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ゲームレポート

2014-04-22 14:07 追加

V・プレミアリーグ男子2013/14決勝

SV男子

一方パナソニック。
まずはブロックに関しては、第1セットの序盤に見られたようにバンチシフトから、レフトに2枚を揃えるために、JTと同じようにセンターを捨て気味にし、助走を取ってブロックをしているように見えました。JTもパナソニックと同様、MBの攻撃の割合が少ないとふんだ上での戦術ではないかと思います。まずはレフトの攻撃をブロックorワンタッチを取り、相手を苦しくさせイゴール選手にボールが集まったところを仕留める戦略に見えました。これも一定の効果を挙げたように見えました。しかしながらそれ以上にこの試合越川選手のパフォーマンスが上がらなかったこともパナソニックが封じ込めることに成功した要因のひとつに感じられます。

調子が良くなくてもきちんと山をつくる印象のある越川選手が第2セットの中盤以外パフォーマンスが上がらなかったように思います。

また攻撃に関してはいつもどおり、MBの本数は少なかったのですが(枩田選手が初ポイントを決めたのが第3セット)、バックセンターのbickを「普通」に使えていたのがJTには効いたと思います。前述のとおりJTは真ん中の攻撃を捨て、サイドにブロックを集めるブロック戦術を選択していました。深津選手はこのブロック戦術をあまり意識をしていなかったように見えましたが、福澤選手、ダンチ選手のバックセンターからのbickを良く使っていた第3セットを含め、決まる確率が高かったように思います。(実際福澤選手が5/8(62.5%)、ダンチ選手4/6(66.7%))安永選手がブロックポイントを決めた場面があったのですが、bickに対して組織的に守れる戦術ではないので限定的な効果だったと思います。

そしていよいよ勝負が決まる第5セットを迎えました。

このセットもJTはイゴール選手からのサービスでした。パナソニックはイゴール選手、越川選手のサーブをしのげば前半を有利に進めることが出来ます。前半から大きなヤマが来ており勝負としては非常に面白い場面でした。そのイゴール選手のサーブは惜しくもオーバーでアウト。次の越川選手のサーブもパナソニックは1回でサイドアウトをもぎ取りました。一方のJTはイゴール選手に集めずにMBも使い得点を重ねました。前半は五分の展開でしたが、中盤に苦しい場面でイゴール選手にボールを集め始めブロックで捕まると次の越川選手もブロックに捕まり、とうとうパナソニックがリードを広げはじめました。

この試合は、越川選手とイゴール選手が前衛のローテで回らないシーンが見られました。第5セットの中盤の連続ブロックもこのローテでした。本来一番攻撃力が強いはずのなのになぜこのようなことが起こったのでしょうか。JTにこのローテでバックアタックのオプションがなかったことが考えられます。八子選手がバックアタックに入れる可能性があるのですが、この試合では1本のみでした。また交代で入った國近選手はシーズンを通してバックアタックは打っていませんでした。イゴール選手を捕まえれば次は越川選手に上がるということは予想しやすかったと思います。これが連続ブロックに繋がったのではないかと思います。

優勝を決めたダンチ選手のbick。JTはMB1枚しかついていません。この試合の象徴的なシーンです

優勝を決めたダンチ選手のbick。JTはMB1枚しかついていません。この試合の象徴的なシーンです

点差は離れたとはいえ、JTにはイゴール選手→越川選手のサーブというひとヤマ作れるローテがありまだまだ分からないと思ってはいたのですが、いずれの選手のサーブもネットインの形でサーブの威力が落ちてしまう不運もあり、巻き返すことは出来ませんでした。最後はこの試合のJTのブロック戦術をあざわらうかのようなダンチ選手のバックセンターからのbickが決まりゲームセットとなりました。

最終的には、パナソニックとJTの攻撃オプションの差が出たと感じました。両チームともMBの攻撃は少ないのですが、真ん中のスロットを使った攻撃はパナソニックはどのローテでも繰り出すことができます。一方JTは越川選手、イゴール選手が前衛の場合はこのオプションはほぼありません。ですのでパナソニックの方がブロック戦術が組み立て易かったのではないかと思います。

この試合は両チームともいわゆる「入れてけサーブ」が少なく、攻撃的なサーブの醍醐味を味わえました。攻撃サーブをできるメンバーが多いチームはサーブで試合を有利に運ぶことができると感じました。このような力vs力のサーブ合戦のような試合が増えてくると良いなと思います。そうなるとレセプションが崩されることが前提となってくるので、攻撃方法が次の段階に進むことが期待できると考えます。

 

文責・写真:黒羽白

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