2023-04-14 07:00 追加
体罰疑惑のバレー男子強化委員。絶えぬ疑惑も、見て見ぬふりが助長か
体罰について
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日本バレーボール協会(JVA)の男子強化委員で、国際武道大学の男子バレー部の徳永文利監督(58)が、同大学男子バレー部員に体罰を行っていた疑いが12日に浮上。同日、JVAに辞任を申し入れ受理された。同大学では、徳永監督の活動を自粛させ、リーグ戦ではコーチが指揮を執っているという。
今回の情報を受けてJVAは調査を始め、同大学と所属する関東大学バレー連盟に報告を求めている。
SNS上で公開された映像には、徳永監督とみられる男性が選手の首をつかんで、別の選手と対面させ身体をぶつけ合わせたり、選手同士の身体や頭をぶつけさせたりする場面のほか、額を手で突きユニホームを引っ張ったり、セッターと思われる選手の頭を叩いていたりしているように見えるシーンが収められている。
暴力を働いているように見える男性や選手がマスクを着用していることから、新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年以降の映像で、複数日に渡る記録とみられる。
同大学関係者によると、徳永監督や約35人の部員にアンケ―トを行い、順次、面談を進めているが、授業との兼ね合いもあり時間はかかりそうだという。
また、公開された映像の前後が切り取られて編集されていることから、前後の状況も詳しく聞き取る必要があるという。例えば、選手が頭を叩かれているような場面に関して、「アタッカーにスパイクの腕の使い方を指導しているところで、頭を叩かれたことはない」と暴行を否定する選手もいることから、「(撮影位置からの)遠近感で頭を叩いているような可能性も否定できない」として、慎重に調査を進める必要があると説明している。
一方で、日本代表を指導する強化委員の体罰・暴力報道に、バレー界には大きな衝撃が広がった。
折しも、高校の指導現場で体罰・暴行が相次いで発覚し、JVAの川合俊一会長が3月16日のリモート会見で「いまだにこんな指導者がいるのかと、はらわたがにえくりかえる思い。ミスを腹立たしいと思うから暴言を吐きやすくなる。指導者に人間力がなければ指導できない。人間力アップなど根本的な部分から徹底的に直していかなければならない」」と苦渋の表情を浮かべた矢先の事案。
24日には【指導と暴力の間に隠れた「未暴力」に目を向ける『暴力撤廃アクション』】を発表し、体罰・暴力をバレーの現場からなくす運動を始めたばかりだった。
ただ、大学バレーの指導者を中心に、「徳永監督の暴力は、今に始まったことではなく、多くの関係者が知っていた」という声が多いのも事実。
全日本大学バレー連盟の強化副委員長やJVAの男子強化委員を歴任してきたが、「体罰・暴力行為がある」(バレー関係者)と適格性を問題視する声があり、数年前には大学バレーの幹部が事情聴取したこともあったという。徳永監督らが否定したことで不問に付されたが、強化委員に任命した当時のJVA幹部の任命責任も免れない。
また、徳永監督が指導したアンダーカテゴリーの日本代表合宿などでの体罰・暴力行為を知りながら通報をしなかった関係者がいたという情報もある。
「見て見ぬふり」が、体罰・暴力行為を助長させてきた側面も否定できない。
競技団体として恥ずかしい事案だが、JVAの強化の中枢にかかわる人物の不祥事だからこそ、暴力撤廃に本気で取り組むことが出来る時が来たともいえる。
今こそ、コート上や指導の現場から「体罰・暴力」を、組織を挙げて徹底的に追放しなければならない。
取材:北野正樹
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