2015-10-28 08:02 追加
世界のバレー会場から 欧州五輪予選事情
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決勝の舞台へ進んだスロベニアが最後に挑んだのは、今季絶好調のフランス。結果の数字を見ると3-0と惨敗に見えますが、第2セットはリードで試合を展開させ、第3セットでは序盤フランスにリードを許すも、中盤にはラリーからのスパイクで連続得点を挙げ逆転に成功しています。しかし最後にはルジエ(OP)、ヌガペット(WS)、2大エースが崩れることなくチームを引っ張ったフランスに、デュースへと持ち込ませ粘りを見せましたが、力及ばず終了。それでも初の銀メダルは異例の快挙としてヨーロッパバレー界に新たな歴史を刻みました。
予選プールのイタリアや準決勝のブルガリアに2セットビハインドからの逆転勝利を収めたフランスは、相手チームのホームであろうと関係のない真の実力を、WL同様ここでも証明。このまま五輪の切符を奪う勢いは容易に想像できます。
惜しくもメダルに届かなかったブルガリアも、現役を引退した38歳のニコロフ(WS)を再招集し、大きな柱を取り戻してチームを強化。特に今大会ベストブロッカーに選ばれたトドロフ(MB)、ヨシフォフ(MB)の2枚の壁はヨーロッパ一と言っても過言ではないほどで、五輪予選でも大きく立ちはだかることは間違いありません。
世界選手権からベテラン選手の抜けた大きな穴が埋まらないポーランドは、世界王者の名を守るべく、ここからの修正が期待されます。ヴラズウィ(OP)やヴィニャルスキ(WS)の代表復帰が囁かれ、キューバのレオン(WS)のポーランド国籍取得も気になるところ。アンテイガ監督がどんな秘策を考えているのかも見所です。
同じく結果を残せなかったロシアも、ロンドン五輪王者としてここで簡単に出場権を譲るとは思えず、昨年の世界選手権銅メダリストのドイツも、2015ワールドリーグ銀メダリストのセルビアも恐らく何らかの修正を図ってくるでしょう。
近年、大会ごとに上位チームが変動するヨーロッパは、今やどのチームが勝ち上がってもおかしくない現状です。1月の五輪予選ではCEVランキング上位7チーム(ロシア、ブルガリア、ポーランド、セルビア、フランス、フィンランド、ベルギー)が、開催国ドイツを混じえ1枠をかけて勝負。惜しくも届かなかった2位、3位のチームは世界最終予選で来日し、日本とともに出場権(世界最終予選3枠)を争うことになります。
そのヨーロッパ2ヶ国を含め、世界最終予選に来日するチームは以下の通り。アジアからはオーストラリア、中国、イラン。南米からは南米予選2位のベネズエラ、北中米からは予選の結果によりカナダ、キューバ、プエルトリコ、メキシコのうち2位のチーム。
以上の日本を含めた8チームによって繰り広げられる来年5月東京開催の五輪世界最終予選。果たしてそこにはどんな顔が揃い、そしてどのチームに笑顔が見られるのでしょう。もしかすると今大会のスロベニアのような伝説が生まれるのかもしれません。
写真:CEV
文責:宮﨑治美(Harumi Miyazaki)
長崎県生まれ。2007年ワールドカップをきっかけにバレー観戦を始め、2009年頃から徐々に海外へも観戦に行くように。競技経験はないながらも、コートの中で繰り広げられるドラマ、選手の人間性に魅了され観戦し続けている。
第1回 ロシアリーグ
http://vbw.jp/5161/
第2回 イタリアセリエA1
http://vbw.jp/5267/
第3回 韓国Vリーグ「オールスターゲーム」(2013)
http://vbw.jp/5414/
第4回 ヨーロッパ選手権(2013)
http://vbw.jp/5760/
第5回 ドイツリーグ
http://vbw.jp/5923/
第6回 ポーランドリーグ
http://vbw.jp/6613/
特別編 男子世界選手権2014 第1次ラウンドを終えて
http://vbw.jp/7825/
特別編 男子世界選手権2014 第2次ラウンドの概要
http://vbw.jp/7911/
特別編 男子世界選手権2014閉幕
http://vbw.jp/8087/
第7回 2014/15セリエ A1選手動向
http://vbw.jp/8261/
第8回 佳境に入るイタリア「セリエA1」
http://vbw.jp/9310/
第9回 イタリア「セリエA」2014/15ファイナルラウンド
http://vbm.link/9775/
第10回 ワーリドリーグ2015現況とセルビア会場
http://vbm.link/10130/
第11回 ワールドリーグ ファイナル
http://vbm.link/10240/
第12回 ワールドカップ2015特別編
http://vbm.link/10454/
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