2015-02-23 12:05 追加
逆境からさらなる結束へ・ブラジルバレー界スキャンダルを巡って
ブラジルバレーボール協会の資金流用と世界選手権の処分の影響
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2014年末に、ブラジルバレー界に激震が走った。ブラジルバレーボール協会の資金不正が明るみに出たり、秋に行われた世界選手権でのトラブルが処罰を受けたり、その流れからワールドリーグファイナルの開催を辞退するなど、影響はブラジル国内にとどまらない。一連の騒動で何が起こったのか、ブラジルバレー界の今をお伝えする。
■ブラジルバレーボール協会の資金不正が明らかに
2014年6月に、ブラジルバレーボール協会がスポンサーのブラジル銀行からの資金を協会幹部の関連会社に流出しているのが、スポーツ番組ESPNにより暴露された。ブラジル銀行はブラジルバレーボール協会のメインスポンサーであり、バレーボールとビーチバレーの代表チーム、そして両競技の国内大会に年間7000万レアル(約35億円)を支援する。この資金不正使用情報をきっかけに公的機関である連邦監査局からの調査が入り、2014年末に公表された結果でさらにFIVB(国際バレーボール連盟)会長であるアリー・グラッサがブラジル協会会長だった間にも、選手への報奨金の未払いなどの不明な点が複数あったことが明るみに出た。長年、協会幹部が変わらず、内部の体制に透明性がなくなり、不正につながっていったのは間違いがない。これにより、ブラジル銀行がスポンサーの一時停止を申し出る事態となった。
前代未聞のバレー協会の不正に長年ブラジル代表だったMBグスターボ・エンドレスは「裏切られた」と感じたという。「どの選手もスタッフも毎日、厳しい練習に耐えより良い結果のために日々努力しています。それを統括し、大会運営を円滑に行う立場にあるのが協会であるべき。信頼を傷つけたことに怒りを感じます」とコメント。この事件が報道された直後の試合では選手たちがピエロの赤鼻をつけて登場。これは不満や抗議の際に示すパフフォーマンスである。女子の試合では選手たちが腕に喪章をつけ、こちらも抗議の姿勢を表した。
■メディアの露出が少ない国内のバレーボール
エンドレスはこの不正事件が、バレー界のスポンサー離れにつながらないか心配している。世界のトップレベルを維持し続けているブラジルでも、国内ではスポンサーの獲得、維持に苦戦している。「サッカーW杯が終わっても、やっぱりブラジルはサッカーの国。スポンサーの国内リーグへの注目度が違う」と漏らす。彼自身、3年前に2部から上がったばかりのチームVolei Canoasヴォレイ・カノアスに移籍し、故郷の南部の州にスーパーリーグのチームの常設のためにスポンサー集めに尽力し、それがどれほど大変なことかを痛感している。
ブラジルではスポーツはすべて生放送だ。スーパーリーグはSporTVが独占放送しているので、契約外の人は見ることができない。バレーは試合終了時間が読みにくく、後続の番組編成がしづらいということで、他に影響の少ない夜9時半から試合が始まることが多い。試合終了時間が遅ければ、翌日の新聞に結果すら載らない。また上位の好カードに放送が集中し、下位のチームは放送もまれだ。これではスポンサーから宣伝効果が少ないと不満が上がり、敬遠されるのも無理はない。
2013-14年シーズンは試合時間短縮のために、1セット21点制が採用されたが、監督や選手からは「後半の盛り返しができないうちに試合が終わってしまう」、「タイムが多すぎてリズムが作りにくい」などの不満が出た。リーグ終了後の統計でも、さほど時間短縮に役立ったとは言えず、21点制はあっさり廃止になった。
ブラジル銀行のスポンサーの件は、1月19日に90日以内に、協会が連邦監査局のすべての疑問点に明確な回答を出し、内部での監査部門を設立し報告を怠らないことなどを条件に、続行が決まった。現ブラジル代表のMBルーカス・サアットカンプは、「ブラジル銀行のスポンサー継続表明にホッとしています。こんな騒ぎが続いてはリーグに集中できませんから。今後はしっかりやるという協会の言葉を信用するしかありません」と言う。
しかし、未だに選手やスタッフには協会から何の説明も謝罪もなく、3月以降各チームやビーチバレー選手の来季のスポンサー継続交渉にどう影響が出るかは、まだ予断を許さない。
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