2012-08-01 22:04 追加
ロンドン五輪女子 日本vsドミニカ戦 解説
ロンドン五輪女子バレードミニカ戦、解説は手川 勝太朗。
全日本代表 女子
ロンドンオリンピック
日本Wードミニカ共和国W
ロンドン五輪で、バレーボール女子1次リーグが28日、行われ、A組の日本はドミニカを3−0(25−20、25−19、25−23)で下し、白星をあげた。
予選3試合目となるドミニカ共和国との試合。
これまでのオリンピックにおける日本の試合を振り返ってみると…1試合目のアルジェリアや3試合目のドミニカ共和国のように、リード・ブロックがきちんと徹底出来ていないチームに対しては、日本の攻撃が機能していたように見える。
しかし、2試合目のイタリアとの試合のように、ブロック力のあるチームを相手にすると、日本の攻撃が機能していなかったように見える。
この違いはどこから生まれるのだろうか。
いくつかの視点があるが、その中で日本の攻撃戦術と、相手のディフェンス戦術(主にブロック戦術)に着目してみると分かりやすいかもしれない。
一般的には、いわゆる時間差を利用して攻撃を行うシステムを採用する場合、MB(囮)の攻撃の可能性が低い局面では、ブロックはサイドのスパイカーに対して2人から3人程度のブロックを揃えることができる場面が増える。
古典的な戦術としては相手のMBが攻撃参加しにくいように、サーブを強く打ってネット際に返球しにくくしたり、ラリー中にセッターやMBにファースト・コンタクトを処理させたりする。
そのため、全日本女子チームはMBの攻撃の可能性が低い局面、つまりファースト・コンタクトの返球がネットから離れた時に、MBの攻撃を増やそうとしてきた経緯がある。
これは、セッターなどの選手がセット・アップする瞬間に「広いネットの幅(スロット)に、多くのアタッカーによる攻撃の可能性を確保することによって、相手ブロッカーが対処しにくいようにするため」であると言える。
しかし、そうした「対ブロック」の意識が、全日本女子チームの場合、違う方向に向いているのではないかという局面がしばしば見られた。
例えば、相手のブロックがコートの中央付近で3人集まっている(バンチ・シフト)にも関わらず、オポジットの山口選手がライト側からコートの中央に切れ込んで攻撃するシーンなどである。
本来、相手のブロック・システムに応じて有効な攻撃を選択することが必要である。例えば、相手のブロッカーがコートの中央付近に集まっているのであれば両サイドの攻撃を選択するべきであるし、相手のブロッカーがサイドのアンテナ付近に位置しているのであれば、コートの真ん中からの速攻やバック・アタックを選択するべきである。
また、相手のスパイクにブロックを跳んだあとの切り返しの攻撃(トランジション局面)で、レフト側やライト側のアンテナ付近から攻撃する選手が不在の場面をしばしば目にする。
こうした特定の位置(スロット)からのスパイカーの不在という状況に対して、後衛のコート中央付近でディフェンスを行う選手(主に後衛のWSが多い)が、状況判断をして、スパイカーが不在の位置(スロット)からの攻撃を担当するシステムを採用するチームが多い。
いくら、セット・アップからスパイク・ヒットまでの時間を短縮しても、攻撃の可能性(ネットの幅=スロットや攻撃人数など)を狭めてしまうことで、相手のブロッカーにとって対処しやすい局面が多く見られた。
試合会場でipadが使用出来ないなど、不測の事態による影響も考えられるが、相手の戦術に応じて、有効な戦術を選択するというオプションが上位進出を狙う全日本女子チームに必要であることは言うまでもない。
文責:手川 勝太朗
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