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ゲームレポート

2015-01-14 20:00 追加

つくばユナイテッドSun GAIAの一番長い日

2014/15V・チャレンジリーグ天王山、つくばVS大分三好をつくば応援席から見つめたレポート

V男子

序 2015年1月10日

年末年始で中断していた2014/15V・チャレンジリーグが再開された日であった。つくばユナイテッドSun GAIAは、地元つくば市桜総合体育館でホームゲームを開催していた。
年内のつくばはスタートダッシュがつかなかった。消化試合数が少ないせいもあるが、上位から10ポイント以上差のある暫定6位で2014年を終えていた。目標とするV・プレミアリーグ昇格に繋がるチャレンジマッチ出場のためには、もう負けられない、ギリギリの状況である。
この日のつくばは第3試合。進境著しいトヨタ自動車サンホークスに3-1と粘り勝ち、3ポイントを得た。前の試合が長引いたため試合終了は遅くなり、終了後、事前に予定されていたホームゲームイベントにそのまま突入した。
ホームゲームイベントを含め、この日のすべての予定が終了したのが19時過ぎ。
会場内外のほとんどのひとに、その報せがもたらされたのは、その後のことであった。

都澤凡夫理事長が、この日の昼、11時30分頃に息を引き取った。22時頃、チームが公式Webサイトで発表した。

2015年1月11日 つくばユナイテッドSun GAIA-大分三好ヴァイセアドラー

一夜明けて日曜日のつくばは第1試合。対戦相手は、ここまで9連勝で首位を走る大分三好ヴァイセアドラー。前シーズンの対戦成績は1勝1敗、いずれもフルセットでの激闘であった。
今季、大分三好とつくばが同一会場で試合をおこなうこと自体、この週が初めてである。それぞれの戦力分析も難しい状況の中、この試合には、いきなり特別な意味が付加された。

つくばはユニフォームの左腕に喪章をつけての試合。試合開始前に、黙祷がおこなわれた。

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試合開始前、気合いがみなぎる

 

両チームのスターティングメンバーは下記の通り。(サーブ順)

つくば:MB4丸山 OP19浜田 WS10五十嵐 MB3奥村 S2浜崎 WS6瀧澤 リベロ22吉野/17平尾
大分三好:OP14オンテレ WS4池田 MB15田中 S2木場田 WS8石垣 MB18大道 リベロ11辻口(智)

つくばは年明け前から変化した点が2つある。ひとつはリベロ。これまで吉野(あるいは24白石)1名態勢であったところ、2名のリベロがスイッチするようになった。平尾は前所属チーム・兵庫デルフィーノでは主にリベロとして出場していたが、つくばでリベロを務めるのはリーグでは初めてである。もうひとつはWSの前後。以前はセッターの次のローテーションに入っていた五十嵐が、瀧澤と入れ替わっている。

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丸山(#4)、万感の思いを込めて

一方の大分三好は、前日とミドルブロッカーが入れ替わっていた。前日出場機会のなかった大道主将がスタートからである。OPに3シーズンぶりのオンテレを据え、セッターは堺から移籍した木場田が先発、というのは、開幕以来の布陣である。

第1セット、まずはつくばが浜田、奥村のサーブポイントなどでリードするが、大分三好が石垣のサーブからブレイクを重ね、まず初めのテクニカルタイムアウトは大分三好が取った。以降、手に汗を握る攻防が繰り広げられる。オンテレは非常に多くのスパイクを決めたが、そのスパイクに食らいつくつくばの姿も、より会場を沸かせた。1点差以内の攻防が続いたままデュースに突入し、膠着状態が続いたが、最後は丸山のサーブポイントで、つくばが1セット先取した。

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アタッカー浜田、何度も局面を切り替える

第2セットも10点過ぎまで一進一退の展開であったが、オンテレに肉薄する打数を鋭く決めていたWS池田を奥村がブロックしたあたりから、じわじわとつくばがリードを拡げていった。浜崎が石垣をサーブで徹底的に狙い、レセプションの乱れをついて浜田が切れ込む。さらに瀧澤もサーブポイントをあげる。一気につくばが20-13までリードを拡げたところで、大分三好はセッターを木場田から山田にスイッチした。その後も攻撃の手を緩めないつくばは一気に攻め込み、2セットを連取した。

意気揚々と応援団のいる側に「戻ってきた」つくばを、応援団はなおいっそう鼓舞する。「俺たちがついてるぞーーー!」それは、比較的いつもの光景ではあるのだが、いつも以上に、あらゆる方向からその声は共鳴し、そしてその声に選手たちが応える。ひとつひとつ、乗り越えようとしているおおきなものが、そこに存在していることを深く思い知る。

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第3セット途中出場の南(#23)。大きく成長した

第3セットは、しかし、セッターを替えた大分三好が息を吹き返す。サーブ、ブロックでじわじわと点差を拡げ、大分三好は一気に突き進む。つくばは堪らず浜田をセッターに据え、浜崎のところに南を入れる、という、前日も見られた布陣にシフトするが、それでも大分三好の進撃は止まらない。大分三好は、この日レシーバー登録の迫谷を池田がサーブを打ち終わったところに投入し、その声がまた大分三好の逆襲ムードを盛り上げていく。結局最後は前衛で戻った池田が決め、大分三好が1セットを返した。

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リリーフサーバー・白石(#24)がそのままコートに残り、終盤のコートを引き締める

そして迎えた第4セット。つくばは初めてファーストテクニカルタイムアウトをリードして迎え、最大4点までリードを拡げたものの、そこから大分三好が4連続得点で追いつく。以降、サーブがきちんと攻撃となって逆転し、大分三好がリードしつつあった。
大分三好18-15。フルセットが頭をよぎったとき、つくばはライトからの浜田にボールを集め、一気に3点を返して同点に追いつく。試合はそこからがっぷり四つとなるが、大分三好21-20から、つくばは奥村が連続2本決め、タイムアウトを挟んで池田のスパイクがアウトとなり、つくば23-21。
正直なところ、それ以降は試合の流れを追えているようで追えていない。つくばは24-23とマッチポイントを迎えたところで、リリーフサーバーに白石を起用したが、ここは池田が決めてデュースに。サイドアウトの応酬から、試合終盤に当たりが出てきた瀧澤のスパイクが決まり、つくばが26-25と1点リードして3回目のマッチポイントを迎える。ラリーの末、大分三好はトスをオンテレへ。つくばの2枚ブロックの遥か下、そのスパイクはネットに突き刺さった。

つくばユナイテッドSun GAIA 3(28-26 , 25-15 , 16-25 , 27-25)1 大分三好ヴァイセアドラー
win

全員で掴んだ勝利

その瞬間、つくばの選手たちはそれぞれの持ち場に倒れ込んだ。ベンチから控え選手が飛び出してきて、そこでいろいろな想いが一気に弾けてコート内に散らばった。
つくばは、ホームゲームで、首位の大分三好から3ポイントをもぎ取った。

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