全日本バレー、Vリーグ、大学バレー、高校バレーの最新情報をお届けするバレーボールWebマガジン|バレーボールマガジン


バレーボールマガジン>インタビュー>久光製薬優勝インタビュー 中田久美監督(前編)

インタビュー

2016-05-12 12:02 追加

久光製薬優勝インタビュー 中田久美監督(前編)

優勝記念特集第3弾

SV女子

nakada2-s

2012年に久光製薬スプリングスの監督に就任したとき「4年でチームを作り上げる」と話していた中田久美監督。集大成を迎える4年目の今シーズン、昨シーズンの雪辱を果たし、監督としてリーグ3度目の頂点に立った(久光製薬スプリングスとしては5度目、天皇杯皇后杯は4連覇)。「経験したことがない勝ち方だったので現役のときを含めて一番嬉しい優勝」と笑顔。そんな中田監督に今シーズンのこと、この4年のチーム、選手の成長やこれからの久光製薬スプリングスについてなどお話ししていただきました。前後編2回に分けたロングインタビューです。  

――優勝おめでとうございます
ありがとうございます。

――優勝した瞬間、どんな思いがよぎりましたか?
何にも……あー終わったんだ、と。ほっとした感じが大きかったかな。

――胴上げはやっぱり嬉しいものですか?
嬉しいねぇ。私が監督に就任したときから選手たちに日誌を書いてもらっていて、ずっとやり取りをしているんですが、リーグの決勝戦に懸ける思いを知っていただけに、“何とかしてあげたいな”っていう思いしかなかったので、そうやって一つ結果が出てほっとしたのと、それから彼女たちの力ってすごいなって思いました。昨シーズンの負けからスタートして、もうすごかったです、昨シーズンから今シーズンは。

――4月4日にファイナルでNECに負けてから、5月に世界クラブ選手権に行って。
そう、その4月4日に負けた後から世界クラブまではほんとにたいへんだった。どうやって(選手たちを)上を向かせていくか、すごくたいへんで。そこからだったから。

――世界クラブではトルコの欧州チャンピオン(エジザージュバシュ)に勝ちました
そうフルセットで。あ、そのトルコのチームの監督がキリロワ(ロシア、当時はソ連の名セッター、中田監督とは同い年で良きライバルだった)のご主人で、トレーナーが、私がイタリアにコーチで行ったときの1年目のチーム(セリエA・ヴィチェンツァ)のトレーナーだった人で、「クミ!」って呼ばれたときにびっくりして。思わぬ所で懐かしい人と会えて、そういう嬉しかったこともあったんだけどね。

――そしてリーグが開幕、始まってからもなかなかたいへんでした。
いっぱいありましたね。予選(レギュラー)ラウンドは、敗戦した試合で日立戦以外はフルセット負け。その負け方がほとんど一緒で、そうするとそれが癖になってしまうのが嫌で……。

――2セット取ってからひっくり返されるという……
そうそう。その原因が何なのかはだいたいわかっていたんですが、だからこそあのメンバーにこだわった。このメンバーで乗り切らなきゃダメだなって。なんとかNECにフルセットで勝って、そこからちょっと上を向いてきたかなと。

――それは、0‐2から大逆転したNECレッドロケッツ戦(2015年11月22日)ですね?
そう。あそこから。普通、あの段階で勝っても泣かないよね。でもみんな泣いてたっていうのはやっぱり……

――これまで経験したことがなかった3連敗だから。
その週に3ついきなり負けたわけではないんだけど、負け方が同じだったので揺れ動いちゃうっていう……勝ってきてすごくいい経験をしている強さもあるけど、負ける怖さもなんとなく感じ始めて、でもそれでプレーが萎縮してしまったらダメだと思うし、どうやってチーム力を上積みしていけばいいのか。

負けると自信がなくなるからどんどん守りに入ってしまうというか、守りに入らなきゃいけないところもあるけど、このメンバーで上乗せをどうしたらよいかと、あとは、それ以外の選手たちのエネルギーも……という感じでした。そうやってNECに勝ってなんとなく勝ち続けて、その後の天皇杯皇后杯で何もなかったかのように優勝して、いくかなと思ったら……

――練習拠点のホームの加古川、神戸で連敗。神戸での東レアローズ戦ではずっと先発の石井(優希)選手を途中で下げることもありました。
あの神戸の試合は心を鬼にして。試合が始まる前から、“(石井は)ダメだな、今日”と思っていたので。でもそこで見放すわけではなく、そこからもう一回チャレンジしてもらいたいと思って。石井にとっては頑張らないといけない年だったから。でも逆に代わって入った野本(梨佳)があそこまで踏ん張れたというのは収穫だったし、ホームで2つ負けたけど、私は全然悲観的ではなかった。それをチームにどう伝えたらいいかと考えていました。

――その翌週、刈谷で2つ勝ってレギュラーラウンドは2位で終了。そうしてファイナル6で。
セッターのアス(古藤千鶴)が肉離れ、それでアヤノ(中大路絢野)にすべてを賭ける、と。NEC、日立、(トヨタ)車体と3つ負けて、その後の岡山、東レ戦に3‐0(か3-1)、3‐0(か3-1)で最低ポイント6を取って、後は車体とNEC次第という状況。そうしたらNECが車体に勝って、助けてもらってファイナル3進出……勝負というのはわからないですね。

――ファイナル3はすごい試合でした(東レアローズをフルセットで破る)。
あれはとってもいい試合でした。ああなったら勢いしかないよね。

――そしてついにファイナル。優勝決定戦はいかがでしたか?
ファイナルでは選手たちがすごく落ち着いていました。(1セット取られたときは)“また一緒だ……”と思いましたが、中大路がうまくサイドを使っていました。リサ(新鍋理沙)がほんとによかった。ミユ(長岡望悠)も悪くはなかったけど、やっぱり新鍋のレフトが決まり出すとブロックが分散しますよね。

――中に切り込んだり、サイドに伸ばしたり。久光らしいバレーになっていました。新鍋選手は「楽しくて、終わりたくなかった」と言っていましたよ。
ほんとに? 私は早く終わってほしかったです(笑)それでも、今シーズン一度も勝ってなかった日立にファイナルで勝つ。勝負事はわからないですね。

>> インタビューのページ一覧へ戻る

同じカテゴリの最近の記事

コメント

Sorry, the comment form is closed at this time.

トラックバック