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ゲームレポート

2014-05-25 23:07 追加

2013/2014 Vチャレンジリーグ男子総括

V男子

それでは各チームの状況と、結果について振り返ります。

■警視庁

poli01本命とは言えないながらも、上位争いには絡んでくると目されていた警視庁ですが、順調なシーズンインではありませんでした。

警視庁は長年セッター不足に悩まされています。昨季はWS中田をコンバートして乗り切りましたが、リーグ終了後に引退。控えセッターの当間も元々はアタッカーです。2013年の国体予選や天皇杯ブロックラウンドでは思うような戦績が残せず、苦しい状況が続いていました。

ところが。

リーグ開幕戦で、意外な布陣を目にすることになります。昨季WSとして全試合に出場し、総得点でリーグ9位(チーム内2位)だったWS中道をセッターに据えたのです。「チームの顔」でほのめかしていたとはいえ、昨季と同様の”奇策”に面食らった人も多かったと思います。

しかし結果としてこれが功を奏します。チームアタック決定率は昨季の45.7%から46.7%に。大分三好を除く10チームで、唯一昨季より数値が上がりました。また、精度には課題が残りましたが、バックアタックを昨季より多用するなどの変化も見られました。OP金丸と並び、中道に代わるWSとしてスタメン定着した中村が、攻撃の両輪となれたのも大きかったです。 poli03その中道を支えたのが、L石川を筆頭とした堅い守備でした。サーブレシーブ成功率も61.5%から70.9%と大幅に上昇(リーグ平均は昨季57.2%、今季58.9%)。個人ランキングでも、3人が10傑に入り、石川はサーブレシーブ賞に返り咲きました。数字さえ上がれば一概に良いわけではないですが、このチームに関しては、土台が安定していたことを示す一つの指標となりました。

リーグ戦1legはつくばに敗れたものの大分三好や富士通に勝って2位で折り返し、優勝争いの真ん中を走っていきます。

ところが。

2legの前半、それまで不調だった大同特殊鋼に、セットカウント2-0から逆転負けをしてしまいします。1~2敗で4チームがしのぎを削っていただけに、手痛い敗戦です。けれどもこのとき、個に頼る限界を知ったのではないかと思います。

その後は2敗を守り、大分三好にも再び競り勝って、2位のまま最終週、つくば・富士通との連戦を迎えます。つくばとの首位攻防戦では、運が味方した部分もありましたがフルセットの末勝利。この時点で6季ぶりのチャレンジマッチ出場権を獲得します。第5セットで、ピンチサーバーの当間が試合を決める連続得点を演出しました。つい感傷的な表現を使いたくなりますが、チームの求める役割に応えられるよう準備をしてきた結果、それに尽きるでしょう。

最終日は富士通を退けて、みな笑顔の優勝決定……と思いきや、チームキャプテン石川が、胴上げで宙を舞いながら、感極まって泣いていた姿が印象的でした。

ただ、チャレンジマッチの惨敗によって、この先を目指すならば高い壁を越えねばならないことも痛感させられました。組織的な制約の中で、どのように上積みしていくのかが課題として在ります。また、名実ともにチャレンジリーグを代表するチームとなれるよう、広報姿勢の改善を求めたいです。

■大分三好

miyoshi01 (1)大分三好にとっては、激変のシーズンでした。もちろん、戦力もその一つですが、何より重要だったのは、立場の違いかと思います。プレミアでは常に、強いチームにぶつかっていく挑戦者でした。けれども降格したことで、リーグの中では一番手扱いに。かくして、長年経験の無かった「勝つことが当たり前」と見られる状況に置かれます。チームとしてもそれは承知していたようで、チャレンジマッチ出場は前提で、その先のプレミア復帰を目標に掲げていました。

さて戦力面では、昨季の中心選手だったWS高橋和、L橘らが流出しました。とはいえ、S山田やWS細川らプレミアで経験を積んだ若手が残り、さらに堺のMB大道、FC東京のMB木村を補強。リーグでは唯一の外国人選手となるOPモハメドも獲得し、個々の能力や経験値を足し算すれば、優勝候補筆頭とされたのも頷けます。

しかし、そう簡単には行かないのが試合の難しいところです。開幕試合のきんでん戦ではいきなり2セットを連取され、翌週のホームゲームでも東京ヴェルディとフルセットと、苦戦を強いられます。何とか無敗のまま1legの山場、警視庁・つくばとの2連戦にたどり着きますが、ここで痛恨の2連敗を喫します。 miyoshi02今季の大分三好は、通算アタック決定率49.0%、サーブ効果率13.5%(いずれもリーグ1位)と、抜群の攻撃力が武器でした。特にモハメドと細川は決定率・効果率ともに個人ランキング10傑に入っています。サーブで相手の守備を崩し、返球を2人によい形で打たせる。これが理想的な展開でした。 しかし2連敗の際は、そのサーブがネックになったと感じました。警視庁戦では第4セットまで、守りが持ち味の相手をサーブで翻弄します。ところが第5セット、失点を嫌がってかサーブが緩くなり、それなのにミスをするという一番避けたいパターンに陥りました。翌日のつくば戦では、サーブ効果率4.5%と守備陣に切り込むことができず、一方失点は21を数えました。「サーブは水物」という面もありますが、「今日は決まらないな」という時の次善策が無かったように見えます。

2legの警視庁戦も同様、サーブが機能しなかったことも一因となり惜敗。最終週を前に15勝3敗、セット率の関係で4位にまで後退し、崖っぷちに追い込まれます。

ここからが執念の見せ場でした。まずはコンディション不良の富士通をストレートで下し、最終戦に望みをつなぎます。そして翌日、チャレンジマッチをかけてつくばと対戦。壮絶な試合となりました。セットカウント1-2でビハインドの第4セット、8-4のリードから、つくば・瀧澤のサーブ順で8連続失点し、8-12と逆転されます。ここで2度のチャージドタイムアウトを使い切りました。このまま流れを手放して終わってしまうのか。窮地を、モハメドが救います。22-23で回ってきたサーブ順。この試合まで、終盤になると気弱さが覗いていた彼ですが、この場面は全力のスパイクサーブを打ち込みました。一歩も引きませんでした。返球を自身がバックアタックで仕留め3連続得点。ファイナルセットに持ち込みます。最終盤はいつも通りの、OPのライト攻撃一辺倒ではあったのですが、彼が必要な得点をきちんと押さえて、15-13で勝利。苦しみながらも、準優勝をもぎとりました。

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