2016-08-28 10:46 追加
リオ五輪レポ・セルジオ「レゼンデ監督のあとは継がない」
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■男子決勝、3位決定戦
3位決定戦はアメリカ対ロシア。ロシアのMBからの攻撃やブロックがさえ、アメリカのWSアーロン・ラッセルが抑え込まれる。38歳ウィリアム・プリディが交代で入ってからレシーブに安定がでて反撃に入る。キャプテン、デイビッド・リーの陰に隠れて目立たないが、MBマックスウェル・ホルトがサーブにブロックにと要所で活躍した。ロシアの40歳セルゲイ・テチューヒンも攻守でチームを盛り上げるが、2-3の大逆転でアメリカが銅メダルを勝ち取った。
決勝はスーパースター軍団のイタリアに対し満身創痍のブラジル。2004年のアテネ五輪決勝ではブラジルが勝っているだけに、今回はイタリアがなんとしても五輪初の金メダルを取りたい。両者、互角の戦いだったが、2、3セット終盤でサーブ、ブロックを決めたブラジルが王者を奪回した。
五輪前のワールドリーグでチームの中心だったWSムリロ・エンドレスが肉離れでメンバーから外れ、このままずるずる負けてしまうかと心配された。しかし、ムリロがけがをした後に代わりに入ったマウリシオ・ボージェスが五輪に向け十分な準備ができたこと、そしてもうひとりのWSルイス・フェイリペ・フォンテーレスがムリロがいない分、レシーブもリーダーシップもプレッシャーがかかる中で、大会を通して安定した力を出し切れたことが優勝までの大きな一因だった。
【ブラジル、ルカレリ・デ・ソウザのコメント】
「金メダルがすごく重たいです。夢みたいで……信じられません。どんな時もチームメイトが僕を支えてくれて、自分のプレーに集中できました。本当に金メダルは重たくてきれいです。」
■さようなら、セルジオ
ブラジル男子ではLセルジオ・サントスが代表からの引退を表明した。表彰式後にマイクを取り、「すべてやりつくしました。僕はここにユニフォームを置いていきます」と話し、コートに背番号10のシャツを置いた。するとチームメイトたちが次々と彼に敬意と感謝の意をこめて、ユニフォームにキスをした。
【ブラジル、セルジオ・サントスのコメント。グローボ局のインタビューより】
「今やりたいことは早く家に帰ること。こどもを学校に送って行ったり、晩御飯を一緒に食べたり、誕生日会を家でやったり、そんなことがしたいです。」
将来はベルナルド・レゼンデ監督に勝る熱血監督になるのでは? という問いには、
「いえいえ、それはないです。田舎町の広場でピンガ(ブラジルの大衆酒)を飲みながら、トルコ(ゲーム)をやるそこらのオヤジになりたいです」と記者たちを笑わせた。
■これからの日本
リオ五輪最終予選以降、日本人選手をもっと海外にという意見が多く出ているが、ブラジルのスーパーリーグに限って言えば、日本人の需要があるとは思えない。では海外の高さやパワーに慣れるにはどうすればいいのか? 練習パートナー、つまり打ち屋を海外から招く、雇う方がよほど簡単だ。全日本だけでなく、Vリーグ各チームや大学でも対応できれば、より多くの選手が経験し、対戦できることになる。またもっと海外の大学チームを活用できないのか。ブラジルではバレーボールに限らず、水泳、テニス、陸上などでアメリカの大学へ入学する選手も多い。練習環境が整っていて、大学の奨学金も広く用意されているので、まず大学で経験を積んでからプロへの転向を考える時間ができ、もちろん文武両道なので学業は将来の仕事に役立つ。クラブチームでもアメリカの大学リーグの大会に参加し、国際経験を積む機会を増やしている。
日本で若い背の高い選手の発掘などと言っても、簡単に見つかるわけではなく、その人が将来どうなるかもわからない。東京五輪に向けて若手の育成ばかりが注目されがちだが、それよりも今、Vリーグで戦っている選手全体、もっと控えの選手のレベルアップを図り層の厚さにつなげていってもらいたい。
写真:FIVB
インタビュー協力:Daniel Augusto
唐木田真里子
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