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コラム

2018-03-03 08:04 追加

ファイナル3の見どころ 高松の矜持と深津のブロック力(豊田合成vsJT)

SV男子

豊田合成・高松 葛藤していたファイナル6

 

豊田合成の攻撃はこの数年、イゴールが全てだった。強さ高さ巧さを備えるスーパーアタッカーのイゴールに、徹底してボールを集めることで、得点を稼いできた。一方で、今シーズン、イゴールに依存しない攻撃というのを模索し、確立もしていた。2レグにイゴールが足を負傷して約1カ月間、試合を欠場。どうやってイゴールなしでも得点を決めるのかが課題となった。

 

そこで、傳田亮太と近裕崇の両センター陣のクイックの本数を増やし、高松は後衛レフトからのバックアタック“東(トン、豊田合成での呼び名)”を打つなど、攻撃のバリエーションが増えた。この新しいスタイルにより、イゴール抜きでも豊田合成の攻撃は十分な強さを見せはじめた。2レグのJT戦(12月10日)では完成の域に達していた。その新スタイルに、さらに復帰したイゴールがプラスアルファとなって、豊田合成がワンランク上になったはずだった。

 

高松の苛立ちというのは、そういった取り組みから再びイゴール一辺倒に近いスタイル、そして目の前にいる自分にトスを上げてくれなかったことに対する失望からだった。

 

それが自分個人の単なるわがままでもないかと高松自身も理解していて葛藤していた。ただ、記者としては、30歳とベテランの域の高松が、まだギラギラしている部分が残ってるのか、高松の矜持というものを感じ、面白いとは感じたが。

 

翌週の福岡大会では、第3戦のJTでは負けはしたものの、第4戦のサントリー戦で勝利。高松自身は完全に気持ちを切り替えていて、試合中も前田とコミュケーションを取っていた。「先週は僕の態度が悪かった。雰囲気を悪くしてしまった」と反省し、「勝ったけど、自分の出来は50点か60点だった。僕が前田に『高松さんだったらどうにかしてくれる』というだけの技術やカバー能力を見せないといけなかった」と話した。

 

そして大阪大会では、スパイクがことごとく拾われるなど不調だったイゴールにかわり、高松がエースとしてスパイクを決め続けた。そして試合を決める最後のポイントは、前田から上がってきたトスを高松がストレートに決めた。試合後会見では「あの場面でくると信じていた。重要な場面でトスを上げてくれた前田に感謝したい」と労った。

 

足首が思わしくないのかわからないが、イゴールの調子がファイナル6と変わらないのあれば、高松の重要度は増す。ファイナル6での精神的な揺れを乗り越えた高松のプレーは、要注目に違いない。

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