2020-08-20 08:00 追加
【バレー】元ブラジル代表リベロ、セルジオ・ドゥトラ・サントスが引退「リベロはレシーブだけじゃない、トスもあげるぞという強い気持ちで」
セルジオ・ドゥトラ・サントス インタビュー
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リオデジャネイロ五輪で練習中のセルジオ。気迫が伝わってくる(撮影:CBV)
世界屈指のリベロ、セルジオ・ドゥトラ・サントス(44歳)がついに引退した。2001~2016年まで(ロンドン五輪後、2年中断あり)ブラジル代表のリベロとしてレシーブのみならず強いリーダーシップでチームを数々の栄光に導いた。ブラジル国内のスーパーリーグ男子は3月半ばに新型コロナウイルスの流行のため中断となり、その後4月に2019/20シーズンは優勝無しの中止が決定した。セルジオが最後に所属したチームPacaembu Ribeirao Preto(パカエンブー・リベイロン・プレト)は予選リーグを1試合残し中断した時点で12チーム中9位だった。数々の思い出を振り返ってもらった。
リベロ転向後間もなくの代表入り。リベロとして世界で初めて大会のMVPを獲得
――現在ブラジルは新型コロナウイルスの流行で大変な時期を過ごしていますが、どのように過ごされているのですか。
セルジオ・ドゥトラ・サントス(以下セルジオ):感染拡大と引退が重なったこともあり、チームに所属していないので、現在は家族と一緒にサンパウロ市郊外の別荘(小農場)で過ごしています。感染の状況が良くなるまではこちらにいるつもりです。
――長いキャリアの思い出を色々とお伺いしたいのですが、まず1998年にリベロという新しいポジションができた時どう思われましたか? すぐに馴染むことができましたか。
セルジオ:すぐに慣れました。特に違和感もなかったし、すんなり馴染めたと思います。
――2001年からはブラジル代表に入り、2016年のリオデジャネイロ五輪優勝まで数々のメダルを獲得されました。思い出に残っている試合はどれですか。
セルジオ:そうですね、長い選手生活の中で忘れられない試合はたくさんありますが、やはり2016年リオデジャネイロ五輪の決勝でしょうか。ブラジル代表としての最後の試合だったので、やはりとても印象深いです。
――2009年にワールドリーグで、そして2016年は五輪で最優秀選手に選ばれました。これはバレーを見る側にとってもスパイクやサーブといった攻撃だけではなく、守備の重要性を印象付けた受賞だと思いますが、いかがでしたか。
セルジオ:最優秀選手という賞を頂いた時は、特に感動したわけではありません。個人賞ではありますが、それはみんなの力で取ったからです。でも受賞したことで、上背のない人でも選手としてやっていくことができることを示した機会になったかもしれません。そういう選手たちにとってはリベロの大会最優秀選手というのは大きな価値があったと思います。その意味ではとても嬉しいです。

2009年ワールドリーグでMVPに選ばれる(撮影:FIVB)
――五輪には4度出場されました。どの五輪に向けての練習が一番きつかったですか。たしか2005年だったと思いますが、トレーニングセンターの体育館に「Muita agua mata a planta. (水をやり過ぎると植物は枯れる=練習をやり過ぎても選手がダメになる)」という横断幕を掲げたことがありましたが、あの頃が一番すごかったのですか。
セルジオ:2005年にあの横断幕を書いたのは私です。あの時は本当にたくさん練習しました。とてもきつかったですね。でも、あのフレーズは決して誰かを非難するものではなくて、冗談ですよ。
――世界選手権やW杯ではチームの人数が14人でリベロも2人認められています。しかし五輪はまだ12人で多くのチームでリベロが1人です。長い間ブラジル代表のリベロを1人で務めてきて、リベロの控えということはどう思われますか。私自身はもっと多くのリベロにも五輪を経験してほしいので14人になればと思うのですが……。
セルジオ:私はオリンピックに関しては12人でいいと思います。代表を離れてしばらくたちますが、オリンピックチャンピオンになるということは、それほど報酬を得られるわけではありません。少し幻想というか過大評価されているかもしれません。オリンピックは今のままでいいと思います。
――あなたはレシーブ力があると同時に試合中に何度もすごいトスを見せてくれました。何か2段トスをきれいにあげる秘訣はあるのですか。
セルジオ:秘訣はあげるぞという勇気と思い切りでしょうか。リベロはサーブとアタックのレシーブだけという概念というか枠も捨てることですね。その強い気持ちがあったからこそ、自分は他のリベロと比べて一歩抜きん出たんだと思います。

リオデジャネイロ五輪で優勝を決め、チームメイトに胴上げされる( 撮影:CBV)
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