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コラム

2022-04-14 13:13 追加

【石川祐希】ミラノ、フルセットの激闘もベスト4進出ならず 5位決定戦へ

セリエAコラム

Others / 全日本代表 男子

4月3日、ミラノのホームで行われたミラノとモデナのプレーオフ準々決勝第2戦が行われました。先週モデナのホームで行われモデナが3-0で勝利した試合から一転、両者一歩も譲らない展開でフルセットまでもつれ込む大接戦となりましたが、僅差で第5セットを取ったモデナが勝利し準決勝進出を決めました。

ミラノ–モデナ 2-3(25-17, 14-25, 25-22, 18-25, 13-15)

ミラノの、そして石川祐希の初のセリエAベスト4進出は、また来年以降に持ち越される形となりました。(石川の1シーズン目のモデナは準優勝でしたが、たしかこの年は大学春季リーグに合わせるためにシーズン終了前に帰国していたと思うのでカウントしません!)


しかしこの日の石川はとてもキレッキレでした。オフェンス面では苦しいボールもよく決めていましたし、実際アタック決定率も52%と高い数字を残しています(うち被ブロックが4本あったのは痛かったですが)。サーブでもエース1本、それ以外の場面でも相手パサーを崩していて、Volleyball TVの実況の人も石川のサーブ時には熱がこもっているように感じました。しかしオフェンス面以上に彼はこの試合ディフェンス面で大きくチームを支えていました。チームで1番サーブレシーブを受けながら、モデナの超強力なサーブ陣に対して返球率44%、失点も3本と最小限に抑えていたと思います。またラリー中の粘りも凄かった。

そして何よりこの日は顔つきが一段と鋭く、たくましく感じました。それほどこの試合に懸けていたものが大きかったのだと思います。プレーの質、体つき、顔つき、メンタル面、リーダーシップ。本当に石川祐希という選手はトッププロバレーボーラーのひとりなんだな、トッププロバレーボーラーのひとりになったんだなと改めて感じさせてくれる試合でもありました。

もちろんミラノの他のメンバーも120%に近い力を出していました。チームトップの21点得点を決めたジャスキーはとても頼もしかったですし、4本のエースを上げたポッロ、ブロックで貢献したモスカ、そして第5セットによもや逆転かと思わせてくれたロマノのサーブなど無意識に「おおっ!」と声を上げてしまったシーンが何度もありました。しかし、やはりレギュラーシーズンを支えていたパトリィの不調とシネニエゼの不在が大きかったですね。この2人のフレンチマン、オリンピックチャンピオンが万全の状態だったらというのはタラレバですが、考えずにはいられませんね。

 

モデナはやっぱり強かった。ミラノはモデナのエースを最小限に抑えつつ、モデナのアウトサイドヒッター、レアルをサーブで狙い、かつリベロのロッシーニも本調子ではなかったので返球率下げることにはある程度成功していました。しかしもうひとりのアウトサイドヒッター、ヌガペトが堅く、また両アウトサイドとオポジットのニミルがハイボールでも決定力が落ちませんでしたね。この3人のアウトサイド陣は本当に驚異的です。Vリーグの選手でいうならば、OH対角がクビアクとクレク、OPがムセルスキーみたいなものですからね。そのうえセッターが百戦錬磨のブルーノですから。そう考えるとミラノはあのメンバーで本当に善戦したのだと思います。素晴らしい試合をありがとう。

しかし、まだ5位決定戦が控えているのでここでなんとか勝って、来シーズンの欧州チャレンジカップへの挑戦権を掴んでほしいと思います。私事ですが現在僕は欧州にいるので、この準々決勝が第3戦までもつれ込めば現地観戦する予定でしたが、その機会は5位決定戦までお預けにしたいと思います。

準々決勝のその他3試合についてもセリエAの「ビッグ4」(ペルージャ、チヴィタノーヴァ、トレント、モデナのベスト4常連チーム)が第1戦に続いて連勝するかと思いましたが、ピアチェンツァがホームでトレントをフルセットで破って第3戦に持ち込みました。ピアチェンツァは0-2からの逆転でしたし、第5セットも24-22と手に汗握る大接戦を掴むドラマチックな勝利を演じました。この日のピアチェンツァはアメリカ人のラッセルが大活躍。トレントも好きなチームの1つですが、ピアチェンツァには東京オリピック個人的MVPで推しのフランス人セッター、ブリザールがいるので、ピアチェンツァ応援したいと思います。第3戦は現地時間4/10, 18:30(日本時間翌1:30(サマータイムで時差が7時間になりましたね))。

またまた個人的な話ですが、僕が初めて現地で見たセリエAの試合がピアチェンツァでのピアチェンツァ対トレントでした。トレントにはジェイテクト前の生カジ―スキ、ポーランド人セッターのジガドウォ、ピアチェンツァには引退前のパピ、ズラタノフ、フェイもいたな…。

5位決定戦は総当たり戦が4/17から、トーナメント戦が5/15からなので、現地観戦はおそらく5月になるかなと思います。詳しい日程には下記 shindy_jdi (@shindy_jdi)さんのツイートで。

文:堤敏樹 https://www.toshiki71.com/
写真:Lega Pallavolo Serie A

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