2014-05-25 23:07 追加
2013/2014 Vチャレンジリーグ男子総括
V男子
■きんでん
世代交代を進めたきんでんは、難しいシーズンながら昇格後最多の8勝をあげることができました。今まで勝ったことのない大同特殊鋼や、1勝7敗と大きく負け越している東京ヴェルディからも白星を得て、収穫は大きかったと言えるでしょう。
チーム事情で選手のやりくりに悩んでいた部分も感じられましたが、主砲のOP松本が警戒される中、近畿クラブから移籍した内定WS岡本が大車輪の活躍を見せます。他にもWS田畑や森田、MB平田ら、20代前半の若手選手が存在感を示しました。
シーズン終了後、中堅・ベテラン9選手の退団が発表されました。今季頭角を現した選手たちが、チームを背負って立つことが期待されます。
■トヨタ自動車
ベテラン選手が引退し、平均年齢が19.9歳(リーグ開始時)まで若返った今季のトヨタ自動車。7勝をあげて順位も8位に上がりました。下から2番目以下の不名誉な順位を脱出したのは11季ぶりです。
ブロックは決して高い方ではありませんが、L福島やWS徳尾らのレシーブ力と上手く組み合わせ、勝ち試合では粘り強い展開に持ち込めたのが特徴的でした。また、新人のWS浅川や渕江らも戦力の一翼を担いました。劣勢になると徳尾の孤軍奮闘となってしまうことが多かったですが、安易に俯かなくなったのが良い変化でした。
これまでのトヨタ自動車は、長い目で見たチーム育成が不得手でした。名門高校で活躍した選手が入り、大幅に若返ったこの機会に、3年後を意識したチーム作りをしてもらいたいです。
■近畿クラブ
現役の大学生と社会人選手から成る近畿クラブ。今季も毎週帯同メンバーが替わり、選手起用には制約がありました。このため、試合の中で得た手応えや問題点を、次の試合に活かすことができず、1legは1勝9敗と低迷。後半巻き返すこともできず、通算順位は昨季の7位から9位に下がりました。
チーム公式フェイスブックページで発表した総括によると、サーブの戦略や交代策などについて、ベンチの指示が足りなかったと指摘されています。メンバーの入れ替えが激しいのに、首脳陣がチーム方針を選手に浸透させられず、場当たり的に試合をしていた様子がうかがえます。WS和中ら力のある現役近畿大生も抱えていましたが、持ち味を引き出せずにリーグを終えてしまいました。状況を把握しながら、手を打てなかった部長の責任も大きいのではないかと思いますが……。
■兵庫
10位の兵庫は昨季に引き続き、ポジションにとらわれないオーダーを組むなど、独自のコンセプトを掲げてリーグに臨みましたが、結果として成績は後退しました。つくばとの2戦はフルセットに持ち込むなど、狙い通りに運んだ試合もありました。しかし、2legでは8試合をストレートで落として1勝にとどまり、試合ごとの積み重ねを、勝利につなげることができませんでした。他のクラブチーム同様、選手のやりくりに苦労があったことも一因でしょう。リーグ以降の各種大会や来季に、収穫を実のある形で引き継げるかがポイントとなりそうです。
今季の兵庫は、選手らがSNSなどを使い、積極的に情報発信するようになりました。新しい試みとして、ファンを増やすことにもつながりました。選手の発信をバックアップすべき事務方が、少し力不足だった部分もありましたが、これも今後の改善点として、アイデアを活かせるようにしてもらいたいです。
■東京トヨペット
5季ぶりに全敗でシーズンを終えてしまった東京トヨペット。地域リーグからの昇格後、6季連続の最下位となりました。内定選手のWS柴、L徳岡ら若手の奮闘もありましたが白星には手が届きませんでした。
元々登録人数の少ないチームですが、今季は人手不足が非常に深刻で、MB伊藤が急きょセッターに入らざるを得ない試合もありました。少し厳しい言い方になりますが、戦力・戦略以前に、Vチャレンジリーグを戦うチームとしての体を成していなかったのではないか、と指摘せざるを得ません。
今季、優勝争いは混戦になりましたが、5位以下では大幅な順位変動がなく、上位・下位の壁を破るチームも現れませんでした。Vチャレンジリーグは優勝・チャレンジマッチ争いだけが全てというリーグではありませんが、やはり各チームの力が均衡し、見応えのある試合がたくさん繰り広げられることが期待されます。特に、下位チームの奮起が求められています。準加盟のチームが増える中で、現状の昇格制度がリーグの目的に適っているのかも、いま一度検証する必要があるでしょう。
また、近年まれに見る混戦で多くの注目点があったにも関わらず、Vリーグ公式サイトの「今週の見どころ」で、Vチャレンジリーグについて言及されない週が何度もあったのは一ファンとして遺憾に思いました。リーグを盛り上げるべく、チームや選手、ファンは行動を起こしたいと強く思っています。主催者にはそのエネルギーを無駄にしないよう、自ら積極的に動き出すことを願いたいです。
写真:出口季里、久坂真実
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