2025-05-06 11:03 追加
NECレッドロケッツ川崎・佐藤淑乃 「1年目のシーズン、1年目の鮮やかな涙」 SV女子
NEC川崎・佐藤淑乃の1年
SV女子
バレーボールSVリーグ、女子の全日程が終了した。
優勝は大阪マーヴェラス。レギュラーシーズン首位、西の強豪がその実力をチャンピオンシップでもいかんなく発揮し、初代王者の座に就いた。
旧リーグの昨季覇者、NECレッドロケッツ川崎はファイナルの舞台に立ったものの準優勝でシーズンを終えた。
自チームのみならず人と人の繋がり、リーグの輪を強く意識しながら挑んだ決勝戦だったが、大阪マーヴェラスのトータルディフエンスの完成度、強固なブロック&ディグの前に力及ばず敗北を喫した。
2戦ともストレート負け。GAME1はサイド陣を抑えられ完敗、リベンジを期したGAME2は各セットで流れを掴みかけるところまでは行くが最後まで大阪MVの守備を崩し切ることができなかった。
NEC川崎の金子隆行監督は最終戦となったファイナル第2戦を振り返って次のようにコメントした。
「初戦は一方的にやられた悔しい敗戦でした。その反省を踏まえ、GAME2はもう1度自分たちのやるべきことを整理して臨んだ戦いでした。レッドロケッツらしさを出せた場面もあったと思います。ただそれ以上に、大阪マーヴェラスさんのディフェンスからの切り返し、1本にかける泥臭さのような部分に我々が及ばなかった。相手が1枚も2枚も上手でした」
シーズンの激闘を終え、自身も疲労困憊であっただろう。もちろん悔しさもある。その中でも金子監督は共にSVリーグを戦い抜いたライバルに賛辞の言葉を贈ることを忘れない。
「本当に大阪マーヴェラスさんのバレーは素晴らしかった。そのことを受け止めてまた次に進みたい。まずは大阪マーヴェラスさんに心からの祝福を伝えたいと思います」
NEC川崎はシーズンを通じて1人の選手が大きく存在感を示した。
アウトサイドヒッター、佐藤淑乃。筑波大学を卒業して、NEC川崎に入団。ルーキーながらすでにチームのエースとしてフル回転を続けている。
旧リーグ最終年度となる昨季、佐藤は内定選手の立場で優勝を経験した。
優勝の立役者は古賀紗理那。その古賀がコートを去り、今季は佐藤が後釜としてスタートコートに立ち続けた。古賀から背番号2も引き継いだ佐藤は開幕戦から新人離れした奮闘を続けたが、最後の最後で勝利を掴むことができなかった。
「どうしても紗理那さんと比べられると思うのですけれども、選手として同じタイプではないというか。紗理那さんの現役時代のプレーを参考にはすごくしています。でも、やっぱり自分の良さを消さないことを意識しています。紗理那さんと同じ選手になるというより、また別の自分らしい選手になりたいなって思っています」
古賀は古賀、佐藤は佐藤。古賀の後継者であっても古賀紗理那2世ではない。それは佐藤自身も含め、皆が解っている。
例えばスパイクの調子が今ひとつでも、他者に干渉されないクローズドスキル、サーブで貢献することもできる。
「その日の感覚だったり、相手のディフェンス、レセプションの待ち方へ対応しようとして、サーブの調子にも波がありました。そういったものをレギュラーシーズンで経験して、自分の決めどころが掴めた感覚はあります。相手との駆け引きもありますが、相手から嫌がられるサーブを打ち続けようと攻め続けました」
これはクォーターファイナル、東レ滋賀戦後のコメントだが、佐藤は後衛においてもサーブやバックアタックでチームに活力を与えていた。
強力なサーブを放ちつつ、フロントでのスパイク、バックアタック。ディフェンスでも貢献し、時に相手サーブのターゲットにされる。
佐藤の活躍はルーキーとして比類がなかった。
しかし、他の選手を押しのけてエースポジションでコートに立っている以上、連覇を成し遂げられなかった責任をその身に感じていたとしても不思議ではない。
現在の佐藤淑乃はすでにそれだけの選手になっている。
前述の東レ滋賀戦の会見で、佐藤自身も「エース」という立場を受け止める気持ちは認めていた。
シーズンが始まるまでは「日本代表にも選ばれた将来性のある大学生」「古賀の抜けた穴を埋めるポテンシャルがある」というのが佐藤の概ねの評価だったと記憶している。
十分に高い評価だが、チーム内での貢献に留まった視点だ。
それが今や「日本代表の主軸を担う選手」と目されている。大車輪の活躍を続ける佐藤の前にはほんの1年前が、遠い過去になっていた。世間の意識もすでに変わっている。
「自分の前に外国人選手だったり、高いブロックが常にいる状態の中で、ブロッカーの高さに負けずにブロックを利用していく。そういったことが武器にできたシーズンになりました。でも今後は、一つ、二つ、三つと自分の武器を増やしていくことが大事だと思っています」
対戦相手にデータを取られていく中で、ブレイクスルーがないと行き詰まってしまう。ファイナルでの佐藤淑乃は敗戦の中でも冷静に自分の成果と課題に向き合っていた。
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