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バレーボールマガジン>会見・コメント>大宅主将「ホッとしています」柳田将洋「去年の優勝よりも実感がわかない」山村宏太監督「信じられない。選手を誇りに思う。3連覇を目指すとは今は言えない」

会見・コメント

2022-05-13 11:02 追加

大宅主将「ホッとしています」柳田将洋「去年の優勝よりも実感がわかない」山村宏太監督「信じられない。選手を誇りに思う。3連覇を目指すとは今は言えない」

SV男子

●山村宏太監督
まだ僕の中で興奮がおさまっていない。率直な感想として「信じられない」というのが今の心境。今シーズンのサンバーズは、ディマの合流が遅れたり、コロナ感染も各チーム出たと思うんですけど、思うような強化が進められないなか、ウルフドッグスさん、パナソニックさんに連敗してレギュラーラウンドを終えてますので、そんな中で選手たちもなかなか勝てない不安だったり、パフォーマンスを発揮できないもどかしさの中で、ファイナル3、ファイナル2戦という戦いだった。¬¬
実際先週の試合苦しい敗戦となったんですが、そこから1週間で今日のようなパフォーマンスに持ってきてくれた選手も信じられないし、今日のような素晴らしい結果をもたらしてくれた選手たちのパフォーマンスが何よりも信じがたいくらい、出来すぎだったのかな。
そこに持っていけた選手たちをすごいと思いますし、本当に信じられないという感想がしっくり来ています。

――先程コートインタビューで、マッチアップについておっしゃっていましたが。今日どういう意図をもって考えられたのですか。
山村:うちのチーム、直近の試合で言うとディマのバックロウの攻撃が機能していなかった。数字が下がっていたというところで、S5というスタートローテーションはすぐ下がってしまうので、かなりのかけだったとおもいます。とはいえバレーボールはローテーションしていくスポーツなので必ず後ろに下がらなければならない。この課題を乗り越えなければ勝つことはできないという意味で、スタートローテーションをそれで行くという一つのかけ。
このマッチアップに関しては、藤中とクレク選手が3回マッチアップする。(クレク選手は)非常に世界有数のプレーヤーですので、そこの前にけんやを置く。最近けんやの数字が上がってない中でそこにけんやを託すというのはかなりのストレスを掛けることになるだろう。
逆にうちはマサをフロントにディマがバックに2回置けることで攻撃力を確保しつつ、3回セッターと当てるという意味で、攻撃的なところ、サイドアウトを回していくための意図として伝えています。

――去年のシーズンと決勝の舞台に立ったメンバーはそれほど違わないですが、進化したところは。

山村:去年と本当にメンバーは変わってなくて、塩田選手のところにポン選手が入ってかつ、後はマサと謙也のポジションが変わっているというのが変更点で、ほかは変わっていないです。そんな中でポン選手が加入したことにより、うちはかなりのブロック力と攻撃力を得ましたし、彼のサーブ、すべての面において進化している。逆に言うと、他のチームは当然分析しやすくなっていると思いますし、どこのチームもサンバーズに対して「王者を倒す」という気概を持って今シーズン臨んで来ていたのが分かりますし、実際われわれと対戦するときは120%の力を出して戦ってくるチームが多かったので、そういう意味では穏当に2連覇をする難しさというのがレギュラーシーズンから感じていました。
苦しい中も先週のような試合の後に、自分たちがやらなければならないことを崩さずに、私自身もこのメンバーでサンバーズのバレーをすれば勝てるという信念をまげずに貫くことができたのが、今回選手たちがブレずにプレーをするきっかけになったのかなと信じたいので、さっきは信じられないとは言いましたが、自分たちのバレーボールを信じた結果が今日につながったと思います。

――今シーズンやはり序盤から12月まではムセルスキー選手が使えない状態で、年明けでコロナがあったり。監督として難しいシーズンだったと思うが、どういった意識だったか。

山村:この質問に関してこの言葉を言っていいのかどうか頭の中を巡ったんですけど、僕は力のない監督だと思っています。確かに連覇を達成した監督として評価を得るに十分なポジションに居ると思っているんですけど、ただ僕自身の自己評価としては、僕は選手を成長させるとか、新しいバレーボールを浸透させるとか、そういった力はまだまだ足りてないと思っている。マクガウン監督のように名古屋を飛躍的に強くさせた手腕はまだないですし、確固たる信念というものももしかしたらまだできてないのかもしれません。
その中で、僕の仕事として僕の信頼するスタッフ、レオ、米山、アナリスト、フィジカルのスタッフでああだこうだとどうしたらいいのかを話し合いました。それが全部合ってたとは思わない。ときには間違っていたかもしれないし、コロナが出たときに他のチームより感染させてしまった。いろんな反省点があります。全部が全部正解だとは思ってない。その中で選手たちが勝ちたい、優勝したい、2連覇したいという欲求を満たすために必要だったことを自分たちで考えられること。
僕の信念は細かいバレーボールも素敵だと思うんですけど、自分の目で見たところをリーディングから始まってそれに対してアジャストしていく。
ブロックを見て後ろの選手の位置取り、そのあとの動きというのを、その瞬間瞬間に判断していける選手が一流のプレーヤーだと思っている。選手からしたら物足りない監督かもしれませんが、僕は僕の信念を持って監督業をさせてもらっている。
すべての選手スタッフが僕の一挙手一同を信じるのではなくて、よりみんなが良い組織になるために行動してくれているのがサンバーズの強みになっています。

――今日の試合藤中選手がキーマンだったと思うが。ただ、ずっと休んでた中でパナソニック戦でも活躍して、一方ですごい狙われてリズムを失ったりもしていた。また今日も基本的にはかえなかった。藤中選手に対する信頼は。

山村:非常に難しい決断でした。鍬田もいましたし、彼も非常にいい仕事をしてくれた。藤中が復帰して、どこのタイミングでどれだけの量を彼に提供していくのがいいのか。
また、最後の舞台に誰が立っているのかも含めて、正直めちゃくちゃ悩みましたし、それについても正解がどこなのかを常に考えていた。
僕の中では謙也が決勝の舞台に立って彼の役割であるレセプションと、本数が少なくても50%近く決めてくれる決定率が必要だと思っていました。
特に名古屋さんに関してはクレク選手、他の選手も含めて中への意識が非常に高いチームで、ブロックも真ん中によっている。そのブロックを両サイドにはがしていく作業が必要だと思っていましたので、どうしても謙也がクレクの前でストレートを打ち込んでそのブロックを組織を壊していく必要を、先程のローテーションにも繋がりますけど、説明してそれに応えてくれた謙也が僕の中でMVPです。いっぱいいるんですけど。期待以上のプレーを見せてくれたと思います。

――チーム自体は同じスローガンで戦ったと思いますが、今回のファイナルでプレイハードを感じた場面。
山村:今週の練習、火曜日から再始動した。並々ならぬ集中力、試合に出てないメンバーもみんなで盛り上げようとしてくれた。今までで一番のプレイハードを実現してくれた週だったと思います。
逆に言うと普段からこれくらいやってくれればというのが正直なところで。
まあわれわれのチームおじさんが増えてきてますので、年齢層も上がってきていて、これから世代交代だったり、今のレギュラー陣のポジションを奪うレギュラー争いがこれからの課題になってくると思う。
プレイハードという選手たちの考えてくれたスローガンが僕たちのチームには一番必要だったと思いますし、彼らが思う本気と僕の思う本気と温度差があったので、このスローガンはチームにとって必要だと思って、練習の時からプレイハードを徹底しようと言い続けてきました。
我々サンバーズにはこのスローガンが一番必要だったのかなと。
今後に関しては黒鷲とアジアクラブがあるのでそこまでは今年のシーズンということでこのスローガンで行きますが、それ以降はもしかしたら変わるかもしれない。
サンバーズらしいバレーボールはプレーハードなのかな。

――藤中選手。今日の試合、鶴田選手がいつもだったらムセルスキー選手にあがるようなところを藤中選手にあげていたが。チームとして共通認識があったのか。
この試合で引退になった鶴田選手について。今後残る二人のリベロへのメッセージを。

山村:いつも試合前、前日にミーティングを行うんですが、かなり具体的にローテーションの狙い、マッチアップの狙いを説明したときに、けんやの攻撃が肝になるという表現をしたので、もしかしたら選手の中にはかなり意識して使おうというのはあったかもしれない。
大宅にしても鶴田にしても普段だったらディマに集めてしまうようなシーンでけんやに集められたというのは、そのミーティングの結果だったのかな。
それがいい方向に働いてくれたんでよかったです。もしかしたらウィークポイントになったかもしれない。
応えてくれた(藤中)謙也がすごいなと。実は一昨日の練習で、けんやは19分の1しか決まってなくて。そういう意味で謙也のスイッチを入れなきゃいけないなと名前を連呼したところもある。
気合の入った状態で決勝を迎えることができたという意味では成功だったと。
鶴田に関してはチームのマスコット的な存在です。誰からも愛されている兄貴分。ときに厳しくなれる、そんな貴重な人材だった。これから二人残されて黒鷲旗アジアクラブと戦いますが、僕は自分でそのポジションを奪っていきなさいという言葉を使っているんですが、今回もそれはかなわなかったかもしれない。コートに立たせる機会はありましたけど、結果的にもっと力を与えるというところまでは来てくれてないという評価をしている。黒鷲旗、今後のシーズン含めて彼ら二人がより競争して、チーム、Vリーグのリベロとして必要なレベルにならなければ、試合に勝っていくことは難しくなる。兄貴分はいなくなって自分が縁の下のちから持ちになるんだという覚悟を決めてやらなければ、Vリーグの舞台で活躍することはできない。なのでそういう覚悟を決めて、普段の練習から取り組む。
一刻も早く鶴田をこえるような選手になって欲しい。

――優勝が決まったあとのインタビューでムセルスキーさんが、自分の気持ちは今難しいみたいなことをおっしゃっていて、デリケートな話ですが、彼はウクライナ生まれで、今ロシア国籍を持っていますが、練習のときにそのあたりで苦労されていたり、お話されたことはありますか。

山村:非常にセンシティブな問題で、僕がうかつにこの場で答えるのは正解ではないのであまり触れたくない。
ただかなり大きな影響があっただろうなというのは、練習中の彼の姿を見ても思いました。その中でも真摯にバレーボールに向き合っていく彼のバレーボールに対する思いというのは、練習から感じることができた。
僕らが解決できるような問題ではない、ディマにとっても自分が解決できないもどかしさがあると思いますので、一刻も早く彼が安心してバレーボール生活、普通の生活ができるような環境になることを願っています。

――大宅選手、柳田選手も次の黒鷲旗、アジアクラブ選手権についてお話されていたが、今シーズンどのようにこれからチームを作っていくか。

山村:サンバーズの大きな目標としてリーグ制覇。今年はアジアクラブカップを目標として掲げています。
もちろんまだシーズン終わっておらず、黒鷲、アジアクラブと続いていくのですが、なかなかリーグの中で優勝するためとはいえ、若い選手、力のある選手、これから成長させていかなければならない選手に出場機会を作ることができませんでした。
大宅キャプテンが黒鷲旗に出場できるかどうかわからない。代表に行く可能性も高いので、その中で西田を中心にいろんな選手をコートに立たせて、誰がどの程度できるのか、見極めをしたい。かつ相手に勝てるような、黒鷲旗をとりに行くことは変わりない。アジアクラブカップに挑戦していきたいというプランです。

――今シーズン、柳田選手の怪我、ムセルスキー選手の離脱、コロナの遅延だったり。ご自分も濃厚接触で監督不在で戦って。一番苦しかったのは。

山村:苦しかったこと…。こういういろんな世界情勢、コロナがまん延しているような状況の中、また同じアスリートの仲間の病気だったり怪我だったり。たぶん、そんな中で本当にスポーツをしててもいいのかなとか。いろんなことがありすぎて、僕はありがたいことに全力で監督をさせてもらえていますが、いろんなことを抱えてる選手たちがいて、その思いを知ってるだけに、その子が頑張っている姿を見るのが苦しかったです。

バレーボールができることの当たり前にできていることが嬉しいし、いろんなものを背負って戦っている姿が美しいし、今日のように一つの勝利を目指してなりふり構わず戦う姿。
僕はスポーツに人にエネルギーを与えるもの、バレーボールにはそういう力があると信じているので、決して目に見えているだけじゃなくていろいろと裏側を知っているので、はい。そういうことを知りながら頑張れというのが苦しかったです。

――3連覇に向けて必要なものは。
山村:2連覇ですら簡単ではありませんでした。選手たちがよく頑張って勝ってくれました。ただ、3連覇はより難しくなると思います。またメンバーが変わっていく中で簡単に3連覇を目指しますとこの場では言えません。来季どんなメンバー変更があるか、どんな新戦力が入るか、含めた上で、総合的に僕はそのメンバーで、目指せる順位を取りに行く。まずはおそらく3位以上を狙って、そこから積み上げて優勝。
簡単に一位通過して優勝、ファイナルまで行けるとは今は言えないので、ここからまた次のシーズンまで長い時間があります。その中で、新しい戦力だったり、新しい風、チーム内での競争、これを活発にして、かつ、僕は名古屋さんのように新しいことを取り入れたところに目を向けて。相手の良いところを見つけるのが得意なので、そこをいかに自分なりに再現していくかが僕の成長のために必要になりますし、チームが強くなるために必要。
先程、私自身まだまだ力が足りないといいましたが、そこに甘んじてるつもりはありません。
私自身もアップデートできるようにしていこうと、それら全てが重なれば、3連覇すると胸をはって言えると思うのでその準備をしていきたい。

写真:黒羽白

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