2022-04-02 08:18 追加
これが最後の試合? アメリカ女子バレープロリーグに参戦中のシェイラ・カストロ(ブラジル)
アメリカリーグコラムとシェイラ
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ブラジルを代表するOPの一人、シェイラ・カストロ。彼女は現在、アメリカで開催中の女子プロリーグ、アスリーツ・アンリミテッドに参戦中だ。2021年のネーションズリーグ後から、ブラジルのスーパーリーグのチームItambe/Minas(イタンベ・ミナス)では、アシスタントコーチも務めている。
■また出てきた、すごい選手が。
女子プロリーグAthletes Unlimited(アスリーツ・アンリミテッド、以下AU)とは、44人の選手が4チームに分かれ(選手の出場機会を増やすため、1チーム11人制)、毎週チームメンバーを組み替えて戦う。チームの優勝ではなく。個人スタッツやチームの勝ち点を得点化して、5週間の合計点を個人で競っていく、2021年に新設されたリーグだ。
最高得点で初代チャンピョンに輝いたOHジョーダン・ラーソンは、開幕前にイタリアリーグの参加が決まり、今年は残念ながら参加していない。しかし、去年に続く一部の旧メンバーに新加入の選手が合流し、第1週目からどれも接戦の試合となった。中でも注目が集まったのは、昨年末に大学リーグからドラフト指名で加入したOHダニ・ドリュース(ユタ大学卒)とMBローレン・スティヴリンス(ネブラスカ大学卒)の二人だ。昨シーズンもメンバーのレベルの高さに目を奪われたが、また今年もすごい選手が……、と感心するばかりだ。初戦の後、「ドラフト指名の9人の中に入り、とても名誉な事で、何か特別な瞬間だったと思います。ここに来て、期待をはるかに超えていますし、この先数週間どうなるかとても楽しみです」(スティヴリンス)と初々しさを見せていたのだが、コート内では二人とも堂々たる戦いぶりだった。個人のポイントで競う第1週のランキングがドリュース1位、スティヴリンス4位に入り、第2週にはランキング上位4人が務めるチームのキャプテンになった。
最も難しいのは、短期間でどうチームを作っていくかだ。今回はセッターに元ナショナルチームの選手が4名いて豊富な経験を見ることができる。「どういうトスが好きか、この場合はどういうトスにしてほしいか、何がアタッカーにとってベストかの見極めがセッターとしては重要です。非常にレベルの高いリーグだと思います」(Sカーリー・ロイド)、「練習は基本を確実にということに重点を置いています。セッターとの連携もそうですが、サーブレセプションがゲームの鍵になると思います」(OHレア・エドモンド)という様に1週目は手探り状態だが、週が変わりメンバーが変われば、また違ったコンビを見るのも楽しみだ。2021年に引き続き今年も参戦しているメンバーを、昨年と比べて見るのも興味深い。OHエリン・フェアーズは2021年を39位でシーズンを終えたが、今年はより存在感が増し、攻守にわたりチームを引っ張っている。
(リーグの詳しい内容は、バレーボールマガジンのコラム欄2021年2月26日、3月17日、4月20日をご覧ください。アメリカ女子バレーで検索可)
■このリーグに戻ってきた理由は……。
4チーム44人のうち海外からの参加は10人(二重国籍者含む、半数はプエルトリコから)で、昨年に引き続きブラジルからOPシェイラ・カストロが参加している。昨年は合流の遅れやケガもあり19位でシーズンを終えたが、今年は1週目からランキング上位に食い込んでいる。
――2シーズン目が始まりました。なぜアメリカに戻ることに決めたのですか。
シェイラ・カストロ(以下、シェイラ):昨シーズンの挑戦がとても気に入ったのと、自分のキャリアの一つの章を終わらせるために、戻ることに決めました。娘たちにとっても、私と彼女たちのつながりにとっても、ここはとてもいいと思います。(注:宿泊しているコンドミニアムは家族同伴可。ペット連れの選手も多い。練習や試合中に空きスペースで遊んでいるシェイラの双子の娘さんの姿が、しばしば紹介されている。リーグの5週間、移動がないのも子ども連れの選手にはありがたい。)
――キャプテンが自分のチームのメンバーをドラフトで選んでいくのは、このリーグの特徴です。ドラフトの間、どの様に感じているのですか。緊張しますか。自分でキャプテンになってメンバーを選んでみたいですか。
シェイラ:私はドラフトが好きです。各チームのキャプテンがどういう考えでチームを作っているのかを考察していくのが好きです。キャプテンになりたいとは思わなかったけれど、そのうちなるかもしれませんね。(注:第2週の成績でランキング4位に入り、第3週の試合のキャプテンになった。)
――アメリカ代表には素晴らしいOPの選手がいます。彼女たちだけでなく、このAUのリーグにもまだまだあなたと同じポジションにいい選手がいます。アメリカのOPのポジションの選手をどう思いますか。
シェイラ:アメリカではいつも多くの選手が育っています。たくさんの大学があり、大学スポーツの価値がとても尊重されています。ですから、そこから毎年たくさんの選手が誕生しているんだと思います。OPに限らず、すべてのポジションで優れた選手がいると思います。
――AUでは、キャプテンが中心になりチームプランを練り、チームをリードしていて、コーチはその考えに沿うように指導しているように見えます。今シーズンはブラジルのスーパーリーグのチームでアシスタントコーチを始められましたが、何かAUのコーチから受けた影響はありますか。
シェイラ:昨シーズンここにいる時に、コートの外の経験もしてみようと決めたんです。そしてブラジルのクラブチームItambe/Minasでその機会を生かしています。
――あなたの試合を楽しみにしている日本のファンへメッセージをお願いします。
シェイラ:日本の皆さんが大好きで、日本で試合をしたことを本当に懐かしく思っています。いつも温かい応援ありがとうございます!
このリーグが始まる前から、ブラジルでは「これがシェイラの最後の試合なの?」とファンから多くの声が上がっていた。だから最初の質問の答えに、「引退」という言葉を使わずに、「キャリアの一つの章を終える」と表現したのは、彼女らしいなと思う。彼女はいつも、「挑戦」という言葉が好きで、年齢でもうここまでだと自分の限界を決めるような選手ではない。いつまででも挑戦し続ける気持ちがあれば、モチベーションを高く持ち、限界まで挑戦する。選手からコーチへ場所を変えたとしても、またコートに戻りたいと思う時が来れば、この先いつでも戻ってくる、そんな気がしてならない。1試合目からシェイラらしい速く遅く、短く長く、コート奥にインナーにと、相手に的を絞らせない憎らしいほどのプレーでファンを魅了している。4月16日の最終戦まで、彼女のプレーを見るのが楽しみだ。
Athletes Unlimited公式サイト
(成績順位はleaderboard、ポイントシステムの説明はhow we play、試合日程はschedule)
https://auprosports.com/volleyball/
Athletes Unlimited YouTubeチャンネル(ドラフト、試合の生放送、録画など)
https://www.youtube.com/c/AthletesUnlimited
フェイスブック、インスタグラム、ツイッター AUProSports
取材:ブラジル在住 唐木田 真里子
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