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会見・コメント

2025-02-08 08:00 追加

群馬グリーンウイングス・白岩蘭奈「なんで負けたんだろう。この想いを次に繋げたい」、リベロに挑み全ポジションを経験した菊地実結「やってないことに挑戦するから価値がある」 SV女子

SV女子

もう1人、この連戦でキーとなった選手の話をお伝えしたい。
菊地実結、群馬きってのマルチプレイヤーだ。

菊地の万能選手ぶりについては過去も何度か書かせてもらった。
本来はミドル、オポジットとしてコートの右サイドが主戦場になる選手だが、齋藤監督の元で大きな期待を受け、あらゆるポジションに挑戦している。アウトサイドヒッター、今でも「レフト」という方が通りが良いかもしれないが、苦しい場面でボールを託されるエースポジションでも多くの試合に出場し、「全員バレー」のキープレーヤーとして新境地を開いてきた。ツーセッターという形ではあるがセッターにも挑戦した。

「できない理由はない、やってみたらいいじゃない」
それが齋藤監督の「全員バレー」の真骨頂だ。

その菊地が唯一経験していないポジションがあった。
リベロだ。

守備専門のポジションであるリベロは当然ながらさまざまな制約を受ける。わかりやすく言えばスパイクを打つことがない。どのポジションでもこなせる菊地だが、その真価を発揮するためにはコートの中で自在に動き回る、ポジションチェンジをすることが必要になってくる。

能力や適性をさておき、リベロというポジションはその菊地の自在性を奪ってはしまわないだろうか。
菊地のリベロ起用は、場当たり的なものではなく、戦略として練ったものであるという。
どのような思いでこのポジションと向き合っているのか菊地に聞いた。

「自分はオポジットとして試合に出ることが多かったのですが、それ以外にもリリーフサーブで入って後ろ3回のローテーションでディフェンスをするという起用のされ方もしてきました。正直、初めは『なんで自分がこういう起用のされ方をするんだろう』って思ったんです。その意図が理解できなかった。だからはっきり質問をしました」

本来は言いにくい部類の話だったのかもしれないが、菊地は包み隠さず、自分の気持ちを話してくれた。

「マッチョさんは『ミユさんの守備力に期待してるんだ』って言ってくれました。私はずっとオフェンスをもっと頑張らなきゃっていう思考だったんですが『チームを助けるためにもっと守備を磨いて欲しい』と。そう言っていただいて自分の中に新しい選択肢が一つ増えたというか、それまで私の中にはなかった選択肢がマッチョさんのおかげで出てきたんです。なるほど、そういう期待をしていただいているのか。ならばもっとディフェンスを磨きたい、その期待に応えたいなって」

話しながら、自分の中でも整理がついたのかもしれない。菊地は目に力を込めて言う。

「今回は内定選手の門田(湖都・筑波大)と2人でリベロに入りました。しっかりサーブレシーブを返して、チームのサイドアウト率を上げることに貢献しようと思って臨みました」

マルチプレーヤー・菊地実結はこれで本当にVリーグで全ポジションを経験したことになる。
そのことについて聞くと

「今までマルチポジションを強みだって言いつつ、本当は自分の中で『私は何者なんだろう』みたいな、ちょっとした迷いみたいなところもあったんです。でも私みたいにいろんなことを経験させてもらえる選手はレアな存在だと思います。今回はリベロという形で新しいチャンスを頂いたのですが、どんな形であろうと自分のバレー人生には絶対プラスになる経験です。やったことがないから、ではなく、やったことがないことに挑戦してみないかっていう提案を貰えるってすごくありがたいですよね。それがチームのためになると思って取り組めば、自分にとっての成長にも繋がります。どんな場面でどんなことを要求されても応えられるように、準備していきたいと思っています」

菊地実結は常に前向きだ。
会見に同席した門田湖都は目指す選手として菊地の名を挙げた。
バレーボールには勝敗がある。それは残酷でもあり、愛おしくもある。悩み、苦しみながらも群馬グリーンウイングスは確実に前に進んでいる。
歩みは止めない。

撮影 堀江丈

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