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コラム

2014-05-13 10:24 追加

「小学生バレーの競技人口を増やす為には」第二回 ~保護者の選択肢にバレーボールを追加する~

小学生バレーの現場からの声

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競技人口を増やす為には、全日本を強化する以前にやらなきゃいけないことがある、と前回は書きました。その一つが、保護者の選択肢の一つに「子供にバレーボールをやらせること」を追加してもらうことです。お子さんの選択肢に、ではありません。保護者の選択肢に、です。

例えば小学生のお子さんが、全日本を見てでも何でもいいんですけど、「バレーボールをやりたい」と思ったとします。保護者もそれを聞いて、お子さんにバレーボールをやらせてあげたい、と思ったとします。しかし、それだけでは保護者の選択肢に、「子供にバレーボールをやらせること」は入ってこないんですね。

まず、地元にチームがあるかどうか。通える範囲にチームが存在していなければ、チームに所属し、バレーボールを始めることはできません。運良く、通っている小学校の体育館をメインの練習場所にしているチームなどがあれば良いですが、電車に乗って通わなければならないような場合、選択肢には入り難いですよね。うちの嫁が小学生の頃は子供たちだけで電車に乗って練習試合に出かけたりしたそうですが、昨今では小学生だけで電車に乗せるケースってあまり無いのではないでしょうか。

運良く、近くにチームがあったり、保護者の方が送り迎えが出来る環境にあったとします。それでも、まだ選択肢には入ってきません。小学生のバレーボールチームは、保護者の方々のご協力なしでは運営もままならないからです。

長女のチームを例に上げると、保護者の方々には次のような役割を担って頂いています。

1. 代表者会議への出席
所属する地域(区市町村)連盟と、都道府県連盟の代表者会議が、それぞれ年に4回ずつ、計8回あります。これに代表者一人を決めて(キャプテンの保護者のケースが多いです)、指導者とともに出席してもらっています。会議の内容は、主に試合の日程や、組み合わせ抽選、連絡事項の伝達等です。これらに出席して頂き、内容を他の保護者に伝えてもらいます。

2. 施設利用調整会議への出席
練習時の体育館は、小学校の体育館を主に利用させてもらってますが、これは当然、勝手に使って良いものではありません。毎月、同じ地域に登録しているチーム(もちろん小学生バレー以外もあります)同士で話し合い、誰がいつどこを使うのか決めてます。これに当番制で出席して頂いています。この結果も他の保護者や指導者に伝えてもらいます。

3. 大会引率当番
公式戦の会場まで、引率する当番です。常に二人体勢です。指導者が連れて行ければ良いのですが、指導者は一足先に会場に入って設営を手伝うケースがあるので、保護者の方に連れて行ってもらいます。また引率だけでなく、試合時の記録員も務めて頂きます。都道府県連盟(予選のみ)も地域も主審、副審、記録員とすべて大人が務める方針である為、指導者だけで回すと試合して審判して試合して審判してと、休む間が無くなるケースがあります。その為、記録員だけは保護者の方にして頂くことにしています。また、試合や審判時以外の時間に、あれこれ子どもたちの面倒を見て頂いています。

4. 練習当番
輪番制で、週に一度の一日練習の日には、保護者一人に練習の最初から最後までいてもらいます。やることは、冬場はお湯を沸かして休み時間にコーヒーを淹れられるようにしたり、夏場は冷たい麦茶を作るなど。お昼には監督のお弁当を買ってきてもらいます。お弁当代は部費から出ます。あとは、子供たちと一緒に準備や片付けを手伝ったり、練習中に体調の悪くなった子供の面倒を見て頂いたり。指導者が面倒をみるとそこで練習がストップしてしまったりするので、いて頂けると本当に助かります。

5. 審判員資格取得
上で記録員を務めて頂くと書いていますが、地域連盟では独自の資格を、都道府県連盟ではC級審判員の資格が、記録員を務めるにあたっても必要になります。この為、地域連盟の資格については基本全員、C級審判についてはできる限り取得してください、というお願いをしています。私たちのように競技経験者であればまだ良いのですが、そうではない保護者の方々にC級審判員の資格を獲って頂くというのは大変酷な話というのは重々承知しています。しかし実際問題、それがそういう決まりになっているのは事実であり、取得して頂かないとチームが回って行かないんですね。なので、大変なのは承知の上で、無理言ってお願いしています。

さて、ざっと書くとこの5つでしょうか。これでも、長女のチームは他のチームと比べると保護者の役割は少ない方だと思います。他のチームでは、そもそもうちより練習日が多いですから、役割も自然と増えるでしょう。うちは合宿なども行っていませんし、練習や試合以外のイベントも基本的にはやりませんが(卒業生とのお別れ会くらい)、それらを行うチームでは、保護者の方が色々大変、という話を耳にしたりします。うちは比較的緩い方だと思います。

そんな緩いはずのうちのチームでも、「引率当番はできない」という保護者もいらっしゃいます。日曜日がお仕事という方もいらっしゃいますし、仕事で夜遅いので、平日夜の会議には出席できないという方もいらっしゃいます。また、お子さんがバレーボールやりたいと言ってくれているのに、「仕事が忙しくて当番とかできないから」という理由で、お子さんの入部を躊躇されている保護者がいる、という話も聞きました。

確かに当番とか、大変です。競技経験ないのに、審判の資格取らなきゃいけないとか、大変だと思います。仕事の都合やライフスタイルなどによって、どうにも合わせられない場合もあるでしょう。その辺り、私や嫁などは「自分の子どもの為なんだから仕方ない」と思ってしまえるのですが、すべての保護者の方が同じ価値観であるはずもないですよね。

こういうハードルを乗り越えて、保護者の選択肢の一つに「子供にバレーボールをやらせること」を追加してもらわないといけないんです。その為にはどうすれば良いのでしょう。

続きます。

小学生バレーの競技人口を増やす為には 第一回?富士山方式で競技人口が増えるのか?
http://vbw.jp/5929/

文責:太田鉄次郎
都内某所の小学生バレーボールチームでコーチを務める。
コーチ歴2年の新米コーチ。
中学からバレーボールを始め、現在もクラブチームで競技を続ける。競技歴は20年以上。
一人でも多くの子どもたちにバレーボールの楽しさを知ってもらうことが、お世話になったバレーボールへの恩返しと考え、日々競技に指導に邁進中。

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