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2017-07-19 17:35 追加

越川優 さようならの代わりに。

SV男子

第66回黒鷲旗全日本男女選抜バレーボール大会は、JTの連覇で終わった。この大会を最後にインドアからビーチバレーに転向する元全日本代表主将・越川優は、MVPにあたる黒鷲賞を受賞。8チーム中7位に沈み、入れ替え戦に回ったV・プレミアリーグからの鮮やかな逆転劇。いかにも彼にふさわしい終わり方だ。

「でも、しょうがないんですよ。優さんは、そういう星の下に生まれた人だから」

とは、彼がJTに「優勝請負人」として請われて移籍し、その要望通りに創部84年目の歴史的初優勝を果たしたV・プレミアリーグ2014/15決勝直後の記者会見での、司令塔深津旭弘の言葉だ。どういうことかというと、深津は本当は、この歴史的ウィニングポイントを、その試合限りで勇退を決めていた小澤翔にとらせたかったのだ。セッターは意外と、そういうことを考えてあげている。青山繁が引退したときの阿部裕太も、北京五輪の出場権を獲得したときに荻野正二にあげた朝長孝介も。

s150405_03776だが、マッチポイントで回ってきたのは越川のサーブ。彼の最大の武器であり、バレーボールというチーム競技の中で、唯一、一人で完結することができるこの「サーブ」というプレーで、試合は幕を閉じた。越川のサーブは、サントリーのコートに吸い込まれていった。そこに司令塔の思惑が入り込む余地はなかった。マッチポイントで、もしくは競り合った場面で越川にサーブ順が回ると、対戦相手は常に冷や汗をかいてきた。そのサーブ順が、84年の悲願を達成する瞬間に回ってくる。よくもまあ、できすぎた話だ。

 

だから、今大会の優勝と黒鷲賞も「そういう星の下に生まれてきたんだから、しょうがない」というしかない。越川自身がコメントしたように、この大会で勝利しようと特別な思いを持っていたのは、もちろん越川だけではない。黒鷲旗はシーズン締めくくりの大会だ。2冠を制していた東レは3冠を当然狙っていたし、リーグで思うような成績が上げられなかったチームにはリベンジの大会でもある。そして、大会を最後にバレーから離れる選手、チームを離れる選手もたくさんいる。

決勝で対戦したパナソニックは、全日本代表の大黒柱、清水邦広が4ヶ月のリハビリを、この大会に照準を合わせてこなしてきていた。清水の出来は素晴らしかった。5点のビハインドを追いついたり、最終セットJTのマッチポイントで2枚ブロックを抜いて決めたスパイク。最後の最後まで手に汗を握る展開だった。でもしかたない。越川は、そういう選手なのだから。

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コメント

山田太郎 [Website] 2012.04.20 13:00

越川選手のことはよく知らなかったけど、バレーの嫌なしがらみに翻弄されて素晴らしい選手の貴重な時間が過ぎてしまったのかと思うと切なくなりました…

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