決着は１セット、待ったなしのゴールデンセットへ。多数の観客がこのままの勢いで東レアローズが勝つと思ったであろう。しかし、追い詰められたときに発揮されるのが真価というもの。現時点で久光製薬スプリングスの経験、蓄積が一枚上手だった。

「ゴールデンセット前に気持ちの切り替えができた」試合後、多くの久光製薬の選手が語った。インターバルでリラックスした表情を見せる石井優希。

手をつないで試合開始を待つ久光製薬ベンチ。

一転、ゴールデンセットは久光製薬が圧倒する。東レの奮闘もこれまで。惜しくもグランドファイナル、フルセットで力を使い果たしたように見えた。絶対女王が「挑戦者」東レアローズの勢いを飲み込んだ時間だった。

勝利の瞬間。１年の冒険が終わる。

前年の主将である栄絵里香と抱擁を交わす岩坂主将。各選手を回り、健闘をねぎらった。

シューズの紐を解く新鍋理沙。すべての緊張感から解き放たれた瞬間である。

ファンへのあいさつに向かう黒後愛。捲土重来を心に期して静かにコートを離れた。

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