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ゲームレポート

2014-03-28 18:30 追加

ボヨビッチによる全日本男子改革への提案 その2

日本のバレーボールマネージメントシステムの特性

全日本代表 男子

日本のバレーボールマネージメントシステムの特性

バレーボールマネージメントシステムにおける資本主義モデル対社会主義モデル

deki3s私の意見では、日本のバレーボールの現状についての問題は、実際に組織のモデルとして使用されている政治·経済秩序の問題である。最初からどちらのシステムや哲学が優れているかを判断する事からは離れて考えたい。それは非常に複雑な問題だ。完全なモデルというものはないし、両方には多くの利点と欠点がある。私は、日本バレー向上道筋のための私の洞察といくつかの提案を行おうと思う。

世界各地、特に欧州でのプロリーグを分析すると、資本主義(自由主義)の 市場社会のすべての特徴に気づいた。それは何を意味するのか? 資源の割り当ては常に利益によって決まる。内因的なものにせよ、外因的なものにせよ、常に最高の利益に向けて働いている。それは金銭的にも、興行的にも、自己修養にもなり得るのだ。自分たちの利益のために奮闘している全てのバレーボール参画者(選手、コーチ、チーム幹部、スポンサー…)は、無意識のうちにスポーツのレベルをも向上させているのだ。

自由市場というのは、利益を引き寄せるために、誰かが、他者が貴重だと考える何らかのもの(製品やサービス)を提供しなければならないシステムだ。それでは、バレーボール「市場」ではこれはどのように行うことができるだろうか。

選手;ベストを尽くしてもっと競争力のあるいい選手になれば、自分をトップランクのチームの一員にし、より多くの収入を得て、より有名になれる。
コーチ;自身の仕事を安定させよりよい仕事を見つけようと、自分のチームに質の高い選手を選んで、より優れたコーチングテクニックを探し、試合分析を改善する。
スポンサー;チームに出来る方法でクラブをサポートすることが、チーム自身が自社をプロモートさせることになり、結果として社の収益を増やせるようになる。

こういうシステムのあらゆる部分が、そのような特徴の中でバレーボールの質のさりげない向上と繁栄につながっていることは明らかだ。その総体的な結果は、非常に競争力のあるリーグだったり、よどみない技術革新であったり、プレイにおける創造性だったり、多数の観客だったりするのだ。

日本はどうだろうか? ここでは、アマチュアスポーツであり、選手達は企業の勤め人であり、最小限のリソースの配分、選手とスタッフの賃金は集中管理された固定のもので、失敗した場合でもストレスは皆無かほとんどないといっていい…。そしてそれはモチベーションの欠落を招き、最終的には質の低下をもたらすだろう。しかし、同時に、雇用の保障とよいキャリア管理と、企業への高い帰属意識などがある。日本のバレーボールマネジメントシステム(VMS)を分析すると、多くの社会主義的(集中された)市場の特徴を見いだすことが出来る。これは何を意味するだろうか? 社会主義的市場は人物主義であって、資本主義における結果主義モデルとは真逆のものだ。それは、人々(選手の場合でも、スタッフその他の場合でも)の全体の利益が結果そのものよりも重要であるということだ。

さらに比較し、分析するために、これら二つの市場が歴史の中でたどった道筋をいくつかの例で振り返ってみることにする。自由資本主義市場(通常西側諸国として考えられている)は、革新的な製品と、サービスと技術の発達を反映し、力強く持続可能な進歩と成長を示し、それが高品質な成果と消費者の高い満足度につながっている。政府の役割は重要ではない。市場は、全ての市場参加者の欲求によって動かされている。世界的に有名な経済学者のアダム・スミスが「見えざる手」によって動かされていると言ったように。

一方で社会主義的市場(東側)は、品質向上へのコンスタントな働きを見つけることは出来ず、そこには持続的な成長も、革新や新技術も欠落している。資源の分配は強力な中央集権によって管理されている。それ故、人々の需要を見抜けるほどスマートで、その為には人々を(自分のではない)(強制的に)働かせることができ、与えられた一定の期間の中で管理・維持できる位に粘り強い、(そういう)決定権を持つ限られた少数が持つもっとも外側の意義なのだ。

一つ目の市場システムは、結果と競争的な環境へ集中することが一定の質の向上をもたらすことを示し、二つ目の市場システムでは、賢くて厳しく、粘り強い指導者だけが、品質を新しい段階へと導くことを示している。

この理解と洞察でいかに日本のバレーボールマネジメントシステムを助けることができるだろうか? 私は二つの方法があると思う。

1. 長い目で見れば、自由市場のすべての特性を持つ、プロスポーツへと日本のバレーボールを再編成することが有益であろう。それはプレイと選手のレベル向上をもたらす。例としてはサッカーと野球だ。この両競技ともプロフェッショナルで、両競技の代表チームは世界のトップに属する。しかし。仕事の保障と、現在のシステムで得られるすべての利点が得られなくなる。

2.現在のシステムを継続する。しかし 。バレーボール協会は、膨大な知性と知識と強い意志を持つ、厳しい監督、または専門家のグループを招くべきである。

私の提案は、現在のモデルに固定することだ。なぜか? 第一に、アスリートにとっての大きなキャリアマネジメントを提案するもので、これはプロリーグには大きな問題であるから。第二に、プロリーグへの移行は、永続的な成功を保証するものではないからだ。質の向上があったとしても、それが日本のチームが他のチームに対してなんらかの特別な優位点をもたらすわけでもない、プロリーグから来たとしてもだ。(プロリーグ化すれば)時には表彰台に上ることができるかも知れないが、同じ結果は、競争上のアドバンテージを認識し、それをプレイスタイルに反映させて成功へ惜しみない努力を求めようとする的を得た監督によっても得られるからだ。

私が全日本チームの競走上の優位性について何を言及したのかについては、以前に投稿した「全日本男子チームについての個人的な洞察(パート1)」を読むことができるでしょう。

私は、全日本男子チームは、適切なプロセスの変更によって、逆境から抜け出すことができ、最終的には2020東京五輪の表彰台に上ることができると信じている。

 

デヤン・ボヨビッチ
東レアローズ所属。セルビアのスメデレヴスカ・パランカ出身。ポジションはウィングスパイカー。元セルビア男子代表。

写真:久坂真実

*この記事は、ボヨビッチ選手の許可を得て掲載しています。原文はこちらです。
対訳の詳細等のお問い合わせにはご対応できかねます。ご容赦ください。

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