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ゲームレポート

2018-11-02 19:40 追加

“新生”FC東京、豊田合成にストレート負けも光は垣間見えた?

豊田合成vsFC東京開幕戦ゲームレポート

SV男子

V1リーグ、FC東京の開幕戦は、10月27日愛知県小牧市で行われ、豊田合成トレフェルサを相手に0−3のストレート負けとなった。坂本将康前監督から、今シーズンはイタリア人のアレッサンドロ・ロディ新監督に代わった。ロディ監督はそれまで試合に出ていなかった選手たちをスタメンに抜擢し、2009年から長年に渡って指揮をとった坂本前監督とは異なるスタイルをチームに植え付けさせようという姿勢は見えた。経験値と成熟度で上回る豊田合成には敗れたが、第2セットは互角以上の戦いを演じるなど、ポジティブな面は垣間見えた。

昨シーズンまで4年連続の最下位という、負けに負けてきたFC東京。ロディ氏がコーチから昇格し監督として、開幕戦の指揮を取った。チームの新シーズン第1戦に選んだメンバーには、昨シーズンまであまり出場機会に恵まれていなかった選手たちが抜擢された。セッターの山田要平、ミドルブロッカーの小田嶋大貴がスタートからコートに立った。また、長友優麿は左利きでありながら、昨シーズンはオポジット(ライト側の攻撃専任のポジション)に外国人選手がいたことで、レフトに回っていたが、今シーズンは再びライトのポジションに戻った。新外国人のカナダ代表デロッコ・ジェイソンは、ウィングスパイカーに入った。

新生FC東京は、第1セットは中盤で手塚大や長友が豊田合成のブロックに捕まり、連続失点してしまい、その差を埋められなかった。しかし、第2セット、ローテを三つ回してはじめ、さらに体育館に慣れてきたのか、FC東京のサーブが豊田合成を崩し始める。デロッコ、手塚、長友のジャンプサーブ、小田嶋のジャンプフローターサーブでサーブポイントを奪い、またサーブで相手が崩してチャンスボールが返ってきたところを、きっちりと攻撃陣が決めていった。中盤で逆転してリードを奪うと、何度かセットポイントを握った。しかし、相手ブロックに捕まったり、山田のトスが2度ドリブルを取られるなど、27−29で競り負けてしまう。第3セットはまだチームとしての成熟度が高くないからなのか、中盤以降は豊田合成の攻撃に、FC東京のブロックが翻弄される。また、コート内での動きが悪くなり始め、終盤はレシーブでの連携ミスも出てしまい、あっさりと17−25でストレートで負けた。

第2セットのように、昨シーズン準優勝でメンバーが変わらない豊田合成を相手に、互角以上に戦えるところを見せた一方で、第3セットのように、崩れ出したら止まらない脆さも見せた。手塚は、その脆さについて問われると「毎年負けた試合に、(その点を)あげられているのですが、今シーズン、選手の中でもミスした後に、深呼吸して落ち着いて、その場面を忘れて次のプレーに集中していこうとはやってはきているんで、負け慣れている雰囲気にはなっていないと思います」と否定した。一方で山田は「ちっちゃい勝負をずっとこなしていこうとは言っていまして、まだ体現できていないからそうなっている。引きずっちゃっている部分があるのでは。それは今後改善していくんじゃないでしょうか」と振り返った。

ロディ監督は「豊田合成はとても組織的に良いチームで、向こうが良い調子だと対戦相手は厳しくなる。勝負はできたとは思うが、もう少し長くプレーできたらと思っていた。一瞬一瞬でもっと質を上げられる部分はあったとは思う。向こうは良かったが、私たちもずっとではないが、良い部分もあった」と前向きに語った。

新戦力のデロッコはカナダ代表として世界選手権に出場し、2次ラウンドまで戦ったこともあって、チームへの合流はまだ短かったが、強烈なサーブやスパイクに加え、サーブレシーブ(レセプション)では65・2%と活躍し、十分に及第点はつけられる活躍も見せた。スパイク決定率は50%を切ったが、今後練習を重ねていくことで上がっていくだろう。また、長友がライトに戻ったことで、攻撃力が生き返ったのも大きい。また、開幕セッターに抜擢された山田は、高いセットアップの位置から丁寧なトスを上げられるだけでなく、左利きで、身長185センチとVリーグのセッターの中では高さもある。

FC東京は長年、選手起用や采配で疑問を感じさせられることが多かった。イタリア人指揮官に代わって、より合理的なチームになるのかもしれない。

また、初戦は負けたものの、昨シーズンまでには見られなかった、試合前の練習で選手が集まって円陣を組んだりするなど、万年最下位だったチームにようやく変化の兆しは垣間見えた。今シーズンのFC東京は一味違うのか。小牧大会まで応援に訪れていた、数は少ないものの大声で応援していたサポーターたちの目にはどう映ったのだろうか。

写真・文:大塚淳史

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