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コラム

2019-01-26 11:33 追加

サントリー沖縄で見せた“Bチーム”の意地 山本湧ら

サントリーBチームの意地

V1リーグ 男子

チームを襲った災難を救ったのは、“Bチーム組”の意地だった。サントリーサンバーズは1月19、20日、沖縄大会で、豊田合成トレフェルサと堺ブレイザーズと戦い、1勝1敗だった。レギュラーラウンド1位を狙うには、難しい結果となったが、サントリーには結果以上に得るものが大きかった遠征となった。

沖縄大会を前に、サントリーは主力が離脱していた。キャプテンでアウトサイドヒッターを務める藤中謙也は足を痛め、ベンチ入りしたこそ、ピンチレシーバーとしての出場。リベロの鶴田大樹や、セッターの大宅真樹はインフルエンザで欠場。いかにロシアの大砲ムセルスキー・ドミトリーがいても、主力3選手が外れては、そう簡単に勝てない。

また、昨年12月の天皇杯以降、各チームのムセルスキー 対策が効果を発揮しているのか、サントリーの勢いは落ちていた。そこへ主力の離脱と火の車になりかけていた。しかし、ここで奮起した、いや、意地を見せたのが控えメンバーたちだった。

藤中の代わりには秦耕介や米山達也、リベロには喜入祥充が、そして、昨シーズン途中までは主力のセッターだった山本湧が入った。19日の豊田合成戦は1−3で敗れはしたものの、第2セットでは35ー37、第4セットも24−26と接戦だった。また、20日の堺戦もフルセットになりながらも勝利し、2ポイントを上積みした。

秦は19日の試合後、「初スタメンで、沖縄入りした時は緊張しました。(藤中)謙也さんの代わりに入るということで、レセプションが僕の仕事になるんだろうなと予想して入った。案の定、サーブが来たんですが、自分が思った以上に返せたので、自信になりました。足りなかったのは集中力と体力です」と話した。2試合を通じて、レセプションだけでなく、サーブでも好プレーを見せていた。

喜入は急遽リベロで入ることになったが、最低限のレセプションはこなしていた。沖縄での2試合を振り返り、「当初は選手間で、(レセプションで)どこまで取りに行くのか、任せるのか曖昧だった。日曜の試合では予測して対応できた」と手応えを口にした。

山本「ここまで思うところがあった。悔しくて仕方がなかった」

秦と同じく今季初スタメンだった山本は、心に期するものがあったようだ。昨季途中、大宅が内定選手として加わった直後からレギュラーを奪われ、今季にいたってはほとんど試合出場機会を失っていた。
「昨季までは試合に出たり出なかったりだったんですが、今季になって完全に信用を失って、たまに2枚替えで出る存在になってしまったが、ここで結構アピールになったかなと思う。ここまで思うところがありましたね。悔しくて仕方なくて、最初はやる気がこう…。でも、自分の成長のために、とにかく今は。あと何年(現役を)やれるかわからないですし、僕も先輩になってきている。悔いのないようにやろうと思ったら自然に変わりました」

今季のサントリーは、ミドルブロッカー以外は固定メンバーで試合に臨んでいることもあり、控え選手になかなか出場チャンスが巡ってこない。そんな中でもベテランの米山は与えられた役割をきっちりこなしている。20日の試合では、アウトサイドヒッターのスタメンとして、アタック、サーブ、レセプションと全ての役割で、求められている以上の結果を見せていた。

喜入と米山

米山は20日の試合後、「普段試合に出られていないメンバーにとって、頑張ってなにより勝てたことが自信になる。主力が戻ってきても、今日の自信をチームに繋げていけたら活性化するのではないか」と話し、「僕自身はそういう使われ方(ピンチサーバー等、控え選手としての起用)をするというのは理解しているので、『出番、行くぞ!』と言われると、いつでもいける準備をとって臨んでいる」と自身の心構えを明かした。

そして、米山はなかなか試合に出れない選手たちのことを思って、含蓄のある言葉を使った。「普段、僕らBチームで、ムセルスキーにボコボコにやられていて、(紅白戦)やる前からあいつにやられたら仕方ない、というのがBチームの中で蔓延していた。でも、(沖縄大会で)秦、山本、喜入が躍動していた。この自信を持って、もしかしてまた(主力が)怪我して、出ないといけない状況があるかもしれない。いつでもいくんだという心構えを、もっと持っていてもらいたい」

荻野正二監督は、20日の試合後、主力選手の欠場をカバーした選手たちを称えた。
「チームの層が厚くなった。特に秦と山本。山本もしっかりトスワークを見せ、今までよりしっかり上げていた。練習の成果を発揮していた。今後は練習の中でもセッター同士で代えてみるのも必要かな。試合でも2枚替えで出す考えもあります。秦は昨日も試合に出て自信がついたのか、レセプションも安定して、サーブも9割くらいの威力で崩してくれたし、大変良い仕事をしてくれた。もう少しディグが上がってくれば、藤中に匹敵するスキルかなと思う。どんどん使ってあげたい」

そして、沖縄遠征で勝利以上に大きなものを手に入れたという。
「うちは、チームの総合力で勝たないといけない。誰かが調子悪ければ、誰かが出るというように。今Bチームに入っているメンバーもAチームと同じくらいのパフォーマンスで練習をやっている、そのことが多分試合にでた。あと、周りの人間も助けて、雰囲気もだいぶ良かったんじゃないか。全員で戦う姿勢が見えたから、本当に良かった。これでまた14人登録したメンバー、総合力で戦えるんじゃないか。今日の勝利は(取りたかった)ポイント3点よりも大きいものを得た」

怪我の功名だが、サントリーは思わぬ形でチームの底上げや一丸になるきっかけを得た沖縄大会だったのかもしれない。

写真・文:大塚淳史

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