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インタビュー

2015-11-30 17:29 追加

「ブラジルバレーのすごさを感じています」荻野正二

ブラジル、サンパウロ市で研修中の荻野正二氏インタビュー

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ブラジルの地下鉄ホームにて

ブラジルの地下鉄ホームにて

JOC(日本オリンピック委員会)のスポーツ指導者海外研修員として、2015年8月末からブラジル、サンパウロ市に滞在しているサントリーバレー部アドバイザーの荻野正二氏。40代半ばでの新たな挑戦、実際に目にする世界トップのブラジルバレーはどのようなものなのか語ってもらった。(※質問、返答の他に★印の所はエピソードを紹介)

 

■日本から世界へ

ーーJOCの研修で海外に出ようと思ったきっかけは何ですか。

荻野 サントリーで監督、コーチをした後に現場を離れて、この機会に何か研修をしようと思いました。まずJOCのコーチアカデミーというのに他の色々なスポーツの方と一緒に参加して、それからさらに海外研修に行ってみようと。会社に相談したところ「ぜひ行って来い」と言って下さり、貴重な経験なので決めました。会社のサポートは本当にありがたいです。

ーーどうしてブラジルを選ばれたのですか。イタリア、ポーランドなど欧州リーグは考えませんでしたか。

荻野 オーストラリアに行きたかったんですが、クラブチームがない。アメリカも大学バレーが中心。やはりプロのクラブチームやリーグの中で研修したいと思って。ヨーロッパはなんとなくプライドが高そうで、その中でアジア人がうまく溶け込めるか少し不安があったんです。バレーや勉強以外のことで気を使いたくなかったので、ブラジルの方が親日的でうまくいくかな……と。こちらで駐在の方や日系人、ブラジル人とみなさんに色々紹介してもらってつながりができて、助けてもらったり、本当にブラジルで正解でした。

 

■強豪SESIでの日々

③手前からムリロ・エンドレス、セルジオ・サントス、そしてパンアメリカ大会、南米選手権で打ちまくった期待の若手ドウグラス・ソウザ。立っているのがマルコス・パシェコ監督。

③ 手前からムリロ・エンドレス、セルジオ・サントス、そしてパンアメリカ大会、南米選手権で打ちまくった期待の若手ドウグラス・ソウザ。立っているのがマルコス・パシェコ監督。

現在、研修先のSESI-SP(セージ‐サンパウロ,以下SESI)は09/10シーズンに男子が11/12に女子が発足した比較的新しいチームだ。男子は優勝1回、ここ2年連続準優勝、女子は昨シーズン3位、まだ優勝はない。男子チームにはWSムリロ・エンドレス、Lセルジオ・サントス、WSチアゴ・アルベス(元パナソニック)、OPテオ・ロペス(元サントリー)、女子にはMBファビアーナ・クラウジノ、WSジャケリーネ・エンドレスなどがいる人気チームだ。

 

試合を見守る荻野さん。前でかかんでいるのがチアゴ・アルベス。

試合を見守る荻野さん。前でかかんでいるのがチアゴ・アルベス。

ーーSESIではどのようなことをなさっているのですか。

荻野 シニア、ジュニアの男女の練習に参加しています。ブラジルの中でどこにしようか考えた時に、サントリーのジャイミ(コーチ)からSESIは男女のシニアとジュニアの4チームが同じ体育館で練習しているから幅広く勉強できる、家からも安全に歩いて行けると教えてもらったんです。この先、女子の指導をすることはないかもしないけど、東京五輪にむけて若手の育成を考えた時に、ジュニアや女子のチームも見ることはプラスになると思いました。

ーー一言で研修と言っても、学ぶことは色々とありますが、その中で特に学びたいと思っている点は何ですか。

荻野 ひとつに絞るのは難しいですが、まず若い選手をどう強化していくか。あと練習メニュー。プロとしてどう生活しているのか、ミーティングの進め方なんかも興味あります。試合中、タイムアウトやメンバーチェンジのタイミングをチェックしてるんですが、この劣勢で2枚かえるか? リスクを負ってもやる自信、1点を取りに行く執念、試合前にそれだけの準備をしてるからできる。練習メニューの量より質ですね。

ーー練習で日本と違うと感じる点はありますか。

荻野 内容がめちゃくちゃ違うっていうのはないけれど、スタッフと選手が本当に言いあいますね。日本はまだ監督が絶対という感じじゃないですか。監督よりも他のスタッフの方が指導したり、ミーティングでもたくさん意見を言ってます。あと女子も男みたいっていうか、練習メニューや接し方なんか男子と変わらない。

ーージュニアのチームは21歳までで、そうなると日本の高校生、大学生の年齢ですが、日本と比べてどうですか。

荻野 全然こっちの方がすごい。ジュニアの子でも日本のVリーグの選手よりすごい子たくさんいますよ。技術もそうだけどメンタルが強い。朝8時にボーっと眠たそうに来る。でも練習が始まると、目の色変えてすぐにばりばりスパイク打ちまくる。「お前、さっきまで寝てたやん」って。少しでも上に行こうという向上心、ハングリーさがすごい。

ーーそれはどこからくるんだと思いますか。

荻野 ジュニアの選手の家に行ったんだけど、彼らもプロとして給料はもらっているけど2人で共同生活。同い年でもシニアのチームにいて代表入りしている選手は何千万円の給料で高級マンション住まい。かわいそうやなあと思うけど、これが実力社会。レギュラーか控えかなんていう差じゃないですよ。ジュニアの子がYouTubeで僕の現役時代の映像を見つけたり、練習中にスパイクやレシーブのアドバイスを求めてくる。もちろん監督やコーチがいるけど、少しでも新しいものを吸収しようという貪欲さ。結果を出してなんぼ、それがすべてという意識がしっかり植え付けられてますね。

ーースーパーリーグが11月はじめに開幕しました。印象はどうですか。注目の選手、チームはありますか。

荻野 どこもレギュラーだけでなく、控え選手もレベルが高い。日本はまだ外国人選手が目立つけど、こっちは全員がすごい。それが当たり前だからすごいと感じなくなってくるのが、逆にこわいですよ。それほどでもないと思っても、良く見ればブロックの手がぐっと前に出てる、そういう選手がたくさんいます。あとここでもやっぱりメンタルですね。自信やプライド。チームでは特にタウバテ(FUNVIC/Taubate)の完成度が高い。そこにいくまでの練習をどうやっているのか、ぜひ見たいです。

試合後、感激の再会。ルイス・フェリペ(右)とカルロス・アルベルト(左)。

試合後、感激の再会。ルイス・フェリペ(右)とカルロス・アルベルト(左)。

★スーパーリーグでは、SESI以外にもかつて代表チームや日本のVリーグで戦った選手がたくさんいる。先日、サンパウロ州選手権の決勝ではタウバテのWSルイス・フェリペ・フォンテーレス(元パナソニック)とカルロス・アルメイダ(シキタ)コーチ(元サントリー)と再会した。「オギノが現役で来なくて良かった。こっちがやられちゃうからね」と笑っていた。そこへ北京五輪で日本から1勝をあげた元ベネズエラ代表監督のリカルド・ナヴァジャス氏(現在はタウバテのスタッフ)が通りかかり、「オギノ、ブラジルに来たのか!」と大歓迎する。研修制度で来ていることを知ると、「ぜひタウバテにも来てくれよ」と、北京五輪前は日本で合宿を行ったので、今度は自分がオギノの手助けをする番だということだ。ブラジル人はとても情が厚く、一度いい関係を築くと「アミーゴ(友人)」をとても大切にして、協力を惜しまない。

ーー現在の男子セレソン(ブラジル代表)についてはどう思いますか。日本のメディアの方に力が落ちたと言われることがあるんですが、落ちたよりも他の国が上がったと感じるんですが。

荻野 2、3年前はちょっと落ちたと思いましたよ。そして他が上がった。でも他が上がったと同時にセレソンも上がってる。ベテランばかりが注目されがちだけど、東京までいける若い子がもうレギュラーに入ってきてる。ごつい顔のMBイサック・サントス(25歳)、イケメンのWSルーカス・ロー(24歳)、WSルカレリ・デ・ソウザ(23歳)あれが強いわ。クラブ選手権優勝のサダ・クルゼイロ(Sada Cruzeiro)なんてほとんどセレソンのメンバーで、何なんだこのチームっていうくらい強い。リオはベテラン中心か若手がどれくらい入るかまだわからないけど、ブラジルはやっぱり強いです。

 
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