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インタビュー

2016-06-13 12:00 追加

久光製薬 優勝インタビュー 中田久美監督(後編)

優勝記念特集第3弾

V・プレミアリーグ 女子

中田監督写真-s――では、個々の選手についてお伺いします。この4年チームを見てこられて変わったところやこれから期待することなどを教えてください。

02818-s・岩坂名奈選手について
(岩坂)ナナ、(新鍋)リサは、私が監督になったばかりの頃はすぐ泣いていました。ナナは元々持っていたものだと思うんですが、その頃と今では、発想の転換、バレーボールに対しての考え方が変わりましたね。追求のしかたが細かくなってきたというか、すごく意欲的だし、勉強熱心で真面目、よほど大きなけが以外では練習を休まないし。(技術的には)もちろんブロックもいいですが、横の動きが速くなった。レシーブもセットアップも意欲的になり、すごく綺麗なトスを上げて……それはここ数年のこと。彼女の中で何かがあったのだろうけど、一番人間的に成長したのはナナじゃないかな。すごく前向き。いいと思います。わが道を行ってもらいたい。ブレることなく。ナナはすごく気が利く子だから下級生に対してもいい影響を与えてくれる人なので、何にも心配することはないです。

02408-s・長岡望悠選手について
ミユ(長岡)は今ちょっと世界の壁にぶつかっている気がしますが、存在感のある選手に成長したと思います。元々独特な世界観を持っている人なので、そんなに深く考えなくてもいいことをちょっと難しく考えたりする傾向があるから、そこをいかにシンプルにさせてあげるか、彼女に対してはそれを心がけていますね。私が監督になった頃のミユはアスリートじゃなくて、ほんとにほわーっとした、この子はバレーボール選手なのかなっていうモチベーション。持っているものはいいのに、勝負ということにあまり関心がなかった。

でも今は日本のエースとして覚悟を決めてやっている選手なので、軌道修正をかけてあげながらいけばいいのかな。あの身長は世界にとってはそんなに高くないので、ポイントゲッターとして今後何で勝負していくかを追求していくべき。今のままじゃダメだなとは思う。それでも絶対日本代表に必要な選手だと思うので、ミユにはそんなに難しくない何か明確なものをポンと乗せてあげられたらいいなと思っています。一歩前に進むための勝負のときなんだろうと思う。

02087-s・石井優希選手について
ユキ(石井)ちゃんは……ほんとにネガティブな子だったね。もう真っ暗。今のユキからは想像つかないくらい真っ暗。しゃべらない笑わない。ミユ(長岡)もそうリカ(野本)もそう、あの代はみんなしゃべらない笑わない。でもユキも明るくなった。腹黒いけど(笑)そういうのが面白いんですよ、プレーを見ていても。この場面でこんなことやるのっていうようなことをやれる発想を持っている人なんです。それが見ている方からするとすごく面白い。痛いところでミスをすることもあるし、メンタル的にポキッと折れちゃうときもあるんだけど、そういう面白さも持っている。これは今村(優香、2016年入社)もそう。私は、そういう選手が好きなのかもしれない。「はい」「はい」って聞いている選手よりよっぽど面白いし、信用できる。

全日本については(いろいろ悩んでいることもあったみたいだけど)、ユキに言ったのは、「行く、行きたいって言ったのはあなたでしょう。行くんだったらやってきなさい」と。どんな使われ方でも、それをどういうふうに捉えるかが問題。「ユキの人生だから、ユキが決めたのだから責任持ってやってきなさい」と。今年もどのように起用されるかはわからないけれど、どんな使われ方でも、今年は彼女の中で同じ失敗はしないと思う。やっぱり自分がコートに入り続けて打って優勝したっていうのもあるだろうし、ユキが打って久光は勝ってきたわけだから。今年は意識もメンタルもいいんじゃないかな。

03322-s・新鍋理沙選手について
リサは、銅メダリストだし、淡々と黙々とやっていた感じで、どういう人なのか最初はよくわからなかった。でも一緒に戦ってきて、すごくいろんなことを考えている子。ちょっと勘違いされやすいけど、すごく単純明快。ただ表現方法がちょっと誤解を招くことがある。それってすごくわかるんです、私の中で。そこを理解してあげて、そして(ゲーム)キャプテンをやってもらった。彼女にとっては苦手な分野ですよね、でも、私はあえてそういうことをするわけです。そうすると、ちょっとずつ思っていることを若い選手や下の子たちに発信するようになってくる。

今シーズン、リサに「リサが崩れたら、このチームは終わる」と言い続けてきた。今シーズン私は彼女の底力を見ました。それは誰もが認めたと思います。他の選手も頑張っていたけど、一番苦しいときにリサが踏ん張って勝てた試合がたくさんあった。私が監督1年目のリサとは、立場も違う、求めることも変えてきた。それによく応えてくれていると思う。これからは……育ててほしい、対角に入る選手あるいは控えの選手を。今もユキやリカともよく話してくれているけれど。リサはうまいからね。ほんとにうまいから。バレーをよく知っているし。彼女にはいろいろ助けてもらいました。ときどきムカッとくることもあったけど(笑)

――似てるんじゃないですか?
似てるの。そう。キレ幅が一緒なんです、あはははは(笑)誤解されるのもね。(リサは)ほんとに私とそっくりです。

02469-s・中大路絢野選手について
アヤノは前はメンタルにすごくムラがあった。今日はいいけど明日はダメみたいな。本人は一生懸命やっているけど、周りの目を気にしないというか、良くも悪くも。でもそのムラはセッターとしてはダメ。いい意味で常に安定していなければならないから。だから初めは使うのがすごく怖かった。その点、アス(古藤)はコミュニケーション能力が高いし、一緒にやっている時間の長さもあったので計算ができた。それで技術にさほど差がなくてもアスを使ってきた。世界クラブはアヤノで戦って、「おおっ」と思ったけど、それでもまだつかめていなくて。

今回のリーグは周りがアヤノを助けたと思う。アヤノも純粋にチャレンジした。チームの状態が状態だったからそうならざるをえなかったかもしれないけれど、中大路絢野ってこういう人なんだというのを、私がわかったみたいな(笑)元々ライトへのトスが得意なので、久光にとってはもってこいなんですよね。速いバレーに対しても違和感がないというか。あっていますね。セッターとしての技術、トスの質など改善点はあると思うけど、普通はああいったファイナルステージの舞台で上げきれないですよ、周りが周りだし。よく上げきったなと思います。

02853・戸江真奈選手について
マナはずっとピンチサーバーだったのが、今季シーズンはリーグ途中から先発リベロになってレギュラーラウンドそれで勝ち続けて。リーグ後の今、さらによくなっているんですよ。ぜんぜん違う。達成というか、結果が出て自信につながると。面白いですね、人間って。けがをしないように頑張ってくれたらいいと思います。

――それでは最後に、これからの久光製薬スプリングスについてお聞きします。この4年を終えて、次はどんなビジョンを?
「第2の新鍋」「第2の長岡」といった選手を出していきたいですね。先発メンバーと遜色のない選手、どこに誰を入れても戦力として戦えるチーム作り。そういうことをできるであろう選手を獲得していきたいですね。スタンスは変えないです。

――勝ち続けながら育てていく、というのは難しいことですよね。
難しいですね。だからこそ、日頃の準備が大事。日頃どれだけ頑張るか。それが試合につながっていく。

――改めて「久光製薬スプリングスの目指すバレー」を監督の言葉で教えてください。
「ワンフレーム」のバレーというのは変わらずですが、言葉にするのは難しい。「テンポよく」「間を作る」ということかな。自チームの状態や相手によって、その間は変えていかなければならない。それは、ボールを追っているだけではできないもの。そこを追求することによって技術の幅が出てくる。間の作り方つまりは球捌き。それを状態によって変えていくということはボールから目を離さなければならないということです。周辺視野の問題も入ってくるわけです。パスしてトスを上げるまでとかトスからスパイクを打つまでとか、相手側にボールがいっているときもそう。その誰も触っていないときに何をどのように見て必要な情報を取り入れ、その情報をどう活用するのかがすごく大事。その状態を判断して間を作る。視野が広くなければ状況を把握することはできない。そういうことはできた方がいいと思う。

パスをするスパイクを打つという技術(テクニック)。ボールを触っていないときにどうやって動くかというスキル。ただ高く上げればいいとか、ただ速く持って行けばいいとかそういうことではない。そのときに適切なボールの処理をして、適切な動きをして、確実に決めていく。繰り返し課題を持ってやっていく。日々追求する。当たり前のことを当たり前にやる。簡単そうで一番難しい。それを武器としてチームを作りたい。

写真:久光製薬スプリングス提供

 
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