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コラム

2024-07-27 12:50 追加

河野裕輔のエール!! VNL総括編

全日本代表 男子

■控えの重要性

日本バレーのコンセプトは「誰が出ても同じ戦術が遂行できる」ことであり「高確率でサイドアウトを取り続けることにより被ブレイクを極端に減らす」という目標を達成することにあるのではないだろうか。このコンセプトが高いレベルで実現した現在、「ゲームを戦術ベースでリベロを含めた7人ではなく14人で戦える」という理想的なチームに仕上がっている。これが石川や高橋、西田などの「個人」に依存するチームであるならば「主軸の疲労≒チーム力の低下」という事態が起こる。そうなるとチームの勝率は極端に下がりよくある「●●選手が限界だった」という表現を目にすることになる。
 しかし現在の日本代表の控えはどうか。OHには大塚、富田、甲斐、MBには高橋健太郎、エバデダン、OPには宮浦、Sには深津、Lには小川というスターティングにも引けを取らないメンバーがいるではないか。そしてこのメンバーは頻繁にゲームに出場しており諸外国とのゲームにおいても活躍をいくつも上げる事が出来る。そしてこの控えの選手たちもチームコンセプトに沿った上で自分の特色を出してチームを彩ってくれることはVNLが証明してくれた。

■オリンピックに向けて

先日12名のエントリーが発表されたが、ポイントはOHの控え枠、大塚、富田、甲斐のうち誰を選ぶのか、Lはどちらか、MBはエバデダンはどうかというところであったがOHは大塚/甲斐、MBは高橋健太郎、Lは山本という選択であった。そして13番目のリザーブに富田という布陣でオリンピックを戦う。そこで13番目の選手の意味を考えてみた。ブラン監督が13番目に与えた役割は「守備」であり、大塚に与えた役割は「ユーティリティーさと安定感」なのではないか。あってはいけないことだが登録の誰かが怪我等でプレーできなくなった場合に富田が登録されることになるが仮にOPが怪我の場合でも大塚がOPの控えに回ることが出来るし極端な話山本が怪我をしても高橋藍や富田でフォローできる。この「何が起こっても極力対応できるカタチ」を目指した13人なのではと感じた。

■最後に

日本男子バレーが世界ランクの上位に常駐する様になり筆者自身嬉しいと同時に羨ましかったり、悔しかったりという想いも持っている。自身が現役の時にもこんなバレーボールをやってみたかった、挑戦してみたかったという想いが無いわけではない。しかし今はこの思いも全て応援という力に変えて、日本バレーを応援したい。パリオリンピックに向けて最高の準備が整った日本男子バレー、最高の舞台はもう、すぐそこにある。

【筆者プロフィール】
河野 裕輔(かわの ゆうすけ) 1975年生まれ茨城県古河市出身
過去所属チーム 足利工大附高(現足利大附高)-中央大学-JTサンダーズ(現JTサンダーズ広島)
今年4月、Vリーグ男子のレーヴィス栃木監督に就任 Xアカウント:@kawano5081

【お知らせ】
河野裕輔さんはムック「VNL総集編、そしてパリ五輪へ!」(コスミック出版)にもコラムを寄稿されています。

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写真:坂本清、縞茉未

※転載は固くお断りいたします。

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