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コラム

2018-03-18 12:00 追加

「どんな場面でもチームに貢献したい」ベテラン岡本が示す準備と心構え

グランドファイナルの見どころ

SV男子

豊田合成を支える交代メンバー岡本と川口


 その選手の凄さを感じたのはタイムアウトの時だった。タイムアウトの時、多くのチームではコートに立つメンバーはベンチ周りで指示を聞いたり、ドリンクで補給している。一方、控え選手たちは、軽く走ったり、対人パスを行う。よく見る光景だ。ただ、豊田合成の一人の控え選手の動きは違った。タイムアウトの機会を利用して、ただランニングするだけでなく、ジャンプサーブでの助走の動き、腕の動きを確認している、淡々と。それを毎回、タイムアウトの度にこなしている。全ては、1セット1回訪れるかないかのピンチサーバーとしての出番のために。

 

岡本は34歳、チーム日本人最年長プレーヤーだ。ポジションはウィングスパイカーだが、アタッカーとして出ることはほぼ無い。今シーズンのリーグ戦では、レギュラーラウンド最終戦、1月28日の刈谷大会の東レアローズ戦で、1セットだけスパイカーとして立っただけ。それ以外は全てピンチサーバーとして出場した。試合では、セットのどこかで白岩直也との交代でピンチサーバーで出てくるのが、ルーティン化している。スピードやパワーはそこまでないが、常に全力でドライブ回転が強くかかったジャンプサーブを打ち続けた。効果率が特別高いわけでもない。それでもトミー監督は岡本をピンチサーバーに指名する。

 

1月28日の刈谷大会の試合後、岡本にピンチサーバーとしての心構えを聞いてみたら、こんな答えが返ってきた。

「(心構えは)すごく難しいですけど、とりあえず、自分がどういう風なことをしなければいけないとか、緊張するなとか、前の人がサーブをミスったとか、22対23とか、いろんなシチュエーションがあったりするけど、自分がどういう(ジャンプサーブの)トスをあげて、どういう腕のふりをしてどういう風にサーブを打たないといけないと考えている」

 

タイムアウト時の取り組みについても聞いてみると、

「体があったまってないと、良いパフォーマンスがでない。自分がもし(体が)冷えた状態で出てミスしたら後悔するじゃないですか。自分もそれに向けてベストな状態をもっていけるようにしっかり動けるようにしています」

と大阪弁のイントネーションで答えた。レギュラーではない選手、しかもチーム最年長の選手が、自らこういう姿勢を実践するのは決して簡単ではないはず。

本当はもっとスパイカーとしても出たいのでは?という少し意地悪な質問をぶつけると、

「チームの助けになるようなプレーをしていきたい。もちろん試合どんな場面でもチームのために貢献したい。日本人選手の中で最年長なので、そういうところで仕事とか何かチームに与えられなかったら、いる存在価値がすごく薄くなっていくと思うので、そういうところを今後もしっかりやっていきたい」

と答えてくれた。だからこそトミー監督も岡本を評価するのだろう。

「ピンチサーバーとしての少ない機会しかないが、交代で入ればチームを助けてくれる。コートの外からも影響力もある。チームに対して多大な貢献をしてくれている」

 

岡本は、ファイナル3、ファイナルの第1戦では出番がなかった。しかし、第1戦、豊田合成の武器であるサーブが全体的に停滞気味だったことを考えれば、第2戦は恐らく岡本は登場するだろう。いつ来るのかわからないその場面に向けて、タイムアウト時に岡本は黙々とジャンプサーブの動作を確認している姿を、会場の観客たちも気づくはず。

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