2022-03-18 10:29 追加
ウクライナ情勢に伴い、バレーボール界でも開催地変更など相次ぐ
海外バレーコラム
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ウクライナへのロシアの軍事侵攻に伴い、バレーボール界でも開催地の変更などが相次いでいる。今年は男子世界選手権がロシアで開催予定だった。ロシア男子は世界選手権ではソ連時代に6回の優勝を誇るが、最後は1982年の第10回大会になる。昨年、東京五輪決勝で敗れたリベンジと、40年ぶりとなる世界選手権の優勝を目指していたが、ここにきて開催地の変更、そして参加もできないとは、なんとも予期せぬ残念な出来事となった。
■フランスに続け
ウクライナ情勢の悪化に伴い、国際バレーボール連盟(以下FIVB)は2月26日に、ネーションズリーグ第3週の男子のケメロボ大会、女子のウファ大会の開催地を変更すると発表する。すると、更に強い姿勢を見せたのがフランスであった。フランスバレーボール協会は、同日、「フランスの選手、スタッフ、役員の安全は最優先事項であり、それは国内、国外の大会で保障されなければいけない。これを踏まえ、フランスは世界選手権が予定通りロシアで開催されるのであれば、参加しない」とボイコットの声明を発表した。すると、スロベニア、ポーランド、オランダなども同調する姿勢を見せ、ボイコットが欧州の中で広がっていった。
2月28日には国際オリンピック委員会(IOC)が、国際競技団体にロシアとベラルーシの国際大会への参加を許可しないよう勧告する。それを受け、3月1日FIVBも「ロシア、ベラルーシのナショナルチーム、クラブチーム、ビーチバレー、スノーバレーの選手、スタッフ、役員は、追って(解除の)通知があるまで、すべての国際イベント、欧州大陸イベントに参加する資格が無いこととする」と発表し、同時に、男子世界選手権の開催地をロシアから変更することを発表した。
■ネーションズリーグ
ネーションズリーグの変更点は、先に述べた通り、ロシアでの男女の大会が開催地変更になるが、3月9日現在まだ発表されていない。ロシアの代わりの出場国だが、ブラジルのバレーボールサイトweb voleiによると、「チュニジア協会が、男子チームのネーションズリーグの参加とFIVBへの感謝をSNS上で発表した」とあるが、チュニジア協会の投稿はその後削除されたようだ。正式発表前の勇み足となってしまったようだが、この話が本当であれば、日本は第1週の2戦目がチュニジア戦となる。
世界ランキング14位のチュニジアは、2019年の男子U19世界選手権の開催や、東京五輪ではアフリカ代表として出場し、5敗であったが、3位のアルゼンチンから2セット奪うなど健闘を見せた。もし、ここでネーションズリーグに参加できれば、アフリカでの関心もさらに高まり、世界選手権に向けての強化につながるのではないだろうか。
■世界選手権
女子はオランダ・ポーランド共同開催が決まっているが、2月末に行われる予定だったグループリーグの抽選会が延期になっている。近々、行われる予定である。
男子は試合形式が大きく変更になった。本来は各4チームの6つのグループラウンドから各グループの上位2チームと3位の中から上位4チームの合計16チームが次のグループラウンドに進む予定だった。しかし、16チームが決まった後は、ノックアウト形式の試合になり、ラウンド16、準々決勝、準決勝、決勝となる。
開催国は、早々にポーランドとイタリアが代替え地に名乗り出たが、フランスも共同開催に興味を示している。FIVBは、3月14日まで代替え地の立候補を受け付けているが、6つに分かれるグループリーグは複数都市可、ラウンド16、準々決勝は2都市まで、準決勝、決勝は1都市でと、かなり複数の都市、国の共同開催になる可能性がある。そうなると各チームの移動距離に差が大きく出る場合もあるだろう。また、ロシアに代わる出場国もどうするのだろう。最初の6つのグループは世界ランキング1~6位の国が一つずつ入って(ロシアはランキングではなく開催地としてA組に入って)いるが、代わりランキング下位の国に変更になれば不公平にならないか、開催国枠をどうするのかという点も考慮しなくてはいけない。
現時点(3月9日)で、まだ未決定の部分が多いが、各国の国内リーグが終盤に入る中で、国際シーズンに向け、選手が集中して練習、試合ができるように早い決定が待たれる。そして何よりも、ウクライナ情勢が1日も早く落ち着くことを願っている。
取材:ブラジル在住 唐木田 真里子
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