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コラム

2013-08-31 17:38 追加

支える人々 国際大会の会場運営

現在行われているWGP2013の会場運営に尽力するスタッフの様子。

Others / 全日本代表 女子

SONY DSC今、ワールドグランプリ2013のファイナル札幌大会がまさにたけなわとなっている。
「Restart」を掲げる全日本女子の戦いは、毎日フジテレビ系列でゴールデン生中継されている。こういった国際大会の運営には、地元のバレーボール協会のスタッフが、ほぼボランティアで貢献している。今回の「支える人々」は国際大会の運営について、北海道協会の杉山哲平氏に寄稿していただいた。

ワールドグランプリのような国際大会の運営は、地元協会に所属して活動している各カテゴリの役員や指導者の方々、家庭婦人のみなさん、ならびにバレーボール部に所属する大学生などのボランティアによって行われています。JVAと各地の地元協会は、普通の上部組織ー下部組織の関係だと思いますが、JVAから地方協会に毎年補助金など予算措置があるわけではなく、基本的には地方協会独自での運営となっています。ですが指導普及や強化、審判などは毎年、伝達のための会議や講習が行われ、各地方協会で情報を共有しています。

上記のような地元協会のメンバーが、テクニカル、施設、審判、メディア、総務、宿泊輸送・警備…などなどを分担し、のべ300名くらいのスタッフで担当します。正直、手当などというものはほとんどなく、昼食と夕食のお弁当があたるくらいで、Tシャツなども全員にはあたりません。このTシャツというのは、必ずというわけではありませんが、このような大会運営のボランティアスタッフなどは十分な日当がないぶん、Tシャツやポロシャツなどが支給されることもあるのです。今大会はテレビに映る可能性のある、コート上の補助役員のボランティアのみに支給されています。

ラインズマンは、今回は、ほんとどすべて、北海道バレーボール協会の審判部に所属している、小中高校の教師の方たちです。地元でまかなっています。もちろん札幌近郊のみならず、釧路など遠方からも召集されています。主審副審は国際審判です。

みなさん職業を持っている方か学生なので、通常の仕事や授業を休んで参加しています。
もちろん、仕事をされている方々は、自分の有給を消化しています。自分もそうですが、職場の理解を得るのも苦労されている方々も多いと思います。

それでも、みなさんこうやって集まるのは、バレーボールが好きで、Vリーグチームのない北の大地北海道で世界大会を開ける喜びと、これまで開催、運営してきた自負や連帯感もあるのだろうと思います。

私も運営に参加してみて、テレビや雑誌からでは伝わらない大変さがたくさんあることを知りました。

時間の使い方ですが、大会準備は、開会2日前から行います。
 ①控室や会議室の設置
 ②アリーナのタラフレックス設営 
 ③メディアルームの設営
 
まずこれらを同時進行で行います。
 その後、
 ④観客席の設営(業者)
 ⑤ポスターやバナー(旗)の装飾
 ⑥メディア機材の設営やリハ
 
が行われます。

そこからは、毎日会場を出るのは深夜です。日付が変わる日もあります。試合はお昼過ぎからですが、運営するスタッフは朝から会場入りしています。FIVBの役員さんなどの要請なども次から次へと入り、対応しなければいけません。審判のこと、会場のことなどさまざまですが、例えば、机やいすの配置や、テーブルクロスのかけ方も指摘が入ることもあるそうです。

また、一般の観客の方々からも会場のことなどで多数苦情を受けたりもします。たとえば、会場内には、コントロールゾーンとして、立ち入れない部分があります。チーム関係者または、竹下さんや吉原さん、大山さんや大林さんなどが取材のために試合観戦する席です。ですが、そこに近づいてサインや写真を求める人がいます。これではチームや選手の行動や取材に支障をきたすことも出てきて、ストップかけるのですが、理不尽な文句を言われます。私も言われました。

私は、今回は施設面の仕事を行いましたが、何百ともある防球フェンスを運搬して立てたり、控室のレイアウトと設置、掲示物の整備や、会場の人の流れの整備、フロア内の椅子やデスクの設置など、やるべきことは数限りなく舞い込みます。

警備の方々は、札幌にしては珍しいゲリラ豪雨があっても、外で警備や交通整備、朝早くから夜遅くまで、苦情を言うことなく、丁寧に行っていただいています。

施設係は何でも屋です。会場の開場や施錠、ゴミ拾い、場内の交通整理、フェンスの移動、選手の誘導などなどで、その他臨機応変に要望に対応していきます。

テクニカルは、ネットやコートの管理、ボールの管理などなどを行います。また裏方の人をサポートする方々もいて、交通費やお弁当をスタッフに配布する人や、会場に来た観客の座席をエスコートする仕事もあります。また部外者や立ち入り禁止区域を監視するのも交替で行います。

何やら苦労話が尽きませんが、それでも日本の試合の時などは、たくさんのお客さんが来てくれ、みんなで盛り上がり、試合観戦をたのしんでくれているのを見ると、運営をしていてとても嬉しい気持ちになります。

願わくばもっともっとみなさんにバレーボールの選手の名を覚えてもらい、そして日本以外の海外の素晴らしいチームも応援してもらい、みんなでバレーボールを日ごろから語り合えるようになる日が来てほしいなと思います。

運営というと、何か協会の役員という肩書の人がやっているように思われがちですが、大部分は、日ごろバレーボールを愛好している選手や指導者がほとんどです。そういった人たちの参加がないと、少なくとも札幌でのバレーボールの世界大会は成り立ちません。
ぜひ、そういった視点もたまには持っていただけるといいのかなと思います。

私たち運営に関わる人間は、人一倍大会の盛り上がりと成功を願っていますし、こうした世界大会の開催を通じた日本や北海道のバレーボールの発展を願ってやみません。

プレーや選手の表情にも目が行くことがほとんどだと思いますが、陰で大会を支える方々の表情も気に留めていただけたら嬉しいです。

文責:杉山哲平
(札幌市内公立中学校の教師をしています。前任校までは道内各地の学校でバレー
部の顧問をしてきましたが、現在は勤務校にバレー部はなく、札幌市内や北海道
内のバレーボールの指導現場や大会を見て回っています。私設ブログも運営して
います。)

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