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コラム

2021-07-01 18:45 追加

新連載 河野裕輔のエール!第1回 日本男子バレーに起こった変化~VNLを振り返って~

河野裕輔コラム

全日本代表 男子


元日本代表でJTサンダーズでプレーしていた河野裕輔さんによる新連載です。VTVでの解説経験なども活かし、龍神NipponやVリーグの展望、総括などをしていただく予定です。今回は6月21日に行われた2020東京オリンピックに出場する12名発表をうけて、全日本男子代表チームに起こっている変化を、VNL(ネーションズリーグ)の振り返りをしながら追っていきたいと思います。

◆変化の兆し
 これは2019年のワールドカップ前後から始まったように思える。それまでの「速い、低い」コンビバレーからテンポの概念、スロットの概念を盛り込んだオフェンス、リードブロックとディグの関係構築によるトータルディフェンス、何よりそれまでは禁忌とされていたサーブミスをある程度覚悟したサーブ戦術の導入が大きい。
 そしてその戦術がチーム全体に波及することにより、それまでの「個に依存したバレー」から「組織で攻める、組織で守るバレー」に変わってきたように感じた。

◆VNLにおける「ジブンタチノバレー」から「相手に合わせた戦術遂行」への変化
 VNLをご覧いただいた皆様は、日本のバレーをどう思っただろうか。
少なくとも昔からプレーして、見ている自分にとっては一つ一つのプレーが宝石のように輝いて見えた。それは今までの「ジブンタチノバレー」という内側に視点を向けるのではなく、「相手に対して有効な戦術」を遂行していく戦い方に完全に切り替わっているからである。この戦い方は、機能すれば十分にメダルが狙えるものになると確信している。
 もちろん基本となるのはスロット3~Aのコート中央での攻撃である。バックのOH(アウトサイドヒッター:サーブレシーブをしつつ攻撃するポジション)がMB(ミドルブロッカー)と同じタイミングでスパイクの助走に入るBickは今や世界中で標準装備している攻撃で、そこに両サイドの速くて高いファーストテンポを絡めて同時多発位置差を生み出すことにより、相手の3枚ブロックで味方の4スロットをケアしなければいけない状況を作ることが狙いだ。
 
ではこれが機能しなくなったのはどのような時か。そう、「サーブで殴られ続けた」時であるし、「サーブで殴れなかった」時である。
「サーブで殴られ続ける」と当然MBもBickも使えないためOH/OP(オポジット:セッター対角の攻撃専門のポジション)対相手チームという個VS組織の構図になる。そうなると攻撃は単調になり相手のペースにはまっていく。
また「サーブで殴れない」と常に相手の4枚攻撃が襲ってくる。

VNLで負けた試合はほぼこの2パターンではないだろうか。
どれだけサーブで相手を崩して攻撃枚数を減らすか、OHの選手とL(リベロ)の選手がどれだけBパス(セッターを少し動かすサーブレシーブ)もしくはAパス(セッターを動かさないサーブレシーブ)を返せるかが重要なポイントになる。

 ここでも変化がみられる。「Bパスでも」いいのだ。コート中央、アタックライン付近に上げれば全ての攻撃ができるのだ。以前のようにコート中央ネット際のセッターにピンポイントで狙うことは現代のビッグサーバー相手にはかなり難しい。だから対ビッグサーバーのレセプションはコート中央アタックライン付近を狙う。セッターはそこからファーストテンポの攻撃を仕掛けていくという新しいセオリーも現在起こっている変化の一つである。

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