2014-01-13 03:07 追加
春高バレー準決勝 東京都市大学塩尻-東九州龍谷
春高女子準決勝 東龍vs都市大塩尻のゲームレポート
高校バレー 女子
東京都市大学塩尻-東九州龍谷 1(25-22 17-25 22-25 18-25)3
第1セットこそ、都市大塩尻がセットをとったものの、第2セットからは東九州龍谷のMB、OPを封じ込めることができず、東九州龍谷の勝利となった。
東九州龍谷の主な得点パターンは、MB(No.3加藤光)とOP(No.6山本奈実)。 特徴的なのはOPの攻撃である。 セッターがセット・アップの瞬間にほぼネット際に位置し、ほぼ助走をすることなくアタックを打っていく。 打点、通過点ともに高さはないものの、セッターのセット・アップ位置がネットから離れていても使える攻撃であり、相手チームにすれば常にライト側からの攻撃を意識せざるを得ない。 また、MBの(No.3加藤)のアタックは、今までの東九州龍谷のMBとは少し違うものである。セッターのセット・アップより前に踏み切り、ネット際で攻撃するのではなく、MBの攻撃にしては遅いふわっとしたセンター・セミのような攻撃を行う。いわゆるファースト・テンポの攻撃ではないものの、打点の高さをいかした力強い攻撃であり、OPと同じく、少々セット・アップ位置が乱れても使える攻撃であり、常にセンターからの攻撃を意識せざるを得ない。
一方の都市大塩尻はWS(No.10高相みな実)が得点源だが、しっかりと助走を取り、高い打点でスパイクを打てる局面が2セット目以降少なかった。 特にラリー中はあまり助走が取れず、またセットの低さゆえ、本来の打点の高さをいかすことができなかったことが残念である。
決勝に進んだ東九州龍谷に弱点はないのだろうか。東九州龍谷は徹底的にバンチ・シフトでブロックを行うチームではない。強いて言えばサイドの選手の意識としてはスプレッド気味である。 また、サイドのブロックもアンテナ付近を意識しているのではなく、さらに内側のスロットを意識して守っていることは、試合中の監督の指示や実際のプレイからも明らかである。フロア・ディフェンスも相手のレフト側からの攻撃に対して、ストレートはサイド・ライン際を守るのではなく、サイド・ラインから1m程度内側に位置して守っている。 このことから、スロット5(レフトのアンテナ付近)からの攻撃をしっかりとストレートのサイド・ライン際に強く打つことが有効である。 また、スプレッドの意識を持ったチームに対する攻撃の定石ではあるが、コート中央付近のファースト・テンポの攻撃を行うことが有効である。
東九州龍谷のMBは、相手セッターのすぐレフト側にフロントする局面も多い。そのため、完成度の高いファースト・テンポの攻撃ではなくても(セカンド・テンポの攻撃でも)、スロット3(セッターから3m程度レフト側)やスロットA(セッターの1m程度ライト側)の攻撃も有効である。(東九州龍谷のブロッカーがコミットしづらいように複数のアタッカーを確保することが大切である。) また、東九州龍谷の攻撃は前述のとおり主に2人のスパイカーによって組み立てられている。決勝戦は5セットマッチであることから、序盤に「仕掛けて」MB(No.3)とOP(No.6)を止めることができれば勝機は見える。 決勝戦では九州文化学園がどのように「仕掛けて」東九州龍谷のMB(No.3)とOP(No.6)を機能させないようにするのかに注目したい。
文責:手川勝太朗
神戸市立大原中学校教諭・日本バレーボール学会員
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