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コラム

2019-10-05 15:13 追加

6日に対戦するアルゼンチン若手ロセルが193cmMBでも代表に選ばれる理由

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アルゼンチン代表のMBアグスティン・ロセル(背番号8)。ワールドカップ期間中に22歳になる若手だ(写真は今年6月のVNL東京大会、アルゼンチン対ブラジル)。

男子バレーボールのワールドカップが10月1日から、福岡と長野で開幕している。大会初日の大番狂わせだったのが米国対アルゼンチンだった。米国が有利とみられていたが、アルゼンチンに2-3(21 – 25、20 – 25、25 – 19、25 – 21 、12 – 15)とフルセットの末に敗れてしまった。アルゼンチン勝利の立役者の一人が、ミドルブロッカーであるアグスティン・ロセル。ジャンプサーブで米国の守備を崩し、高い身体能力でスパイクを決めるなどMBでありながら18得点とマルティン・ラモスの20得点に次いだ。そしてまだ21歳である。

今年6月のネーションズリーグ(VNL)東京大会でアルゼンチン代表は、来日の際の飛行機移動で思わぬトラブルに巻き込まれて移動時間が長引いてしまった。日本への到着が直前になってしまい疲れていたのか、初日の日本戦ではパッとせずストレート負け。他国の監督からも同情されていた。しかし、2日目イラン戦、3日目ブラジル戦と徐々に本来の実力を発揮していた。ロセルはアルゼンチン代表の一員として参加しており、活躍が眼を引いた。ロセルは交代しながらの出場で出場機会は限られていたが、出ればアタック、スパイクサーブ、ブロックと全ての面で、魅力を発揮していた。タイプ的にはウルフドックス名古屋の傳田亮太と似ている。

ロセルは193cmとMBとしては低いが、高い身体能力で強豪相手に対等に戦えている(写真は今年6月のVNL東京大会、アルゼンチン対ブラジル)。

VNLでロセルに驚きを感じた理由が身長だ。MBだが193cmしか上背がない。強豪国において、最早この身長のMBは希少。ロセルの公式プロフィールではスパイクジャンプが335cmでブロックジャンプが310cmと、日本のVリーグチームのMBとしては、ごく標準的な高さではあるが、国際レベルだと厳しい戦いが強いられるサイズではある。

そこで、ロセルをなぜアルゼンチン代表のMBに抜擢したのか、VNL東京大会でマルセロ・メンデス監督に聞いた。メンデス監督の答えは実に明快だった。

アルゼンチン代表を率いるマルセロ・メンデス監督。若手を積極的に起用する(写真は今年6月のVNL東京大会)。

――MBのロセル選手は193cmでありながら、国際試合で起用している理由は?

メンデス監督:サーブとアタックが良いからです。

――試合を見ていてブロックも良いと思いました。
メンデス監督:悪くはないけど成長しています。ミドルブロッカーに関して、3つ役割があります。サーブ、ブロック、アタックです。その内の2つを完璧にしていれば、良いミドルブロッカーで、3つをこなせたら本当に素晴らしい。

――今後も、あのサイズでも起用しますか?
メンデス監督:アルゼンチンで将来性のある選手だと思っています。

ロセルの魅力の一つであるスパイクサーブ(写真は今年6月のVNL東京大会、アルゼンチン対ブラジル)。

10月12日で22歳になるロセルだが、アンダーカテゴリー代表の国際大会でも活躍し、名将ベラスコ前監督から評価され、所属するアルゼンチンの名門ボリバルでもリーグ優勝を経験するなど、既に経験も実績も重ねている。また、メンデス監督が若手選手たちを、ベテラン選手と上手く融合させながら、育てている。ロセルがその恩恵を受けているのかはわからないが、VNLの時からワールドカップまでわずか4カ月しか経っていないが、さらにプレーのスケールが大きくなっている印象は受ける。

正直、193cmのMBは国際大会の強豪国相手では厳しい、とどこか思い込んでいた。しかし、ロセルの活躍を見て、Vリーグの190cm代前半のMBたちも代表選手として世界大会で活躍できる可能性は十分にあると勝手に投影している自分がいる。

10月6日の日本対アルゼンチンの試合では、ぜひロセルのプレーに注目してほしい。

(文・写真:大塚淳史)

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