2022-05-29 20:42 追加
河野裕輔のエール!17稿 サントリーが銀河系軍団に大健闘したアジアクラブ選手権を振り返って
河野裕輔コラム
Others / SV男子
元日本代表でJTサンダーズ広島でもオポジットとして活躍した河野裕輔さんのコラムです。今回はサントリーサンバーズが日本代表として準優勝を果たしたアジアクラブ選手権の振り返りです。アジアクラブ選手権では、まだ日本のチームが優勝したことはありません。今回もあと一歩と迫りながら、スター軍団の覚醒の前に涙をのむ結果となりました。
◆アジア各国の強豪クラブとの真剣勝負!
皆様こんにちは。河野です。今回は5/14~5/20までイランはテヘランで行われたアジアクラブ男子選手権大会を振り返っていきたい。日本からは2020-21Vリーグ優勝チームであるサントリーサンバーズが参加した。そのサントリーサンバーズであるが、ドミトリー・ムセルスキー/ポンシーコンの両外国籍選手、代表に選出された大宅真樹もチームに合流しての文字通り真剣勝負といったメンバーでの参加となった。この大会の模様はV.TVのアーカイブにて観戦することが出来るので是非チェックして欲しい。
◆ライバルチームは銀河系軍団!?
ではサントリー以外の出場チームはどうだったのか。SNS等で少し発信はされていたが、世界でも著名な選手の参加が続々と発表された。まず予選で同じグループのテヘラン・ペイカンにはセッターのマル―フ、MB(ミドルブロッカー)セイエドのイラン代表でおなじみのコンビに加え、セリエAベストスパイカーのニミル(オランダ)、東京オリンピック金メダリストのヌガペト(フランス)が参加。そしてもう一つのイラン代表チーム シャダヤズドにはカナダのOH(アウトサイドヒッター)ペリン、チェコのOHジャバロノク、キューバのMBシモンが加入していた。(今大会ルール上他国籍選手はオンコート2名まで)この強豪を相手にサントリーがどう戦ったのか、振り返っていく。
◆5/19 準決勝 シャダヤズド戦
5/19の準決勝。相手はイランのシャダヤズド。この試合OHにシャルーズ(イラン)とジャバロノク(チェコ)を起用。そしてMBはシモン(キューバ)とレザ(イラン)、セッターは長くイランナショナルチームでマル―フと共に司令塔を担ったマハダビ、OPはイランの大砲アミンという布陣。この相手に対しサントリーがどう戦ったのか。
結果は3-1でサントリーの勝利。まさに快勝であった。では勝利の要因はどこにあったのか。答えはサーブ戦術とそこから展開されるトータルディフェンスの勝利であったように思えた。1セット目は落としたものの、サーブで攻略のきっかけを掴もうとするサントリーの意図は十分に見えた。そして2セット目以降、柳田将洋、小野遥輝、ポンのサーブを中心にジャバロノクを集中攻撃。シャダヤズドの攻撃が単調になることが増える。そこでシャダヤズドはジャバロノクにかえてぺリンを投入するもサントリーはそのぺリンを集中攻撃。そこから1セット目はOP(オポジット)アミンに打ち切られていたハイセットを、ポンや小野を中心にワンタッチを取りリベロ高橋を中心とした堅い守備が時間が経つにつれ成功する回数が増えてきた。そうなるとストレスがかかった相手チーム対し藤中謙也、柳田、ムセルスキーのブロックも冴えわたる。こうしてブレイクが取れたことが勝利に結びついた。また、同格や格上の相手との勝負において、重要なポイントは「連続失点をしない」ことに尽きる。言い換えれば「いかにサイドアウトを1発で切るか」ということである。ここについては柳田、藤中、喜入祥充のレセプションが生命線であり、Bパスまでなら4枚攻撃に繋げられることと、ムセルスキーのハイセットを打ち切る個人技というサントリーの強みが、アジアおいても十分効果的であることが証明されたゲームとなった。
ここで読者諸君に気に留めていただきたいのが、ムセルスキーのハイセットありきの攻撃はあまり効果が上がっていなかったということだ。Vリーグでは決定率ほぼ100%だったレフトからのファーストテンポやBパスからのライトのファーストテンポも相手がシモン、ジャバロノクとなるとタッチをとられ、切り替えされてブレイクされる。そこで大宅は小野のマイナステンポを要所で織り込むことにより、相手ブロックをコート中央に引き寄せた。さらに柳田、藤中のパイプも効果的であった。
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