2015-06-23 12:05 追加
帰ってきた男たち リオ五輪を控えたブラジル男子
誌名変更記念特集第一弾 ブラジル代表の今
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■W杯に不参加
2015年3月、国際連盟からリオ五輪に開催国として既に出場権のあるブラジルは、8、9月に日本で開催のW杯に参加しないことが発表された。昨年の世界選手権で敗れた悔しさを、W杯で王座奪回を目指していただけにショックは大きかった。しかし、目的を変え、ワールドリーグそしてカナダで開催のパンアメリカ大会での優勝に焦点を定める。男子代表ベルナルド・レゼンデ監督は「一度は辞退した7月のワールドリーグのファイナルの開催がリオに決まって良かったです。2008年以来、本当に久し振りのブラジルでの主要大会。多くのファンのためにも負けられません」と気持を切り替えている。当初は、ワールドリーグにA代表、そしてパンアメリカにB代表を送る予定だったそうだが、A、Bと力の差で分けずに、レベルの同じ2チームを作り両方で優勝をめざす。
■生中継でのメンバー発表
例年、代表チームの招集は協会のサイトに名前が出るだけ。それもスーパーリーグで敗退したチームの選手から順にばらばらに発表される。ところが今年は記者会見を開き、テレビでの生中継も入るという異例の力の入れようだった。
メンバー発表で目を引いたのは、男子ではリベロのセルジオ・サントスが2012年ロンドン五輪以来、そしてWSのサムエル・フシュスが2008年北京五輪以来、復活したことだ。
ロベルレイ・レオナルドコーチは「7月にワールドリーグファイナルとパンアメリカ大会が重なることとワールドリーグのメンバーが14人になったことで、最低でも3人のリベロを考えています。そこで4人のリベロに招集をかけました。監督とサントスは常にコンタクトをとっており、状態は常に把握していました」とサントス招集に至った経緯を話した。とはいっても、彼も39歳。若い選手と同じように練習し、世界各地の試合を飛び回るのは体力的にきつい。今年、来年とリオで試合があることで移動の負担がないのも決断に至った大きな理由だ。復帰したサントスの第一声は「背番号10だけは譲れません」で、10番をつけていたリカルド・ルカレリ・デ・ソウザは「僕は何番でも構いません」と18番になった。また、昨年まで最年長だった36歳のセッターのラファエル・オリベイラは「若返りました!」と嬉しそうで、チーム内では大先輩に気を使うよりも、和気あいあいとしたムードだ。本人は、「トレーニングセンターでも試合でも懐かしさと同時に、身が引き締まる思いです。多くの人の応援を受けてとにかく幸せです」と復帰の思いを語ってくれた。
■ポスト・ダンチの行方
ロンドン五輪後の男子チームで、S、L、OP、MBとどのポジションも代表入りの順番待ちの長い列があるのに、今ひとつなのがWSである。代表チームに長年欠けている「ポスト・ダンチ」、つまりダンチ・アマラルのように高く、速く、パスもできるという選手が育ってこない。どの選手の組み合わせのローテーションを見ても、レフト側だけ高さがないのが一目瞭然だ。
レオナルドコーチは「2004年アテネ五輪の時のように、ジルベルト・ゴドイ(通称ジバ)、ダンチ・アマラル、ナルベルト・ビッテンコート、ジオヴァーネ・ガヴィオと誰が出ても世界最高というような4人がいる事の方が奇跡に近い。ブラジルにはWSの高さ不足を十分カバーできるOP、MBがいて、レシーブも安定している」と大きな問題とは考えていないものの、「現段階ではムリロ・エンドレス、ルイス・フェリペ・フォンテーレス、リカルド・ルカレリ・デ・ソウザの3人は合格。他のWSはまだ成長中」ということも認めている。
そこで期待されたのが、2008年北京五輪以来の代表となったサムエル・フシュス(31歳、2m)の復活である。長年、肩のケガに悩まされ好不調の波があったが、スーパーリーグ後半の安定した力が代表入りを後押しした。しかし、残念なことに「スーパーリーグを数ヶ月戦った直後に、代表チームのレベルの高い大会に連続して出られる状態ではありません」と辞退した。
WSフォンテーレスは「たしかにネットをはさんで世界のOPはどんどん高く強くなっています。しかし、向こうのブロックが常に3枚隙間なくついてくる訳ではありません。レシーブがきれいに入れば、セッターが自由に展開し、相手のブロックを振ることもできます。また、ブラジルのいいサーブが入れば、こちらのブロックが有利になると思います。自分ではブロックに入る時は、最後までボールから目を離さないように気をつけています。高さばかりに気を取られずに、ボールの動きに集中することが大切だと思います」と、ブラジルのいい味が出せれば、相手のOPの高さを封じ込めることができると自信を持っている。
「リオ五輪のメンバーは恐らく今年のワールドリーグ、パンアメリカのメンバーの中から選出されるでしょう」とレゼンデ監督は言っているが、「2011年のパンアメリカ大会でOPワラセ・デ・ソウザが活躍して、翌年、五輪代表を勝ち取ったように、また誰かが出現するチャンスはある」と奮起を促す。
第4のWSに最も近いと期待されるのは、ルーカス・ロー(24歳、195cm)だ。2013年グラチャン、2014年ワールドリーグにも出場し、昨シーズンはポーランドリーグを経験した。今年のワールドリーグ第4戦のオーストラリア戦ではスタメン出場。ゲーム開始から、相手チームの強力なサーブの集中砲火をあびたが、落ち着いてレシーブをこなし、セッターとのコンビも良くスパイクでも安定した力を見せた。この日20得点と活躍したWSのリカルド・ルカレリ・デ・ソウザは「パスがきれいにセッターに入ったので、攻撃の組み立てを自由にでき、相手ブロックに的を絞らせなかったのが勝因です」と、前述のフォンテーレスの言葉通り、WSの高さ不足を感じさせない試合運びだった。
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