2017-05-03 08:00 追加
一度離れて気がついたバレーへの想い ジェイテクト・古田史郎(後編)
——話は変わりますが、いちVリーガーとしてスーパーリーグ構想はどう感じますか。
古田:発想自体はすごく面白いと思います。いかんせん、リーグ自体のレベルのところといろんな部分とクリアしていかないといけないところがたくさんあると思いますけど。何より、Jリーグ、プロ野球を凌駕する魅力というのを選手自身も感じないといけないし、作らないといけないし、運営側も考えないといけない。そこらへんが不透明な印象を受ける。
——確かにそうですね。
古田:そう考えると、ここ数年、最初の数年は結果がでるかわからないですが、韓国のリーグは面白いんじゃないでしょうか。ドラフト制とか。やっぱりチームの力を拮抗させることである程度競争がうまれると思う。それで、よりたくさんのファンの方が関心を持つかもしれない。今、日本のファンの方って、チームが好きとかバレーボールが好きという方よりは、特定の選手が好きって方がすごい多いと思います。大事なことだと思うんですけど、根本的にバレーボール自体を楽しめてるのかなって思ったりもします。そんな状況なのに、その…リーグとかそうですし、バレーもそうですし、その辺はどうなのかな。僕にとってはわからないです。どこの線引きでプロとするのか、個人としては、明確にしてもらえば、わかりやすいですよね。スーパーリーグ構想は賛否両論あると思います。
——スーパーリーグ構想は結局大きく変わることが見えてこない状況です(4月27日に嶋岡健治代表理事会長が、構想発表を4月末から5月末への延期を発表。順調に進んでいると報告)。過去に元東レのボヨビッチさん、ジェイテクトのカジースキ選手に意見を聞いたことがあります。ボヨビッチさんは日本の、企業を中心としたリーグシステムは素晴らしいと言っていて、カジースキはプロ化になったら素晴らしいといっていた。長年Vリーグに所属している古田さんはどう見ていますか。
古田:デキ(ボヨビッチの相性)にしろ、マテイにしろ、一緒のチームでプレーする機会があって、彼らは自分の考えをしっかり持っている。日本に対してというところと、日本人からのというところで少し違うと思います。日本のバレーをどうしていきたいのかというところだという中でもいろんあ意見があると思う。スーパーリーグという発想というのは面白いと思いますし、どうやってやっていくの?というのもあります。何がしたいのかというかっていうのがより明確にならないのでしょうか。やっぱりプロ化することによって、日本のバレーを発展させていこうというのはわかります。でも、選手自身がプロ化するにあたってのメリットだったりデメリットだというのを真剣に考えた上で届くんだったらということですが、今って、選手の声があまり表に出てこない状況で、そういうところというのが必要なのかなと思う面もあります。
——選手間同士で話題にはなったんでしょうか。
古田:少なくとも僕らの中ではなかったですね。バレーボーラーとしての未来はリアルですけど、自分の将来のリアルに対してのことってどうやって生きて行くのかリアルに捉えている人って少ないんじゃないですかね。
——古田さんはジェイテクトと契約選手だからでしょうか。
古田:僕の場合は、そこを考えさせられる部分が大きいですね。東レを辞めて、ジェイテクトに入るまでの1年間でそういうことを学べた。
——さて、最後の質問です。いよいよ黒鷲旗がは始まります。それに向けての思いは?足の怪我はいかがですか。
古田:足の怪我は大丈夫です。黒鷲旗は(シーズンの)一つの区切りとなると思うので、できることを、しっかりやっていこうと思います。去年は準優勝だった。今シーズン、一つは優勝とりたい。タイトル一つも取れていない。天皇杯3位、リーグ3位なので、チーム一丸となって黒鷲旗をとりたいと思います。
——優勝を狙う?
古田:もちろんです。
(取材後記)
取材を通じて、薄々、「あぁ、多分退団するんだろうな」とは感じた。文字ゆえに、雰囲気が伝わりにくいが、古田選手は一つ一つの質問を丁寧にじっくりと言葉を選びながら、答えてくれた。また、こちらの際どい質問に対しても、答えられる範囲で答えつつも、正直につつみ隠さず話してくれもした。バレーボールへの愛情はひしひしと伝わってきた。“古田史郎”としてプレーに対するこだわり。自分にない経験を求める貪欲さや自分のものに取り入れようという向上心。古田選手は一時期だがVリーグから離れた。故郷の北海道に戻ってバレーボールに対する想いや人の出会いに気が付かされたからだろう。そして、現役へのこだわりや今までと違うバレーへの関わり方をする面白さも知った。
日本国内バレーボールシーズンの最後を締めくくる黒鷲旗が、5月2日に開幕した。古田選手のジェイテクトスティングスでの最後の勇姿を期待してほしい。
古田史郎(ふるた・しろう)
1988年1月29日、北海道函館市出身。オポジット、ウィングスパイカー。2010年、法政大学から東レアローズに入団。12年退団後、一時はクラブチームの北海道クラブに参加。その後、13年にジェイテクトスティングスに入団した。身長190センチ、最高打点360センチ。
聞き手:大塚淳史
写真:ジェイテクト
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