどこかで生き続けていると思う」と話した。
一方、日本一を目の前にして敗れた鎮西のエース・舛本は連戦が続いた中でのフルセットでスパイクの打数も多く(スパイク打数96、得点51。ブロック得点1で総得点52)、身体的にも疲労が蓄積していたはずだが、「それを決めるのがエースの責任。3セット目以降は疲れも出たが、それを言い訳にしたくない。チームメイトが支えてくれたのに気持ちの弱さが出て、決めきれなかった。気持ちの弱さを克服して、次は日本一のエースになれるように努力したい」と涙ながらに語った。
インターハイでベストリベロ賞を獲得した髙木大我(3年)は「自分たちに気の緩みが出て、攻めきれず、守りに入ってしまった。颯真(舛本)はチームに必要不可欠な存在で頼もしかったので、これからにも期待したい」と話す。卒業後は大学には進学せず、9人制の三菱電機熊本でバレーを続ける。「就職という形なので、バレーよりも仕事が中心になると思う。片親で育ててくれた母は大学に行っていいと言ったが、恩返しがしたかった。自分自身は3年間、悔いなく終われたので、後輩にはこれからも1戦1戦を大事にして、今回決勝で負けた借りを取り返してほしい」と現在の思いを語った。
【男子決勝戦の結果】
日本航空 (山梨)3(20-25,23-25,25-23,25-19,15-11)2鎮西(熊本)
【男子最終結果と個人賞】
優勝:山梨県代表・日本航空高等学校
準優勝:熊本県代表・鎮西高等学校
3位:秋田県代表・雄物川高等学校、宮崎県代表・日南振徳高等学校
■優秀選手賞
前嶋悠仁(日本航空)
樋口響(日本航空)
舛本颯真(鎮西)
九冨鴻三(鎮西)
石塚蓮(雄物川)
甲斐優斗(日南振徳)
■ベストリベロ賞
伊東昌輝(日本航空)
■最優秀選手賞
前嶋悠仁(日本航空)
■勝利監督賞
月岡裕二監督(日本航空)
写真:堀江丈、坂本清
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