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会見・コメント

2025-04-10 07:54 追加

秘密兵器は室岡莉乃? MB1も再発動か? Astemoリヴァーレ茨城・中谷宏大監督がチャンピオンシップ初戦を語る SV女子

Astemoリヴァーレ茨城・中谷宏大監督 インタビュー

SV女子

バレーボールSVリーグの初年度が終わろうとしている。
4月6日、Astemoリヴァーレ茨城はアウェイで埼玉上尾メディックスと戦い、レギュラーシーズンの最終戦を終えた。順位は8位。優勝を争うトーナント、チャンピオンシップへの進出は決めたものの、満足のいく結果ではなかったかもしれない。

「44試合は長かった。その一言に尽きますね」
試合後、会見に応じた中谷宏大監督はそうレギュラーシーズンの感想を述べた。
「シーズンの初めから、ずっと同じスターターで44試合通すのは無理だと思っていましたが、結果的にメンバーがどんどん替わらざるを得ませんでした。負傷者やコンディション不良なども出てしまい、本当に入れ替わり立ち替わりになってしまいました」

さまざまな誤算に泣かされたシーズンだった。

「チームが新たな一歩を踏み出すために」
前シーズン負傷で苦しんでいた上坂瑠子を主将に据え、コートに復帰させた。
開幕スタメン、その後もセーブしながらの起用であったが、序盤戦、上坂は期待に応え攻守に活躍した。上坂の復活とともに最高のスタートを切ったAstemoだったが、その上坂もシーズン半ばになると再びベンチから外れ、現在もまだ慎重な使い方が続いている。

「予想外のことが起こる中で、逆に良い経験にもなりました。いろいろなメンバーがコートに立つ機会を得ることができました。選手にとってはしんどかったかもしれませんが、タフになれたシーズンでもあったと思います」

悪いことばかりではない。中谷の言うように、収穫も多くあった。
若いメンバー、特に2年目のミドルブロッカー生井澤美海華、ルーキーのオポジット岡部詩音はAstemoの新たな戦力として急成長を遂げている。

「生井澤には入団以来、選手が離脱してしまうとかそういった厳しい状況で本当に助けてもらっています。彼女はミスが少ない。主にサーブなどでチームに貢献をしてくれてきましたが、最近はアタック決定率でも高いものを残せるようになって来ています。打力がついてきていますし、今は一人のミドルとして評価ができますね。岡部もサーブで一生懸命頑張っている。リリーフサーバーとして現在のチームで一番信頼できる存在です。もう少しフロントでのプレー機会を作ってあげることができたら良かったとは思いますが、自分の武器を確立してくれました。そのことについて高く評価しています」

戦術面でも大きなトピックスがあった。
2月の刈谷戦から数試合、本来サイドプレーヤーであるオクム大庭冬美ハウィをミドル対角に据えたMB1を慣行。オクムもこの起用に応え(本人はやや戸惑いはあったようだが)
「攻撃力全振り」
ともいえるスーパーフォーメーションを発動し、新たな可能性を見出した。
これも佐藤黎香の負傷離脱という逆境からの工夫であった。

現在は生井澤を入れることでスタンダードな形に落ち着いているが、もうMB1の再現はないのだろうか。中谷監督に質問すると、次の答えが返ってきた。

「一つの形として、今でもありだと思っています。攻撃力が高いサイドの選手を4人常時打たせることができる。うちの特色を一番出せる形と言えるかもしれません。チャンピオンシップでどうなるかは”お楽しみ”というところでしょうか」

そして、もう一人、中谷監督の口から予想外の選手の名前も出た。
「実は室岡もスパイクを打ち始めています。もしかしたら彼女がチャンピオンシップでは一番の”秘密兵器”になるかもしれないですね」

小兵ながらも抜群のバレーセンスで「先生」と呼ばれる室岡莉乃。コンディションの問題で今季の出場機会がないが、彼女も最後の最後でメンバーに滑り込む可能性があることがわかった。

チャンピオンシップは3戦2勝の勝ち抜け方式。トーナメントは一発勝負の連続と言っても良い。ここで集中力を発揮すれば下剋上も可能だ。そのためにAstemoにはどういう戦いが求められるのだろうか?

「パワーだったり、オフェンス力は他のチームに決して引けを取らないとリーグを通してあらためて感じています。うちの良さを出し続けることでクォーターファイナルとなる大阪マーヴェラス戦に勝機を見出したいですね。サーブ、ブロック、オフェンス、うちがどれだけ相手に圧をかけられるか、それをやり続けることが大事になってきます。マーヴェラスさんはそれを消すことが得意なチーム。鉾盾の対決になるのではないでしょうか」

最終戦ではベンチ外だった野中瑠衣、佐藤黎香もコンディションは上向いているという。
「チャンピオンシップに向けて考えることは全部考えてやり尽くしたい」
と語る中谷監督。

リーグ随一の鉾とリーグ随一の盾が激突する神戸でのクォーターファイナルが楽しみだ。

撮影 堀江丈

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