公益財団法人日本バレーボール協会（JVA）は13日、定例理事会を開催。2020年1月に開催されたビーチバレーボールワールドツアー男子イラン大会において、参加申請をしていた1チームの参加キャンセル申請の際に、同協会の担当役員が虚偽記載のある診断書を作成し、大会主催団体である国際バレーボール連盟へ提出した、一連の不適切処理に関する処分が承認された。

　この問題では事実精査を目的に昨年11月に弁護士3名で構成された第三者委員会を発足。翌月行われた2021年度第6回理事会（臨時）にて同委員会が調査結果を報告した。この報告を受け、同協会理事・監事によって構成された処分検討委員会が処分対象者・内容の検討を行い、13日の理事会での承認に至った。

　処分対象者と処分内容は、以下の通り。

・嶋岡 健治氏
代表理事会長解職
理事辞任勧告処分
マーケティング事業本部本部長解任

・髙野 和弘氏
業務執行理事解職
理事辞任勧告処分
事務局長・ ビーチバレーボール事業本部本部長解任

・鳥羽 賢二氏
理事辞任勧告処分

・小田 勝美氏
ビーチバレーボール事業本部副本部長解任
ビーチバレーボール強化部長解任
（※小田氏の指示に従い診断書を作成した事務局職員の責任も重いものと判断し、就業規則に則り処分の手続きを進めている）

　なお、診断書偽造の隠蔽に関わった当時の業務執行理事事務局長・鍛冶良則氏は本来処分対象となるが、すでに離職しているため対象外となっている。

　処分理由として、「国際大会のキャンセル申請手続き時に診断書偽造が行われたこと、キャンセル申請が遅れたことを公表するにあたり、会長、業務執行理事らは事前に診断書偽造が行われたことを把握していたにも関わらず、違法行為を黙認した上で事実を隠蔽した。これにより協会のスポーツ団体としての信頼を損ない、社会からバレーボール関係者に対する失望や不信感が増幅されるなどの事態を招いた。バレーボール界を統括・代表する団体としての責任は重大である」としている。

　今後の対応については、「河本宏子、松下敬両副会長主導のもと、2022年度4月1日からの新体制発足を目指し、新会長・事務局長の選任を行い、スポーツ団体としてふさわしいガバナンス体制を持った組織への改革を推し進める」とし、河本副会長は会長代行に。村上成司業務執行理事が事務局長代行となる。

　河本会長代行のプロフィールは、以下の通り。

河本 宏子（かわもと ひろこ）
出身地：京都府
生年月日：1957年2月13日（64歳）
最終学歴：同志社大学
略歴
1979年7月 全日本空輸株式会社入社
2009年4月～2010年3月 同社 執行役員
2010年4月～2013年3月 同社 上席執行役員
2013年4月～2014年3月 同社 取締役執行役員
2014年4月～2016年3月 同社 常務取締役執行役員
2016年4月～2017年3月 同社 取締役専務執行役員
2016年6月～2017年6月 三井住友信託銀行株式会社 取締役（社外）
2017年4月～2020年3月 株式会社ANA総合研究所 代表取締役副社長
2017年6月～ 三井住友トラスト・ホールディングス株式会社取締役（社外）（現職）
株式会社ルネサンス 社外取締役（現職）
2020年4月～2021年3月 株式会社ANA総合研究所 取締役会長
2020年6月～ 東日本旅客鉄道株式会社 社外取締役（現職）
2021年4月～ 株式会社ANA総合研究所 顧問（現職）
団体役職歴
2017年6月 公益財団法人日本バレーボール協会 理事
2021年6月 同 副会長

■河本宏子会長代行のコメント
本日の理事会にて、「ビーチボールバレー国際大会でのキャンセル申請不適切処理」にかかわる代表理事ら3人の処分が決定しました。すみやかに定款に従い理事選任を行い、代表理事と業務執行理事の選出を含めた新体制発足の手続きにはいってまいります。新体制発足までの間、現在副会長の任にある私が会長代行業務を務めることになりました。JVAの運営が滞ることのないよう、他理事・事務局職員と協力をしながら務めてまいりますので、よろしくお願いいたします。

理事会後にリモートにて記者会見に応じた河本宏子会長代行（左）と松下敬副会長