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バレーボールマガジン>インタビュー>越境バレーボーラー ブドヴァ(モンテネグロ)今村駿 後編「嫁ともよく話すんです、海外に行くのは恥をかきに行くようなもんだと」

インタビュー

2019-04-02 19:48 追加

越境バレーボーラー ブドヴァ(モンテネグロ)今村駿 後編「嫁ともよく話すんです、海外に行くのは恥をかきに行くようなもんだと」

今村駿インタビュー

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元全日本代表のセッターで、現在はモンテネグロのヴドヴァでプレーしている今村駿選手にお話を聞いた。

――「セルビアでの練習試合に行った際、日本人が海外に出るに当たっての問題を元東レのボヨビッチ(現セルビア在住)と話した」とブログに書かれていました。協会に支払うお金があるとか、渡航費が大きく違うデメリットがあるとか…実際にはどんな違いがあるのですか?

今村:ヨーロッパ間での選手のやり取り…例えば、ヨーロッパからアジア、アジアからヨーロッパとなると金額が変わってきます。実際、今回は日本の協会にいくら払えばいいんだってエージェントに聞かれて、「なんだそれ」みたいな。それを調べて、日本も海外でプレーする人が少なかったから、結構いろんな人に聞きました。どこの国もそれぞれの協会にお金を払うんですけど、近隣の国から(選手を)獲った方が協会に払うコストも少ないし、あと一番は航空券ですよね。ヨーロッパに行くのにざっくりウン十万しますとするじゃないですか。それが日本人のウン十万と、ここの国々の人のウン十万と違うんですよね。今、モンテネグロの一般的な人の平均の月収が、2万5千円から3万5千円と言われているんですよ。それを考えると、日本人と、こっちの人のウン十万の感覚は、違いますよね。例えばモンテネグロでセルビア、ボスニア、クロアチアから選手を獲ると、基本的にはバスで行けちゃうんでって考えたら、(日本から獲るより)その分、得する。どこのクラブも経営必死なんです。特にここの近隣の国とか、僕の行ってる国に関してはどこのクラブも楽な経営をしているわけではないんです。あとは語学って言ってましたね。

――日本人は(外国の)言葉が喋れないっていうことですね。それはどこからの情報なんでしょうか?

今村:それは僕の先入観的なところが大きいと思いますよ。例えば、逆の立場を考えた時に、日本人がヨーロッパの人は英語を喋れないイメージがあるって言ったら、喋れるレベルが日本人よりは低くなるんじゃないかな、みたいな。モンテネグロのような国に、もともとの言語が違うにしろ大まかな言語があって、それでコミュニケーション取れてたら、経営する側とか監督の思考からしたら負担はないんじゃないかと思います。今は僕がプレーしていた3年前に比べても外国人監督の他にコーチも、日本人以外の方がいるチームが増えてきていますよね?だから日本にいても言葉の壁というかそういうものは以前より少なくなっているのではないかと思います。(日本選手は)技術が足りないからダメなのかと言ったら、それはまた別な話です。現に僕も3か国目で、どこの国でも試合に出させてもらっています。他の(日本人)選手が行ってるポーランド、イタリア、フランスとかハイレベルな国で僕はプレーしていないですけど、でもそれ以外の国であればプレーできる可能性もあるし、レベルが低いかと言ったら、それは行ってみないと分からないです。日本だったら簡単に通訳付けちゃえばいいでしょ、通訳はいるもんだよみたいな感覚ですけど。

――その中でも今回、チームはコストの高い日本人選手の今村選手を獲ったわけですが、そこはメリットがあると思ったからですよね?

今村:とは思いますけどね。

――その辺りのことを直接聞いたり、間接的に耳にしたことはありませんか?

今村:聞かないです、特に。

――ご自身ではどういうところを買ってもらえたと思いますか?

今村:映像やらなんやらは取る前に一通り目を通してもらってると思うので、その映像で喋ってる部分は多分音声がなくて分からないと思うんですけど、純粋にプレーを観て「イケるだろうコイツ」みたいなのがあると思いますけどね。言葉についても、これまで海外2か国で生活している分、「英語は喋れるだろう、コイツ」みたいな。直接喋ってはいないけど、映像を観ての方がリスクが少ないと思います。これは僕が獲る側の立場だったらの考えです。

――もう一点、若い世代の育成についてボヨビッチと話したことをブログに書かれていましたが、どのようなことを話されたのですか?

今村:“若いうちから技術を教え、早い段階でトップカテゴリーの環境になじませる”。例えばヨーロッパのクラブだったら、10代の子どもがチームに所属するのは結構普通なことじゃないですか。トップリーグの登録選手の中に19歳、18歳とか。チャンピオンズリーグのリストでもベンチメンバーに18歳、19歳とか出てくるじゃないですか。女子の場合だったら高卒上がりの18歳がいます。日本の場合、女子では見慣れてる感じですけど、男子だとVリーグでの登録メンバーでは、22、23歳って感じじゃないですか。その前の段階で、もう少し一緒に練習するとか。大学は大学でやってもいいから、優秀な選手がいたら練習だけ参加さるとか、試合には出れないけど、こういう環境に慣れさせる。できないのが当たり前ぐらいな環境に身を転じて、その環境に慣れさせるのはどうだろう。一つやってもいいんじゃないのかな。僕もスウェーデンの時そういう経験をしました。あの時は中学生も練習に参加してきたんです、週に一回くらい。でも日本だとクラブチームで活動してるわけじゃないんで難しいですよね。中学校は中学校で、高校は高校で、大学は大学でやってるんで、その区分がある意味しっかりしてるっていうんですかね。他のカテゴリーの人たちとプレーする機会がないも同然で、新しい環境に行ったときにリセットされてしまいますね。

――他の国だとそうじゃないのですか?

今村:練習だけ参加させたりとかします。今の練習環境だったら、2mのモンテネグロ代表のオポジットの選手、リハビリ中の元セルビア代表のニキッチなどチームメイトじゃないけど練習に来ます。

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