全日本バレー、Vリーグ、大学バレー、高校バレーの最新情報をお届けするバレーボールWebマガジン|バレーボールマガジン


バレーボールマガジン>コラム>新連載 河野裕輔のエール!第1回 日本男子バレーに起こった変化~VNLを振り返って~

コラム

2021-07-01 18:45 追加

新連載 河野裕輔のエール!第1回 日本男子バレーに起こった変化~VNLを振り返って~

全日本代表 男子


◆上位国における戦術
 優勝したブラジルは熟練の基本戦術に加え卓越した4枚攻撃からリズムを作っていた。ラリー中もバックのOH、フロントの3枚がしっかりと助走しており、ラリー中の相手ディフェンスシステムのほころびを突いていく攻撃は、まるでサーカスを見ているようであった。そして準優勝のポーランド。安定したディフェンスシステムは、まさに圧巻。Vリーグでプレーするクビアク(パナソニック)、クレク(ウルフドッグス名古屋)も攻守において素晴らしいプレーを見せてくれた。そして3位のフランスも、4位のスロベニアも、サーブでしっかりと攻めて自チームのシステムを機能させることを第一に、そこからどれだけクリエイティブなプレーを展開できたかが勝敗の分かれ目になっていたように思う。USAのトータルディフェンスシステムも秀逸だったし、ブルガリアやアルゼンチンのサーブ攻勢も脅威だった。

 今や「サーブで攻める」「トータルディフェンス」「4枚攻撃」は世界的に「当たり前」なのだ。このセオリーを踏襲しつつどれだけクリエイティブな「味」を出していけるかがポイントになってくる。ここに今後の日本の強化ポイントがあるのではないか。

◆戦術の変化による各ポジションの役割の変化()内は河野の私見
 中垣内監督のコメントによると、
OH・・・レセプションはもちろんスパイク(Bick)サーブ(セット能力)、ブロック
OP・・・攻撃、サーブ、ブロック、(チームを鼓舞できるキャラクター)
S・・・ミドルの使い方、(Bパスのセット能力、サーブ、ディグ)
MB・・・スパイク、ブロック、戦略的なサーブ能力(縦のファーストテンポを打つ能力)
L・・・ディグ、レセプション、コート内での指示、コミュニケーション能力

こう見ると○○のポジションだから○○だけやればOK、のようなポジションごとにスキルが限定されておらず、すべてのポジションでほぼすべてのプレースキルが要求されているのも今起こっている変化の一つである。

◆プレーヤーに求められるモノとこれからの日本バレー
 以前は決定力や守備力などがクローズアップされることが多かったが現代バレーにおいては「戦術遂行能力」である。
 どれだけ戦術に対応したスキルを持っているか、戦術をスムーズに遂行できるかといったところがクローズアップされている。そのスキルは多岐にわたることから、ジュニア世代からの経験によるものも大きい。もはや身長が大きいから、小さいからというのは育成においてはあまり意味をなさないのではとすら感じる。すべてのバレーボーラーがすべてのプレー、すべてのポジションを「やったことがある」という経験がこれからの日本バレーを更に強くしていくのであろう。そしていつかまた、日の丸が一番高いところに上がる日を信じて。
 
※プロフィール 河野 裕輔(かわの ゆうすけ) 1975年8月1日生まれ ポジション OP.OH 古河4ますらおクラブ-古河2中-足利工大附高(現足利大附高)-中央大学-JTサンダーズ(現JTサンダーズ広島) 現在社業の傍ら、V.TVにて解説者、オーカバレーボールスクール埼玉校にてコーチ業を勉強中。

写真:FIVB

>> コラムのページ一覧へ戻る

同じカテゴリの最近の記事

コメント

Sorry, the comment form is closed at this time.

トラックバック